表示名称成分詳細
水添ヤシ油
成分番号(JP number): 553013
- INCI
- HYDROGENATED COCONUT OIL
- 定義(Description)
- 本品は、ヤシ油(*)を水素添加したものである。Coconut oil, hydrogenated
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 氢化椰油
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 45
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 하이드로제네이티드코코넛오일
- CAS No.
- 84836-98-6
- EC No.
- 284-283-8
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
水添ヤシ油 / HYDROGENATED COCONUT OIL
水添ヤシ油とは
ヤシ油に水素添加して得られる飽和脂肪酸のトリグリセリドです。
ヤシ油そのものはラウリン酸を主成分とするトリグリセリドであり、成分組成は炭素数12未満の飽和脂肪酸(10~20%)、ラウリン酸(44~52%)、ミリスチン酸(13~19%)、パルミチン酸(8~11%)、ステアリン酸(1~3%)、不飽和脂肪酸(約10%)とされています。
液状の油とワックスの中間の融点22~26℃を持つ油性成分です。
酸化に対しては比較的安定ですが、加水分解を受けやすいという特徴があります。
クリーム基材、シャンプー、リンスの加脂剤として使われることも多く、ラウリン酸、ミリスチン酸の原料としても重要な油性成分です。
化粧品に使用される他の油性成分などとの相溶性に優れており、結晶化しやすいワックス成分の析出を抑制する作用も持ちます。
化粧品へ配合すると、塗布時ののびが良く、塗布後、皮膚呼吸や水分透過などの皮膚の生理作用を阻害しないことから、クリーム類に使用することで、こしのある感触を出すことができ、塗布後はさっぱりしたべたつきのない使用感を与えます。
口紅、リップクリーム、頭髪用スティックなどのスティック状の製品に配合すると温度耐性に優れることから、製剤そのものが発汗しにくい使用感の良い製品を得ることができます。
そのヤシ油に対して水素を添加し、酸化しにくい安定性を高めた処理をされたものが水添ヤシ油です(1)。
常温で液体であるヤシ油を水素添加により固体にすることで、ヤシ油よりもやや高めの融点36~37℃という体温で溶ける特性を有します。
また不乾性油に分類されることから乾燥性はほとんどなく、エモリエント効果が期待されます。
食品の分野では、乳脂肪に性質が近いことから、ホイップクリームやコーヒーフレッシュ、ラクトアイスなどの原料などにも使われています。
上記の特性から、化粧品に配合される場合はエモリエント効果が期待されます。
カカオ脂に似たやや重めながらサッパリとした使用感が得られることからスキンケア製品、メイクアップ製品、ボディソープや洗顔料などの洗い流し製品、シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア製品等幅広く使用されています。
特に酸化安定性が高いことから、アイブロウやマスカラなどのアイメイクアップ製品、口紅やリップグロスなどのリップ製品へも使用されます。
参考文献
(1)宇山 侊男, 他(2020)「水添ココグリセリル」化粧品成分ガイド 第7版
水添ヤシ油の配合目的
- エモリエント効果
乾燥性が低いため、水分保持機能によるエモリエント効果が期待されます。
- 感触付与効果
特徴的な融点(36~37℃)を有するため、感触改善効果が期待されます。
水添ヤシ油の安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS577.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS507.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr181.pdf
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鉄クロロフィリンによる成長抑制に対する各種食物センイ(dietary fiber)の影響
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ラットの血しょうおよび肝臓脂質成分に及ぼす運動負荷の影響 II ラットの血しょうおよび肝臓脂質成分に及ぼす運動負荷と食じ脂肪の組合せの影響
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