表示名称成分詳細
海水
成分番号(JP number): 555180
- INCI
- SEA WATER
- 定義(Description)
- 本品は、海水又は塩湖水である。Maris Aqua (EU)
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 海水
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 90.909
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 해수
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
海水 / SEA WATER
海水とは
海水は海または塩湖から得ることができる水です。
海は蒸発量や降水量など多くの自然影響を受けるため、海水の塩分濃度は測定位置により異なるものの一般的には3.4%ほどと言われており、その成分構成は一定です。その主要成分は塩化Naであり、他に塩化Mgや硫酸Mg、硫酸Ca、塩化Kなどで構成されています(1)。
また、海水には塩化物イオンやナトリウムイオンといったイオンが含まれ、そのミネラル組成は血液や細胞間液といったヒトの体液組成と類似していることが知られています(2,3)。
このように海水は塩分やミネラルが豊富であるものの、塩分濃度が高すぎることからその摂取を目的として直接飲用する例はあまりありません。直接使用している例としては沿岸地域や船舶において調理用の水に塩味を付けるための調味料として使用するケースがある程度です。
また、古くは食塩を精製するための原料として使用され、現在では脱塩技術の向上によりミネラルの摂取を目的とした製品である海洋深層水としても利用されています。
化粧品成分としては保湿作用に分類されており、スキンケア化粧品やクレンジング製品、シート&マスク製品、ボディ&ハンドケア製品など様々な製品に活用されているほか、海やミネラルをコンセプトにした製品にも活用されています。
保湿作用
海水、海藻、海泥、海洋性気候を組み合わせた海洋療法のことをタラソテラピー(Thalassotherapy)と言います。このタラソテラピーは1867年にフランスにおいて確立し、日本では1980年代に導入されました(4)。
塩分濃度の高い死海地方におけるタラソテラピーを通じた効果ではあるものの、海水に含まれるイオン化したマグネシウムが角質層に吸収されることによる保湿効果の向上について複数報告されています(4)。
化粧品に使用される海水については一般的に配合濃度が高くないため、穏やかな保湿効果があると考えられています。
安全性
海水については20年以上の使用実績があります。
詳細な安全性試験データは見当たらないものの、過去の使用実績や長時間および連日の海水浴において重大な皮膚刺激や皮膚感作に関する報告が見当たらないことから、皮膚刺激性や皮膚感作性については殆どないと考えられています。また、過去に重大な眼刺激の報告が見当たらないことから一般的に眼刺激性についても殆どないと考えられています。
以上のことから化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。
参考文献
(1)たばこと塩の博物館(-)「世界の塩:世界の塩資源(海水の成分、世界の塩資源の分布)」, https://www.jti.co.jp/Culture/museum/collection/salt/s4/index.html 2021年11月13日アクセス.
(2)B. メイスン(1970)一般地球化学.
(3)中根 俊彦(1999)「タラソテラピーを起源とした海洋由来成分の開発動向と化粧品への活用」Fragrance Journal(27)(4),58-68.
(4)関 邦博, 他(1999)「死海の水のタラソテラピー効果」Fragrance Journal(27)(4),42-51.
海水の配合目的
- 保湿作用
海水の安全性情報
なし
日本語論文
佐藤 結 , 石川 仁憲 , 島田 良 , 匂坂 量 , 小峯 力
土木学会論文集B3(海洋開発)
海水に含まれるミネラル成分(オリゴマリン)の保湿ならびに肌荒れ改善効果
大江 昌彦 , 奥村 秀信 , 山村 達郎 [他] 日本化粧品技術者会誌 38(3), 220-225, 2004
海水に含まれるミネラル成分(オリゴマリン)の保湿ならびに肌荒れ改善効果
大江 昌彦 , 奥村 秀信 , 山村 達郎 , 松中 浩 , 森岡 恒男 日本化粧品技術者会誌 38(3), 220-225, 2004
向井 秀樹 , 新井 達 , 浅井 寿子 , 武村 俊之 , 加藤 一郎 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology 57(1), 84-90, 1995-02-01
英語論文
Marine-Derived Compounds with Potential Use as Cosmeceuticals and Nutricosmetics.
Alves A, Sousa E, Kijjoa A, Pinto M.Molecules. 2020 May 29;25(11):2536. doi: 10.3390/molecules25112536.PMID: 32486036 Free PMC article. Review.
Mycosporine-Like Amino Acids: Potential Health and Beauty Ingredients.
Chrapusta E, Kaminski A, Duchnik K, Bober B, Adamski M, Bialczyk J.Mar Drugs. 2017 Oct 21;15(10):326. doi: 10.3390/md15100326.PMID: 29065484 Free PMC article. Review.
Shao DZ, Wang CK, Hwang HJ, Hung CH, Chen YW.J Cosmet Sci. 2010 Mar-Apr;61(2):133-45.PMID: 20447365