表示名称成分詳細
シソ葉エキス
成分番号(JP number): 553236
- INCI
- PERILLA OCYMOIDES LEAF EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、シソ Perilla ocymoides の葉のエキスである。[Perilla frutenscens acuta]Perilla Ocymoides Leaf Extract is an extract of the leaves of the Perilla, Perilla ocymoides L., Lamiaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 紫苏(PERILLA OCYMOIDES)叶提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 4
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 들깨잎추출물
- CAS No.
- 90082-61-4
- EC No.
- 290-151-0
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
シソ葉エキス / PERILLA OCYMOIDES LEAF EXTRACT
シソ葉エキスとは
シソ葉エキスは、シソ科の植物であるシソ(学名: Perilla frutescens var. crispaまたはPerilla ocymoides 漢字表記: 紫蘇 英名: Perilla)の葉から水やエタノール、BG(ブチレングリコール)を使って抽出されるエキスのことです。
ICNI名は、「Perilla ocymoides Leaf Extract」です。
本来のシソは赤ジソのことで、一般的に馴染みのある青ジソ(いわゆる大葉)はその変種です。
シソは元々ヒマラヤやミャンマー、中国が原産の植物で、日本には中国から伝来し、平安時代に本格的に栽培されはじめたと言われています。
赤ジソの葉は、干して乾燥させて蘇葉(ソヨウ)という生薬として用いられ、みぞおちあたりのつかえを取る作用があることから、柴朴湯や半夏厚朴湯といった漢方方剤に含有されています。
赤ジソの葉にはビタミンAの前駆体であるβ-カロテン、ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、亜鉛といった様々な成分が豊富に含まれていますが、その中でも精油成分のペリルアルデヒドというポリフェノールがシソ特有の香り成分であり、抗菌作用を示します。
刺身にシソの葉が添えられているのは、この抗菌作用により食中毒を予防するためです。
ですが、ペリルアルデヒドは肌に用いると接触性皮膚炎(かぶれ)を起こす(1)ため、ペリルアルデヒド及び同様に芳香成分であるペリラケトンは、化粧品や飲用健康食品に用いるシソ葉エキスでは除去されるのが一般的です。
シソ葉エキスを化粧品として用いる場合、期待されるのは抗炎症作用、抗アレルギー作用です。
シソ葉エキスには、過剰な産生によって炎症の原因となるTNF(tumor necrosis factor)の活性を抑制する作用が認められています。
TNFが過剰に産生されているのは活性マクロファージによるものですが、この反応はアレルギー症状と密接な関係があり、研究ではアレルギー性皮膚炎にシソ抽出液配合クリームを用いて、比較的高度な改善が見られたという結果を得ています(2)。
また別の研究でもシソ抽出液によるTNF産生抑制効果を認めていますが、そちらの研究でもシソ抽出液が経皮的に作用する可能性についても言及しています(3)。
さらに、TNF抑制とは別に、ヘルパーT2細胞への赤ジソ葉抽出エキスの効果を調べた研究において、ヘルパーT2細胞からのサイトカイン産生を抑制することによってIgE抗体の産生を抑制する作用があり、それによって即時型アレルギー及びすでにアレルギーを発症している患者においても、諸症状の緩和が期待されると考察しています(4)。
上記の作用は、アレルギーの緩和に有効とされるロスマリン酸やルテオリンという成分によるものであろうと推察されます。
これらの作用を期待して、シソ葉エキスは化粧水や乳液、美容液といった基礎化粧品、洗顔料などに配合されています。
参考文献
(1)岡崎 直樹, 松中 成浩, 近藤 三雄, 岡本 暉公彦 シソ (紫蘇) による皮膚炎-実験動物による検索- 皮膚 1982年 24巻2号 250-256
(2)小砂 憲一 シソの抗アレルギー成分について 日本化粧品技術者会誌 1994年 27巻4号 604-607
(3)上田 浩史, 山崎 正利 シソ抽出液による腫瘍壊死因子 (TNF-α) 産生抑制効果 炎症 1993年 13巻4号 337-340
(4)石原 達也, 岡本 岩夫, 政木 直也, 河野 恵三, 谷本 忠雄, 池上 伯郎, 栗本 雅司 アカジソ葉抽出エキスによる抗原特異的T Helper Type 2応答の抑制 アレルギー 1999年 48巻4号 443-450
シソ葉エキスの配合目的
- 抗炎症作用
- 抗アレルギー作用
シソ葉エキスの安全性情報
・試験データ(1)によると、固形分濃度0.01%-2.0%シソ葉エキスの24時間塗布では、皮膚刺激性は認められず、シソ葉エキスの皮膚刺激性はほとんどないと考えられました。
・試験データ(1)によると、固形分濃度1.0%シソ葉エキスの1日1回週5回、4週間の塗布では、皮膚刺激性は認めず、シソ葉エキスの皮膚累積刺激性はほとんどないと考えられました。
・シソ葉エキスは、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています(2)。
・皮膚感作性に関しては、報告がないためほとんどないと考えられますが、試験データがないため詳細は不明です。
参考文献
(1)一丸ファルコス株式会社(1996)「皮膚外用剤および浴用剤」特開平08-073314.
(2)医薬部外品原料規格2021(https://www.mhlw.go.jp/content/000843321.pdf)
日本語論文
シソの健康機能効果に関する研究 : シソ葉のα-グルコシダーゼ阻害活性と抗酸化作用 (創立50周年記念号)
田村 啓敏 , 朱 鳳仙 , 王 南露 , 高野 隼人 , 米倉 リナ 香川短期大学紀要 (45), 57-65, 2017-06
シソ葉の抗酸化活性及びペリルアルデヒド含量の播種日による変動
番 喜宏 , 矢部 和則 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 75(2), 222, 2006-09-23
番 喜宏 , 矢部 和則 園芸学会雑誌. 別冊, 園芸学会大会研究発表 74(2), 396, 2005-10-01
シソの香気評価に関する研究 : シソ葉香気の機器分析データと官能評価データの統計的解析
森中 洋一 , 福田 直也 , 高柳 謙治 園芸学会雑誌 71(3), 424-433, 2002-05-15
シソの香気評価に関する研究 - シソ葉香気の官能評価用語の選定 -
森中 洋一 , 福田 直也 , 高柳 謙治 園芸学会雑誌 70(5), 607-615, 2001-09-15
上田 浩史 , 山崎 正利 和漢医薬学会大会要旨集 12, 112, 1995
英語論文
なし