表示名称成分詳細
カプリル酸グリセリル
成分番号(JP number): 555292
- INCI
- GLYCERYL CAPRYLATE
- 定義(Description)
- 本品は、カプリル酸とグリセリン(*)のモノエステルである。Octanoic acid, monoester with glycerol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 甘油辛酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 10, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 6.93
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 글리세릴카프릴레이트
- CAS No.
- 26402-26-6
- EC No.
- 247-668-1
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
カプリル酸グリセリル / GLYCERYL CAPRYLATE
カプリル酸グリセリルとは
カプリル酸グリセリルは、グリセリン脂肪酸エステルであり、疎水性基に炭素数8の飽和脂肪酸(中鎖脂肪酸)であるカプリル酸と、親水基には多価アルコールであるグリセリンをもった、非イオン界面活性剤です。 カプリル酸グリセリルは化粧品成分表示名称であり、医薬部外品表示名称ではグリセリン脂肪酸エステルとして定められています。
カプリル酸グリセリルは高級脂肪酸グリセリルにも分類されます。 高級脂肪酸グリセリルは一般的に、疎水性基と親水基のバランスから、油と水の両方になじむ性質を持っていますが、カプリル酸グリセリルは親油性を示します。 カプリル酸グリセリルのカプリル酸は、カプリン酸と合わせて、母乳、ココナッツ油、バーム核油に多く含まれる飽和脂肪酸です(2)(3)
グリセリンに関しては、多価アルコールの中でも、酸化のアルコールに分類され、無色透明な粘性のある液体で、水分を吸収する性質を持っています(1)。
カプリル酸グリセリルは、非イオン界面活性剤であるため、油と水を長時間混ぜておくことが可能となっており、この作用から乳化剤としても使用されます(4)。 また、化粧品成分としては防腐補助としても使用されます。
化粧品としては、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、日焼け止め製品、シート&マスク製品、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、アウトバストリートメント製品、洗顔料、ネイル製品など幅広く使用されています。
乳化
カプリル酸グリセリルは、高級脂肪酸グリセリルであり非イオン界面活性剤として乳化作用を持っています。ですが、単独での使用は少なく、乳化作用を目的とする場合は他成分と一緒に配合されます。 また、乳化剤として他成分と混合した原料も販売されています。 IMWITOR liteMULS: (クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸)グリセリル、ヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-4、カプリン酸ポリグリセリル-3、カプリル酸グリセリル symbiomuls GC MB:クエン酸ステアリン酸グリセリル、セテアリルアルコール、カプリル酸グリセリル
防腐補助
カプリル酸グリセリルは、弱酸性から中性領域で抗菌作用を示します。
抗菌活性は細菌であるグラム陰性菌、グラム陽性菌や真菌である酵母、カビなど幅広く効果を発揮し、その強さはカビに対して中程度ですが、その他の細菌、酵母に対しては強い効果を発揮します。
単剤で防腐剤として使用するのではなく、他の防腐剤と一緒に配合することで、配合量の調整が可能となっています。
安全性
カプリル酸グリセリルは20年以上の使用実績があり、食品添加物の指定添加物リストにも収載されています。 一般的な使用であれば、安全性は高い成分と言われています。 皮膚感作、皮膚感作性に関してはほとんど刺激、アレルギーはないという検証データが得られています(5)。 眼科刺激に関しては、現在刺激性を検証したデータはみあたりません。
参考文献
(1)化粧品成分ガイド. (2020). 日本: フレグランスジャーナル社.p70
(2) オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る: 『お風呂の愉しみ』テキストブック. (2001). 日本: 飛鳥新社.p76 (3) 応用栄養学. (2010). 日本: 化学同人.p62
(4)化粧品成分ガイド. (2020). 日本: フレグランスジャーナル社.p188
(5)M.M.Fiume, et al(2020)「Safety Assessment of Monoglyceryl Monoesters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(39)(3_Suppl),93S-126S. DOI:10.1177/1091581820966951.
カプリル酸グリセリルの配合目的
- 非イオン界面活性剤としての乳化作用
- 弱酸性から中性領域に効果を発揮する防腐剤目的
カプリル酸グリセリルの安全性情報
試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に
皮膚刺激性:ほとんどなし
皮膚感作性:ほとんどなし
M.M. Fiume, et al(2020)「Safety Assessment of Monoglyceryl Monoesters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(39)(3_Suppl),93S-126S. DOI:10.1177/1091581820966951.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS706.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS344.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR320.pdf
日本語論文
カプリル酸グリセリルを抗菌成分とした新規防腐製剤の開発 (特集 新たな化粧品原料の開発(PART 2))高橋 宏輝 , 熊澤 史貴Fragrance journal 41(5), 54-57, 2013-05