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表示名称成分詳細

ウンシュウミカン果皮エキス

成分番号(JP number): 553261

INCI
CITRUS UNSHIU PEEL EXTRACT、CITRUS UNSHIU PERICARP EXTRACT
定義(Description)
本品は、ウンシュウミカンCitrus unshiu の果皮のエキスである。
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
-
中国の規制情報(Chinese regulation information)
-
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
CAS No.
98106-71-9(CITRUS UNSHIU PEEL EXTRACT), 98106-71-9 CITRUS UNSHIU PERICARP EXTRACT)
EC No.
308-594-6(CITRUS UNSHIU PEEL EXTRACT), 308-594-6(CITRUS UNSHIU PEEL EXTRACT)
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

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原料情報

ウンシュウミカン果皮エキス / CITRUS UNSHIU PEEL EXTRACT、CITRUS UNSHIU PERICARP EXTRACT

ウンシュウミカン果皮エキスとは

ウンシュウミカン果皮エキスは、ミカン科植物ウンシュウミカン(学名:Citrus Unshiu)の果皮から得られる植物エキスです。

ウンシュウミカン(温州蜜柑)には温州という名前がついていますが中国産ではなく、今から約500年前に鹿児島県の北西にある長島で見つかったミカンです。中国から運ばれてきた種子から偶然に発生したものと考えられています。今日では神奈川県以南の広い地域で栽培されていて、日本で最も一般的に食されているミカンです(1)。

比較的大きな果実で、果皮がむきやすく、甘くて種子がほとんどないという優れたミカンですが、広く栽培されるようになったのは大正時代になってからのようです。普及しなかった理由の一つは、種なしのミカンを食べると家系が途絶えてしまうという縁起かつぎのためであったと言われています(1)。

ミカンの果皮には黄色い半透明の粒々があります。これは油室と呼ばれ、香りの精油を含んでいます。

生薬としてのウンシュウミカン果皮

ウンシュウミカンの果皮を乾燥させたものは生薬として陳皮(ちんぴ)の名前で知られています。生薬で使用される場合、「陳」という字を使う通り古いものほど良品とされており、通常は3年以上かけてゆっくり陰干しをしたものを煎じて服用します。

陳皮には胃液分泌促進、抗アレルギー作用、抗炎症作用、気管収縮抑制作用、鎮静作用、中枢神経抑制作用などの薬効が知られています。漢方では、陳皮は健胃、利尿、鎮咳(チンガイ)、去痰(きょたん)などに用いられ、さまざまな漢方薬に配合されています(2)。

陳皮には、芳香性健胃薬としての働きがあります。芳香性健胃薬は芳香や刺激臭が嗅覚を刺激し、その反射によって消化液の分泌促進、消化管の運動亢進に働く薬のことです(2)。

ウンシュウミカンの果皮には精油成分が多く含まれているため、浴剤として用いると血行を促進し、体を温め、肌に艶を与えます。熟睡を促したり風邪の予防にも効果を発揮します(3)。

ウンシュウミカン果皮エキスの成分

ウンシュウミカン果皮エキスの成分には、

・精油:limonene

・フラボノイド:hesperidin, naringin, nobiletin

・アルカロイド:synephrine

・有機酸:クエン酸

・その他:pectin

などが含まれています(2)。

ウンシュウミカン果皮エキスの化粧品への配合

ウンシュウミカン果皮エキスには精油や配糖体のヘスペリジンなどが含まれており、血行改善作用や抗炎症作用、肌荒れ改善効果などが知られています。スキンケア製品や頭皮用化粧水などに配合すると、湿疹などにともなう赤みやかゆみ、肌荒れなどを改善する効果があります(4)。

Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから一般的に化粧品として使用されている濃度内でのウンシュウミカン果皮エキスの安全性が結論づけられています(5)。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2016年時点で、ウンシュウミカン果皮エキスを配合している製品の登録数は合計46で、主にスキンケア、ボディケア製品やヘアケア製品に使用されています。そのうちリーブオン製品は31製品、リンスオフ製品は14製品でした(5)。

製品への含有量についてパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、ウンシュウミカン果皮エキスはリーブオン製品で0.00005%から0.094%、リンスオフ製品で0.000002%から0.094%の配合率で使用されていました(5)。

参考文献

(1) 指田豊, 他 (2013)「ミカン」身近な薬用植物, 214-217

(2) 伊藤美千穂, 他 (2017)「ウンシュウミカン」生薬単, 80-81

(3) 水野瑞夫, 他 (2014)「ウンシュウミカン」くらしの薬草と漢方薬, 105

(4) 鈴木一成 (2008)「チンピエキス」化粧品成分用語事典2008, 254

(5) Cosmetic Ingredient Review (2016)「Safety Assessment of Citrus Peel-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」Final Report

ウンシュウミカン果皮エキスの配合目的

・抗アレルギー作用

・抗炎症作用

・血行改善作用

ウンシュウミカン果皮エキスの安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR712.pdf

日本語論文

ウンシュウミカン果皮によるCO_2固定と果実品質

平塚 伸 , 横山 佑佳 , 宮崎 崇之 , 名田 和義 園芸学研究. 別冊, 園芸学会大会研究発表要旨 7(1), 51, 2008-03-28

3種類の植物ホルモンで処理したウンシュウミカン果皮におけるカロテノド合成遺伝子のマイクロアレイ解析による遺伝子発現プロファイリング

島田 武彦 , 藤井 浩 , 遠藤 朋子 , 杉山 愛子 , 松本 光 , 生駒 吉識 , 清水 徳朗 , 大村 三男 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 75(2), 443, 2006-09-23

ウンシュウミカン果皮の光合成速度に及ぼすGA処理の影響

平塚 伸 , 阿曽 大佑 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 74(2), 329, 2005-10-01

ウンシュウミカン果実における水溶性蛍光物質とそのクロロフィル代謝への関与の可能性について

倉田 裕文 , 東 理恵 , 中林 健一 [他] , 下川 敬之 , 足立 勝 園芸学会雑誌 71(3), 391-393, 2002-05-15

ウンシュウミカン果皮のエチレン-誘導クロロフィラーゼ遺伝子の機能解析

東 理恵 , 北山 雅彦 , 倉田 裕文 , 下川 敬之 , 足立 勝 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 70(2), 440, 2001-09-01

ウンシュウミカン果皮に存在するクロロフィル代謝酵素の基質特異性について

倉田 裕文 , 東 理恵 , 高橋 芳弘 , 下川 敬之 , 足立 勝 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 70(1), 353, 2001-04-04

ウンシュウミカン果皮のアルベド部分に存在するクロロフィル代謝酵素について

倉田 裕文 , 高橋 芳弘 , 山元 洋幸 , 下川 敬之 , 東 理恵 , 足立 勝 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 69(2), 483, 2000-09-26

ウンシュウミカン果皮 (Citrus unshiu Marc.) におけるエチレン誘導可溶性クロロフィラーゼ

東 理恵 , 足立 勝 , 下川 敬之 園芸学会雑誌 68(4), 883-889, 1999-07-15

(24) カンキツ黒点病ならびに軸腐病の発病機構に関する研究 (45) ウンシュウミカン果皮中一抗菌物質 narirutin について (秋季関東部会)

加藤 里実 , 本間 保男 , 有本 裕 , 陶山 一雄 , 藤井 溥 日本植物病理學會報 57(1), 130-131, 1991-01-25

(45) カンキツ黒点病ならびに軸腐病の発病機構に関する研究 : (42) ウンシュウミカン果皮からの熱水抽出物のDiaporthe citri抗菌活性 (秋季関東部会講演要旨)

加藤 里実 , 本間 保男 , 有本 裕 日本植物病理學會報 56(1), 157, 1990-01-25

ウンシュウミカン果皮の糖蓄積と浮皮

河瀬 憲次 , 平井 正志 園芸学会雑誌 52(3), 231-237, 1983

?EDiaporthe citri?Fによるカンキツ黒点病ならびに軸腐病 I  柄胞子発芽に及ぼすカンキツ果実抽出液ならびに構成糖,有機酸の影響:第1報 柄胞子発芽に及ぼすカンキツ果実抽出液ならびに構成糖,有機酸の影響

本間 保男 , 有本 裕 , 見里 朝正 日本植物病理学会報 45(1), 9-16, 1979

英語論文

Fermented dried Citrus unshiu peel extracts exert anti-inflammatory activities in LPS-induced RAW264.7 macrophages and improve skin moisturizing efficacy in immortalized human HaCaT keratinocytes.

Kim C, Ji J, Ho Baek S, Lee JH, Ha IJ, Lim SS, Yoon HJ, Je Nam Y, Ahn KS.Pharm Biol. 2019 Dec;57(1):392-402. doi: 10.1080/13880209.2019.1621353.PMID: 31188689 Free PMC article.

Citrus unshiu peel suppress the metastatic potential of murine melanoma B16F10 cells in vitro and in vivo.

Choi EO, Lee H, HwangBo H, Kwon DH, Kim MY, Ji SY, Hong SH, Kim GY, Park C, Hwang HJ, Moon SK, Yun SJ, Kim WJ, Choi YH.Phytother Res. 2019 Dec;33(12):3228-3241. doi: 10.1002/ptr.6497. Epub 2019 Sep 4.PMID: 31486124 Free PMC article.

Protective effects of fermented Citrus unshiu peel extract against ultraviolet-A-induced photoageing in human dermal fibrobolasts.

Bae JT, Ko HJ, Kim GB, Pyo HB, Lee GS.Phytother Res. 2012 Dec;26(12):1851-6. doi: 10.1002/ptr.4670. Epub 2012 Mar 15.PMID: 22422675

Nobiletin suppresses MMP-9 expression through modulation of p38 MAPK activity in human dermal fibrobalsts.

Kim JJ, Korm S, Kim WS, Kim OS, Lee JS, Min HG, Chin YW, Cha HJ.Biol Pharm Bull. 2014;37(1):158-63. doi: 10.1248/bpb.b13-00534.PMID: 24389490 Free article.