表示名称成分詳細
ヨモギ葉エキス
成分番号(JP number): 553275
- INCI
- ARTEMISIA PRINCEPS LEAF EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、ヨモギ Artemisia princeps の葉のエキスである。Artemisia Princeps Leaf Extract is an extract of the leaves of Artemisia princeps, Compositae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 魁蒿(ARTEMISIA PRINCEPS)叶提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 21
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 쑥잎추출물
- CAS No.
- 223747-95-3
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ヨモギ葉エキス / ARTEMISIA PRINCEPS LEAF EXTRACT
ヨモギ葉エキスとは
ヨモギ葉エキスとは、キク科植物ヨモギ(Artemisia Princeps)の葉から水、エタノール、BGで抽出して得られた植物エキス(抽出物)です。
化粧品成分表示名称は「ヨモギ葉エキス」、医薬部外品表示名称は「ヨモギエキス」です。
ヨモギは日本全国に自生しているため、昔から食用として疲れることも多く、草餅や天ぷらにして食べられていたり、薬草は医療用として使われています(1,2)。薬としての効果があることから「ハーブの女王」のという異名がつけられています(3)。
ヨモギは、世界中のありとあらゆる場所に生息していて、250もの種類があります。また、「魔除けの力をもつ植物」との言い伝えがあります。
古代ローマでは「ニガヨモギ」という種類のヨモギを身につけていると疲れないと信じられていたため、兵士たちは疲労対策にサンダルに入れていたと記されています。
6月24日(聖ヨハネの祭日)または前日の6月23日に風習として、ドイツ、イタリア、オランダ、イギリスなどの地域では採集した「ニガヨモギ」を焚き火でいぶしたり、魔除けとして各家の戸口につるしていたと記されています。また庭には、虫よけとして植えられていたようです(2)。
魔除けのためにアジア(インドやチベットなど)ではヨモギをお香として使われています。また、アイヌ民族(日本の先住民)もヨモギの葉や茎を束ねたもので身体を払うことで清めたり、ヨモギで作った人形を飾って病魔を追い払っていたと言い伝えられています(2,4)。
ヨモギには強い独特な香りがあるため、魔除けのちからがあると世界中で信じられていたとと考えられています。その理由として、ヨーロッパの地域ではニンニクやハーブ類、アジアでは菖蒲や菊など、香りの強いものは世界的に古来から魔除けの力があるからと考えられていたことに由来しています(2)。
ヨモギ葉エキスは天然由来の成分であることから、収穫された地域、温度や湿度、抽出方法によって含まれる成分が多少変わりますが、主な組成成分は「シネオール」「ツヨン」「クロロゲン酸」を中心に構成されていることが報告されています(1,5,6)。
ヨモギ葉エキスは「抗アレルギー作用」を目的として、スキンケア製品やメイクアップ商品、ボディーケア製品など多くの化粧品に配合されています。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
化粧品への配合量や通常の使用では、一般的に皮膚への刺激やアレルギーについてはほとんどないという可能性が高いですが、安全性の試験結果のデータが現時点では見つかっていないため、詳細は不明です。
眼刺激性について
安全性の試験結果のデータが現時点では見つかっていないため、詳細は不明です。
参考文献
- 鈴木 洋(2011)「艾葉(がいよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,58.
- 中渡瀬 将之(2011)「中国詩文における蓬と転蓬」横浜国大国語研究(29),13-25.
- 稲垣栄洋(2018)『ワイド判 散歩が楽しくなる 雑草手帳』東京書籍、46 - 47頁
- ジャパンハーブソサエティー(2018)「ヨモギ」ハーブのすべてがわかる事典,227.
- 御影 雅幸(2013)「ガイヨウ」伝統医薬学・生薬学,105-106.
- 奥田 拓男, 他(1986)「オオヨモギ, ヨモギ及び近縁植物のタンニンについて」YAKUGAKU ZASSHI(106)
ヨモギ葉エキスの配合目的
・ヒスタミン遊離抑制およびヒアルロニダーゼ活性阻害による抗アレルギー作用
・止血、止痛効果があることから婦人科領域の止血や安胎
・切り傷の血止めや湿疹
・虫刺されの外用薬
・冷え性や腰痛の改善目的に全草を浴湯料として応用
ヨモギ葉エキスの安全性情報
- ヨモギ葉エキスは、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています(1)。
- 試験データ(2)によると、重度のアトピー性皮膚炎を有する34人の患者に0.01%ヨモギ葉エキス配合シャンプーおよびボディソープ、0.5%ヨモギエキス末配合ジェルおよび0.1%ヨモギエキス末配合クリームを4週間にわたって塗布したところ、7人(20.6%)に皮膚発赤がみられた。また試験期間中に6人(17.6%)に症状の悪化がみられました。
- 試験データ(3)によると、アトピー性皮膚炎を有する25人の患者にヨモギ葉エキス配合シートを1-4週間にわたって日中数時間または就寝中に使用してもらい、試用期間中の皮膚反応を評価してもらったところ、2人は1回目の使用で痛みまたは掻痒が発生したため使用中止、1人は2週間後に軽度の掻痒発生のため使用を中止したところ症状は消失、さらに別の2人はそれぞれ軽度の紅斑および湿疹部の悪化がみられました。
- 以上よりヨモギ葉エキスは皮膚刺激性、皮膚感作性共にほとんどないと考えられますが、アトピー性皮膚炎の方には注意が必要と言えます。
参考文献
(1)医薬部外品原料規格2021(https://www.mhlw.go.jp/content/000843321.pdf)
(2)玉置 昭治, 他(1994)「ヨモギエキス含有スキンケア製品(SYシリーズ)のアトピー性皮膚炎患者に対する使用経験」皮膚(36)(3),369-378.
(3)庄司 昭伸, 他(1998)「アトピー性皮膚炎に対するヨモギエキス配合シートの使用経験」皮膚(40)(5),501-506.
日本語論文
ヨモギ葉エキスによる春先の肌荒れ改善効果 (特集 アンチポリューションの研究開発)
屋敷 圭子 Fragrance journal : Research & development for cosmetics, toiletries & allied industries = フレグランスジャーナル : 香粧品科学研究開発専門誌 48(10), 44-48, 2020-10
英語論文
Yun C, et al. Mediators Inflamm. 2016.PMID: 27647952