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表示名称成分詳細

含水シリカ

成分番号(JP number): 553302

INCI
HYDRATED SILICA
定義(Description)
本品は、含水ケイ酸であり、次の化学式で表される。xは製法により異なり、0を含むSilicic acid; synthetic amorphous silicon dioxide
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
水合硅石
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 62.6
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
하이드레이티드실리카
CAS No.
10279-57-9/1343-98-2/7631-86-9/112926-00-8/63231-67-4
EC No.
-/215-683-2/231-545-4/-/-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-

原料情報

含水シリカ / HYDRATED SILICA

含水シリカとは

含水シリカとは、主成分を二酸化ケイ素水和物(SiO2・H2O)とする、体質顔料です。

シリカは無水ケイ酸とも呼ばれ、無水状態のケイ素(二酸化ケイ素)に水(H2O)が結合したものです。

含水シリカは、化粧品成分表示名称であり、医薬部外品表示名称では含水ケイ酸と決められています。

シリカは、地球の地殻の約60%を占める豊富な構成物質です(6)。

天然に存在する結晶性シリカは、石英、トリジマイト、クリストバライトとして存在し、六方晶系六角錘形、六方晶系六角板状、立方晶系八面体の構造を持っています。

結晶性シリカは発がん性が確認されていますが、化粧成分として使用されるシリカは非晶質シリカであり、発がん性は確認されていません(2)(3)。

様々な粒子径の違いによる性質の違いは、シリカと類似性があります。シリカと同様に、性質の違いで使用目的の使い分けがされています。

シリカとの違いは、構造上にシラノール基(Si-OH)が多いことです。

シリカよりも水、アルコールといったヒドロキシ基(-OH)を持つもの、アンモニア、アミン類といった塩基性物質との吸着作用が強いという特徴をもっています。

体質顔料として、ベース剤、表面処理剤、スクラブ剤などとして使用されています。

製品としては、メイクアップ化粧品、ネイル製品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品、ボディケア製品、パック製品などに配合されています。

感触改良

含水シリカは粒子径の違いにより、ベアリング効果とチキソトロピー性を持っています。

粒子径が大きくなるほど、ベアリング効果は大きくなります。

含水シリカを配合することで、他の顔料系粉体の滑らかさが向上し、化粧製品として滑らかなテクスチャーに仕上がります。

チキソトロピー性に関しては、粒子径が小さくなるほど効果を発揮します。

チキソトロピー性とは、流動により粘度が低下、止まると粘度が増加するという性質のことを言います。

微粒子の含水シリカは、チキソトロピー性から、粘度調整剤としても製品に配合されています。

吸着作用

シラノール基の影響により、ヒドロキシ基を持つ水、アルコール、また塩基性物質との吸着が強い傾向にあります。

光散乱作用、ソフトフォーカス作用

粒子径が100nm-1μmの含水シリカにおいては、光散乱作用とソフトフォーカス作用を目的に使用されます(5)。

含水シリカの粒子が小じわ、毛穴等の皮膚に存在する凹凸を埋めることで、凹凸に当たる光を乱反射させます。また、粒子が凹凸を埋めることで、その下にあるものを見えにくくする効果(ソフトフォーカス作用)から、小じわや毛穴等を目立たなくします(4)。

表面処理

含水シリカは無機表面処理剤として、耐化粧崩れ、すべり性、感触性の向上に使用され酸化チタンなどの表面処理に使用されます(7)。

安全性

含水シリカは日本薬局方、医薬部外品原料規格に収載されており、一般的な使用であれば安全性が高い成分となっています。

皮膚刺激、皮膚感作においては、刺激の発現はほとんどないという報告がされています(1)。

眼刺激に関しては、稀に一過性の刺激があるとの報告がありますが、実験の内容から含水シリカ以外の不純物が刺激に関与している可能性も記載されています(1)。

参考文献

(1)Cosmetic Ingredient Review(2009)「Safety Assessment of Silica and Related Cosmetic Ingredients」Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel.

(2)International Agency for Research on Cancer:国際がん研究機関)IARCによる発がん性の分類https://monographs.iarc.who.int/agents-classified-by-the-iarc/ 2021年10月24日アクセス

(3)International Agency for Research on Cancer(1997)「SILICA」IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans(68),41-242.

(4)中村 直生, 他(1987)「粉体の光学的研究とシワ隠し効果」日本化粧品技術者会誌(21)(2),119-126.

(5)毛利 邦彦(2003)「ファンデーションの有用性と製品化技術」日本化粧品技術者会誌(37)(3),171-178.

(7)佐々木隆好. "高機能真球状含水シリカ “サンスフェア®” の特徴と化粧品用途への応用." 旭硝子研究報告 61 (2011): 37-41.

(8)片山 真宏「酸化チタンの表面処理と発現する機能 表面技術」0915-1869、一般社団法人 表面技術協会2019、70、10、494-499

含水シリカの配合目的

  • 配合粉体とのベアリング効果、粉体表面の処理による、安定性の向上と感触改善作用
  • チキソトロピー作用を利用した粘度調整作用
  • 皮脂等の吸着作用
  • 光散乱作用、ソフトフォーカス作用によって、小じわ、毛穴等の皮膚の凹凸を埋めることで、小じわや毛穴等を目立たてなくする目的。

含水シリカの安全性情報

皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます(1)。

わずかな眼刺激性が報告されているため、わずかな眼刺激が起こる可能性があると考えられます(1)。

参考文献

Cosmetic Ingredient Review(2009)「Safety Assessment of Silica and Related Cosmetic Ingredients」Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel.

日本語論文

凍結させた含水シリカゲルの融解過程に関する研究

平澤 良男 , 見崎 太 , 竹越 栄俊 日本冷凍空調学会論文集 23(3), 249-255, 2006-09-30

コロイダル・シリカへのNH4Cl添加により生成した含水シリカ・ゲルの自然乾燥並びに加熱による性状の変化について

高柳 猛 鋳物 50(12), p733-738, 1978-12

コロイダル・シリカへのNH4Cl添加による含水シリカ・ゲルの形成について

高柳 猛 鋳物 50(10), p611-616, 1978-10

コロイダル・シリカへのNH<sub>4</sub>Cl添加により生成した含水シリカ・ゲルの自然乾燥並びに加熱による性状の変化について

高柳 猛 鋳物 50(12), 733-738, 1978

コロイダル・シリカへのNH<sub>4</sub>Cl添加による含水シリカ・ゲルの形成について高柳 猛 鋳物 50(10), 611-616, 1978

ジブサイト-含水シリカ混合摩砕物の固体酸性度

荒井 康夫 [他] 日本化学会誌 1974(1), 49-53, 1974-01

ジブサイト-含水シリカ混合摩砕物の固体酸性度

荒井 康夫 , 安江 任 , 山口 勇 , 杉野 徹夫 日本化学会誌(化学と工業化学) 1974(1), 49-53, 1974

英語論文

Kaolinite in pharmaceutics and biomedicine.

Awad ME, et al. Int J Pharm. 2017. PMID: 28943206 Review.

Analysis of particles from hamster lungs following pulmonary talc exposures: implications for pathogenicity.

Sato E, et al. Part Fibre Toxicol. 2020. PMID: 32498698 Free PMC article.

Talc granulomatosis mimicking sarcoidosis.

Iqbal A, et al. Singapore Med J. 2008. PMID: 18695849 Free article.

Photocatalytic coatings for environmental applications.

Allen NS, et al. Photochem Photobiol. 2005. PMID: 15279507

Hypercalcemia due to talc granulomatosis.

Woywodt A, et al. Chest. 2000. PMID: 10767260

Customization of Aspergillus niger morphology through addition of talc micro particles.

Wucherpfennig T, et al. J Vis Exp. 2012. PMID: 22453998 Free PMC article.

"Samosa" pneumoconiosis: a case of pulmonary talcosis uncovered during a medicolegal autopsy.

Nath D, et al. Am J Forensic Med Pathol. 2014. PMID: 24457575

Time-resolved remote Raman study of minerals under supercritical CO2 and high temperatures relevant to Venus exploration.

Sharma SK, et al. Philos Trans A Math Phys Eng Sci. 2010. PMID: 20529953

Impact of interactions between natural organic matter and metal oxides on the desorption kinetics of uranium from heterogeneous colloidal suspensions.

Yang Y, et al. Environ Sci Technol. 2013. PMID: 23387874

Superoxide anions in the pathogenesis of talc-induced cerebral vasocontraction.

Mori T, et al. Neuropathol Appl Neurobiol. 1995. PMID: 8632832