表示名称成分詳細
パーム核脂肪酸Na
成分番号(JP number): 555685
- INCI
- SODIUM PALM KERNELATE
- 定義(Description)
- 本品は、パーム核脂肪酸(*)のナトリウム塩である。Fatty acids, palm kernel-oil, sodium salts
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 棕榈仁油酸钠
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 58.976, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 0.01
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 소듐팜커넬레이트
- CAS No.
- 61789-89-7
- EC No.
- 263-097-0
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
パーム核脂肪酸Na / SODIUM PALM KERNELATE
パーム核脂肪酸Naとは
[化粧品成分表示名称]
・パーム核脂肪酸Na
パーム核脂肪酸Na(Sodium Palm Kernelate)は、ヤシ科植物ギニアアブラヤシの種子から得られるパーム核油のナトリウム塩(脂肪酸アルカリ金属塩)です。一般に「石けん(セッケン)」と呼ばれる成分に分類される、陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です。
石けんであるパーム核脂肪酸Naは、脂肪酸トリグリセリドを主成分とするパーム核油を、水酸化ナトリウムのアルカリ溶液でけん化し、副生するグリセリンを取り除く「けん化法」により調製されます(1)。
一般に、けん化または中和に用いるアルカリに水酸化ナトリウムを使用した石けんは「石ケン素地」と呼ばれ、硬い仕上がりの固形石けんになります。一方で、アルカリに水酸化カリウムを使用した石けんである「カリ石ケン素地」は、ペースト状で柔らかく、ナトリウム塩よりも水に溶解しやすい性質があります(2)。
パーム核油に含まれる脂肪酸組成は、アブラヤシの栽培されている地域や抽出方法によっても異なりますが、主に下記の脂肪酸が含まれています(3)。(カッコ内の数字は炭素数と二重結合数を示しています)
・ラウリン酸 (C12) 48.3%
・ミリスチン酸(C14) 15.6%
・オレイン酸 (C18:1) 15.1%
・パルミチン酸 (C16) 7.8%
・カプリル酸 (C8) 4.4%
・カプリン酸(C10) 3.7%
・リノール酸 (C18:2) 2.7%
・ステアリン酸 (C18) 2%
・カプロン酸(C6) 0.3%
上記より、パーム核脂肪酸Naは主に炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸のナトリウム塩を主体とした石けんであることが分かります。一般に、ラウリン酸塩を主成分とする石けんは、水によく溶け、気泡性、洗浄力に優れているという特徴があります(1)。
界面活性剤としてのパーム核脂肪酸Na
親水基としてカルボン酸塩を含んでいるパーム核脂肪酸Naは、陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)に分類されます。
アニオン界面活性剤は、一般に起泡性・浸透力・分散力に優れているという特徴があります。油への溶解性は低いため、一般にはノニオン界面活性剤よりも乳化力が劣りますが、泥汚れなどの洗浄力が高いことが知られています(1)。
パーム核脂肪酸Naのようにアニオン界面活性剤の中でも特に石けんに分類されるものは、その起泡性や洗浄力の高さから、身体洗浄料、洗顔料、衣料用洗剤、ハウスホールド用の洗剤の基剤として古くから用いられてきました。石けんには、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性球菌に対する殺菌性を示すことも知られています(1)。
石けんは毒性も低く、気泡性や乳化安定性に優れていますが、いくつかの欠点があります。石けんは、pH の低い領域ではカルボン酸が -COOH の酸型の状態となるため、界面活性剤として働くことが出来ません。また、カルシウムなどの塩類を含む硬水中では、水にほとんど溶けないカルシウム石けんなどの金属石けんが生成、沈殿するため、気泡性・乳化性が低下します(1)。
一般に、石けんは天然油脂から調製されますが、天然油脂中にはアルキル鎖長や不飽和度の異なるさまざまな脂肪酸が含まれており、界面における挙動がそれぞれ異なることに注意する必要があります(1)。
パーム核脂肪酸Naの化粧品への配合
ラウリン酸のナトリウム塩を主体とした石けんであるパーム核脂肪酸Naは、水によく溶け、洗浄力に優れているという特徴があることから、主に石けんや洗顔フォームの洗浄成分として使用されています(4)。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから、安全性評価論文内で説明されている現在の使用方法と濃度内で処方された場合のパーム核脂肪酸Naの安全性が結論づけられています(3)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2010年時点で、パーム核脂肪酸Naを配合している製品の登録数は合計194で、そのうちリーブオン製品は10製品、リンスオフ製品は184製品でした(3)。
製品への含有量について2010年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、パーム核脂肪酸Naは12%から44%の配合率で使用されていました(3)。
参考文献
- 野々村美宗 (2015)「アニオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 43-48
- 鈴木一成 (2008)「石ケン素地」化粧品成分用語事典2008, 407
- Cosmetic Ingredient Review (2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology (36) (Supplement3), 51S-129S
- 宇山光男, 他 (2015)「高級脂肪酸アルカリ金属塩」化粧品成分ガイド 第6版, 133
パーム核脂肪酸Naの配合目的
- 洗浄剤
パーム核脂肪酸Naの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS577.pdf
日本語論文
なし
英語論文
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