表示名称成分詳細
水添ヒマシ油
成分番号(JP number): 553009
- INCI
- HYDROGENATED CASTOR OIL
- 定義(Description)
- 本品は、ヒマシ油(*)を水素添加したものである。Castor oil, hydrogenated
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 氢化蓖麻油
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 56
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 하이드로제네이티드캐스터오일
- CAS No.
- 8001-78-3
- EC No.
- 232-292-2
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
水添ヒマシ油 / HYDROGENATED CASTOR OIL
水添ヒマシ油(硬化ヒマシ油)とは
ヒマシ油に水素を添加することで得ることができる飽和脂肪酸のトリグリセリドです。ヒマシ油に水素添加することで、常温で液体だったものが、常温で半固形〜固形状を保つことができるようになります。そのため、油性基剤の安定化や素材の肌への密着性を上げる効果があります。
上記のように肌への密着性が高まるため、水添ヒマシ油は主にメーキャップ製品に使われています。特に、ペンシルタイプの成型基剤としてアイブローペンシルやリップペンシルといったペンシルタイプのものに使われています。
水添ヒマシ油の元の成分である、ヒマシ油は、トウダイグサ科の植物であるトウゴマ(学名:Ricinus communis)の種子から得られる植物性のオイルになります。
ヒマシ油は、不飽和脂肪酸であるリシノール酸とオレイン酸が脂肪酸成分の90%を占めており、違う不飽和脂肪酸であるリノール酸も少量含まれています(1)。そのため、ヒマシ油の酸化安定性は低いと考えられます。
水添ヒマシ油は、ヒマシ油の酸化安定性を高めるために水素を添加したものになります。
水素添加は、1897年にポール・サバティエによって発見された処理方法であり(2)、ニッケルなどの金属触媒を用いて、不飽和脂肪酸の不飽和結合部分に水素を添加することで、飽和結合に変えることで、酸化安定性を高め、常温で個体状にする化学的処理になります。
この水素添加によって、ヒマシ油中の飽和脂肪酸の割合が増加しますが、特にヒドロキシステアリン酸が増加します。ヒドロキシステアリン酸は、廃油に添加することで廃油をゲル化し、廃棄を簡単にするために用いられています(3)。そのため、水添ヒマシ油は、ゲル化作用を活用した増粘や感触調整目的でも使用されています。
水添ヒマシ油の安全性に関して
試験データからは、化粧品への接触皮膚炎が疑われる患者で皮膚への刺激性は報告されていないため、皮膚への刺激せはほとんど無いと考えられます(4)。一方で、目への刺激せいに関してはデータが存在しないため、詳細は不明となっています。
皮膚への感作性に関しては、健常な被験者に実施したパッチテストなどの結果によると、感作は無いと報告されています。しかし、ヒマシ油の対して接触性の皮膚アレルギーを持っている人のうち、職業的に毎日、水添ヒマシ油に多量にさられる可能性がある場合は皮膚アレルギーが発症する可能性が報告されているため、使用を控えるべきだとされています(4)。
参考文献
(1) 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油脂化学便覧 改訂3版,104-110.
(2) Cordain L, Eaton SB, Sebastian A, et al. (2005). “Origins and evolution of the Western diet: health implications for the 21st century”. Am. J. Clin. Nutr. 81 (2): 341–54.
(3) 太田 静行(1985)「油のゲル化剤」調理科学(18)(2),94-98.
(4) Cosmetic Ingredient Review(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil, Hydrogenated Castor Oil, Glyceryl Ricinoleate, Glyceryl Ricinoleate SE, Ricinoleic Acid, Potassium Ricinoleate, Sodium Ricinoleate, Zinc Ricinoleate, Cetyl Ricinoleate, Ethyl Ricinoleate, Glycol Ricinoleate, Isopropyl Ricinoleate, Methyl Ricinoleate, and Octyldodecyl Ricinoleate」International Journal of Toxicology(26)(3),31-77.
水添ヒマシ油の配合目的
- エモリエント作用
- ゲル化による増粘
水添ヒマシ油の安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS622.pdf
日本語論文
MALDI-TOF-MS測定のオンプレート前処理法の開発と有機工業製品分析への応用
佐藤 浩昭 , 中村 清香 分析化学 67(5), 281-291, 2018 J-STAGE
英語論文
なし