表示名称成分詳細
石ケン素地
成分番号(JP number): 553039
- INCI
- (NOTHING)
- 定義(Description)
- 本品は、脂肪酸のナトリウム塩である。
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
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- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
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- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
石ケン素地 / (NOTHING)
石ケン素地とは
[化粧品成分表示名称]
・石ケン素地
[医薬部外品表示名称]
・石けん用素地
石ケン素地は、炭素数12から18の高級脂肪酸またはそれらを含む油脂に水酸化ナトリウムを反応させて調製される脂肪酸塩(高級脂肪酸アルカリ金属塩)です。一般に「石けん(セッケン)」と呼ばれる成分に分類される、陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です。
石けんの製法には「けん化法」と「中和法」の2種類があります。石ケン素地は、「けん化法」では炭素数12-18の高級脂肪酸を含む油脂を水酸化ナトリウムのアルカリ溶液でけん化して、「中和法」では炭素数12-18の高級脂肪酸を水酸化ナトリウムのアルカリ溶液で中和して調製されます。
一般に、けん化または中和に用いるアルカリに水酸化ナトリウムを使用した石けんは「石ケン素地」と呼ばれ、硬い仕上がりの固形石けんになります。一方で、アルカリに水酸化カリウムを使用した石けんである「カリ石ケン素地」は、ペースト状で柔らかく、ナトリウム塩よりも水に溶解しやすい性質があります(1)。
界面活性剤としての石ケン素地
親水基としてカルボン酸塩を含んでいる石ケン素地は、陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)に分類されます。
アニオン界面活性剤は、一般に起泡性・浸透力・分散力に優れているという特徴があります。油への溶解性は低いため、一般にはノニオン界面活性剤よりも乳化力が劣りますが、泥汚れなどの洗浄力が高いことが知られています(2)。
石ケン素地のように、アニオン界面活性剤の中でも特に石けんに分類されるものは、その起泡性や洗浄力の高さから、身体洗浄料、洗顔料、衣料用洗剤、ハウスホールド用の洗剤の基剤として古くから用いられてきました。また石けんには、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性球菌に対する殺菌性を示すことも知られています(2)。
石けんは毒性も低く、気泡性や乳化安定性に優れていますが、いくつかの欠点があります。石けんは、pH の低い領域ではカルボン酸が -COOH の酸型の状態となるため、界面活性剤として働くことが出来ません。また、カルシウムなどの塩類を含む硬水中では、水にほとんど溶けないカルシウム石けんなどの金属石けんが生成、沈殿するため、気泡性・乳化性が低下します(2)。
石ケン素地の化粧品への配合
石ケン素地は、水によく溶け、洗浄力に優れているという特徴があることから、主に石けんや洗顔フォーム、シャンプーなどの洗浄成分として使用されています(3)。
化粧品成分表示における石ケン素地成分は、「石ケン素地」以外にもいくつかの記載方法があります。
・反応前の成分を記載する場合
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、などの高級脂肪酸、またはヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ果実油、ツバキ種子油などの油脂の名前と、水酸化Naが並列して表記されます。
・反応後の成分を記載する場合
ラウリン酸Na、ミリスチン酸Na、パルミチン酸Na、ステアリン酸Na、オレイン酸Naなどの各脂肪酸塩の名前、またはパーム脂肪酸Na、ヤシ脂肪酸Na、オリーブ脂肪酸Naなどの原料油脂の脂肪酸塩の名前が表記されます。
一般に、石けんは天然油脂から調整されますが、天然油脂中にはアルキル鎖長や不飽和度の異なるさまざまな脂肪酸が含まれており、界面における挙動がそれぞれ異なることに注意する必要があります(2)。
炭素数が12のラウリン酸塩は、ヤシ油やパーム油から作られた石けんの主成分で、水に溶けやすく、気泡性・洗浄力に優れているために、さまざまな洗浄剤の主剤として用いられています。
炭素数が14のミリスチン酸塩は、ヤシ油やパーム核油から作られた石けんに含まれ、ラウリン酸塩よりは水溶性が劣るものの、泡はキメが細かく持続性が良いという特徴があります。分子量の小さいラウリン酸塩やミリスチン酸塩は、皮脂だけでなく角質細胞の間にある細胞間脂質(コレステロール)まで落としてしまうため、より炭素数の多い脂肪酸塩と比較して、皮膚刺激が強いとされています。
炭素数が16のパルミチン酸塩は、冷水にはあまり溶けず、50度以上の水にはよく溶けます。パルミチン酸塩やステアリン酸は細胞間脂質(コレステロール)を洗い流さないため皮膚刺激が弱いとされ、比較的肌に優しいという特徴があります。
炭素数が18のステアリン酸塩は、水にはほとんど溶けないため洗浄力はあまり高くありませんが、油水界面で硬い界面膜を調製し、エマルションを安定化する効果が期待できます。
炭素数が18で二重結合を一つ含むオレイン酸塩はオリーブ油や牛脂から作られた石けんの主成分で、水にもよく溶け、洗浄力にも優れています。
参考文献
- 鈴木一成 (2008)「石ケン素地」化粧品成分用語事典2008, 407
- 野々村美宗 (2015)「アニオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 43-48
- 宇山光男, 他 (2015)「高級脂肪酸アルカリ金属塩」化粧品成分ガイド 第6版, 133
石ケン素地の配合目的
- 洗浄剤
- 乳化剤
石ケン素地の安全性情報
(1)より、40年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、洗浄製品のような短時間の非連続使用として皮膚から完全に洗い流すように設計された製品において、一般に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。
(1)医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2021
日本語論文
なし
英語論文
なし