表示名称成分詳細
酢酸ブチル
成分番号(JP number): 552969
- INCI
- BUTYL ACETATE
- 定義(Description)
- 本品は、酢酸（＊）とブタノール（＊）のエステルであり、次の化学式で表される。n-Butyl acetate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 乙酸丁酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 52.051
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 부틸아세테이트
- CAS No.
- 123-86-4
- EC No.
- 204-658-1
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
酢酸ブチル / BUTYL ACETATE
酢酸ブチルとは
酢酸ブチルとは、酢酸とブタノールから合成されるエステルです。
酢酸のカルボキシ基の-OHとブタノールのヒドロキシ基のHを失い水分子が抜けることで、脱水縮合という反応が起こり、生成されるのが酢酸ブチルです。
化学式：C6H12O2
示性式：CH3COOCH2CH2CH2CH3
酢酸ブチルは構造異性体が存在し、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチルに分かれています。
化粧品成分としては溶剤に分類され、化粧品以外の用途としては、塗料、食品、医薬品に使用されています。
溶剤とは溶質となる物質を均一に溶かす目的で使用されます。
物性は
沸点： 126.1℃、融点：－78℃ 引火点：22℃
溶解度：水； 0.7g/100ml、炭化水素；可溶、アルコール、エーテル；混和(1)。
天然においては、ブドウ、イチゴ、リンゴ、ナシ等に含まれている揮発性のエステル成分です。
酢酸ブチルは低分子エステルであり、低分子エステルは果物様の匂いをもっています。
これは、分子構造の中にヘテロ原子（炭素と水素以外の原子）を含むこと、炭素数や構造の違いによっても変わることがわかっています(5)。
食品添加物としては、果実香料として使用されています。
医薬品としては、溶剤目的で外用剤に使用されています。
溶剤
溶剤としては、エタノール、エーテルに自由に混合するため、油性成分の溶剤に使用されます。
マニキュアの成分であるニトロセルロースを溶かす溶剤として使用され、マニキュアを均等に伸ばす目的があります。
マニキュア製品だけでなく、除光液のアセトンに変わる溶剤として酢酸ブチルが配合される製品も出てきています。
化粧品製品の全体としても、酢酸ブチルは、マニキュア製品のベース成分などに使用されることが多くなっています。
関係する法律
酢酸ブチルは扱い方が法律により決められています(2)(3)。
一部の該当する法規を紹介します。
- 有機溶剤中毒予防規則（第2種有機溶剤）
- 消防法（第4類引火性液体、第2石油類）
- 悪臭防止法
- 船舶安全法
安全性
酢酸ブチルは40年以上の使用実績があり、食品添加物の指定添加物リスト、医薬部外品添加物規格に収載されています。
皮膚刺激はほとんど刺激がないとの結果と、皮膚感作に関してもアレルギーはないとの結果が示されています。
眼下刺激に関しては実験結果により刺激が確認されています。刺激の程度においては、軽度から重度の刺激との報告がされています(4)。
参考文献
(1)厚生労働省、職場の安全サイト「安全データーシート酢酸ブチル」〈https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/123-86-4.html 令和3年11月2日アクセス〉
(2) 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「有機溶剤を正しく使用しよう」〈https://www.mhlw.go.j/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/120815-01.pdf 令和3年11月2日アクセス〉
(3)N.J. Toy（1989）「Final Report on the Safety Assessment of Ethyl Acetate and Butyl Acetate」Journal of the American College of Toxicology(8)(4),681-705. DOI:10.3109/10915818909010527.
(4)資源天然物化学. (2017). 日本: 共立出版.313-314
酢酸ブチルの配合目的
- 植物性エキス抽出時の有機溶媒
- 有機溶剤として溶質を均一に溶かす目的
酢酸ブチルの安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRNS547.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr145.pdf
日本語論文
NiFe<SUB>2</SUB>O<SUB>4</SUB> ナノポアスポンジにおける酢酸ブチルの吸脱着評価
鈴木 崇弘 , 中山 忠親 , 鈴木 常生 , 末松 久幸 , 新原 晧一 日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集 2008F(0), 482-482, 2008
スモールスケールの有機合成実験 : 酢酸ブチルの合成とプラモデル用セメダインの作製
長谷川 正 , 今瀬 禎宏 , 山崎 裕子 化学と教育 45(1), 43-44, 1997
<研究ノート>各種果物・野菜類における酢酸ブチルの合成ならびに分解能について志野 直美 , 木咲 弘 同志社家政 17, 36-39, 1983-12-20
諸戸 定正 [他] 日本化学会誌 1972(12), 2317-2322, 1972-12
諸戸 定正 , 渡辺 昭 日本化学会誌（化学と工業化学） 1972(12), 2317-2322, 1972
アスコルビン酸還元,酢酸ブチル抽出によるモリブデンの吸光光度定量中谷 正治 佐世保工業高等専門学校研究報告 (8), 95-99, 1971-11
<I>n</I>-酢酸ブチル抽出法による汚濁河川水中のリン酸イオンの定量
津山 明宣 分析化学 16(12), 1376-1378, 1967
平田 光穂 [他] 化学工学 30(2), 121-128, 1966-02
平田 光穂 [他] 化学工学 27(6), ????, 1963-06
平田 光穂 [他] 化学工学 27(6), ????, 1963-06
山本 作次郎 島根大学論集. 自然科学 (6), 52-57, 1956-02-21
山本 作次郎 島根大学論集 自然科学 (6), ????, 1956-02
界面活性剤の存在における塩酸による酢酸ブチルの加水分解反応,その他の関連反応
前川 悦朗 [他] 工業化学雑誌 58(1), ????, 1955-01
(7)界面活性剤の存在における塩酸による酢酸ブチルの加水分解反応,その他の関連反応
前川 悦朗 , 三雲 次郎 工業化学雑誌 58(1), 19-21, 1955
英語論文
Fragrance material review on 2-methyl-4-phenyl-2-butyl acetate.
McGinty D, Letizia CS, Api AM.Food Chem Toxicol. 2012 Sep;50 Suppl 2:S435-8. doi: 10.1016/j.fct.2012.02.075. Epub 2012 Mar 6.PMID: 22402310 Review.
Lens C, Malet G, Cupferman S.Int J Cosmet Sci. 2016 Oct;38(5):476-80. doi: 10.1111/ics.12314. Epub 2016 Mar 9.PMID: 26887538
Ion mobility spectrometry for detection of skin volatiles.
Ruzsanyi V, Mochalski P, Schmid A, Wiesenhofer H, Klieber M, Hinterhuber H, Amann A.J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 2012 Dec 12;911(1):84-92. doi: 10.1016/j.jchromb.2012.10.028. Epub 2012 Nov 2.PMID: 23217311 Free PMC article.
Final report of the addendum to the safety assessment of n-butyl alcohol as used in cosmetics.
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Morey TE, Wasdo S, Wishin J, Quinn B, van der Straten A, Booth M, Gonzalez D, Derendorf H, Melker RJ, Dennis DM.J Clin Pharmacol. 2013 Jan;53(1):103-11. doi: 10.1177/0091270011434157. Epub 2013 Jan 24.PMID: 23400750 Clinical Trial.
Ojo TO, Onayade AA, Afolabi OT, Ijadunola MY, Esan OT, Akinyemi PA, Awe OO.J Health Pollut. 2020 Dec 2;10(28):201208. doi: 10.5696/2156-9614-10.28.201208. eCollection 2020 Dec.PMID: 33324505 Free PMC article.
