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表示名称成分詳細

酸化亜鉛

成分番号(JP number): 552918

INCI
ZINC OXIDE
定義(Description)
本品は、亜鉛の酸化物であり、次の化学式で表される。Zinc oxide (CI 77947)
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
氧化锌
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): /, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): /, 備考: 按照《化妆品安全技术规范》要求使用
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
징크옥사이드
CAS No.
1314-13-2
EC No.
215-222-5
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

IV/144VI/30VI/30a

原料情報

酸化亜鉛

酸化亜鉛 / ZINC OXIDE

酸化亜鉛とは

酸化亜鉛は、成分番号 552918、INCI名 Zinc Oxideで、ZnOの化学式で表される亜鉛の酸化物です(1)。

日本薬局方では、「酸化亜鉛」英名:Zinc Oxide 別名:亜鉛華 として収載され、「亜鉛華デンプン」「亜鉛化軟膏」「イオウ・サリチル酸・チアントール軟膏」、「アクリノール・亜鉛華軟膏」、「アクリノール・チンク油」、「サリチル酸絆創膏」 と、医薬品としての処方も収載されています(2)。

医薬部外品原料規格では、「酸化亜鉛」英名:Zinc Oxideとして収載されています(3)。

酸化亜鉛は、第三類医薬品の成分名とされており、酸化亜鉛を有効成分として配合した場合、基本的には第三類医薬品となります(4)。

一般販売医薬品のうち日常生活に支障をきたす程度ではないが、身体の変調不調が起こるおそれがあるものを第三類医薬品といいます。

医薬部外品は人体に対する作用が緩和で、安全性には特に問題がないものをいいます。

酸化亜鉛は、医薬部外品の添加物として配合できるとされています(6)。

いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストは薬用化粧品の種類毎に有効成分の規格及び分量の前例を示したものですが、薬用化粧品の効能又は効果、用法及び用量、剤型等が既に承認されてい るものと同一性を有すると認められる場合であって、有効成分リストの範囲内であれば、承認申請に際して、原則として、当該有効成分の有効性及び安全性に関する資料の提出は求めないとされます。

薬用化粧品の効能又は効果、用法及び用量、剤型等が既に承認されているものと同一性を有すると認められる場合で、この有効成分リストの範囲内であれば、承認申請に際して、原則として、当該有効成分の有効性及び安全性に関する資料の提出は求めないとされています。

この中で、酸化亜鉛は、以下の範囲が示されています(5)。

  • 化粧水:2%
  • クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油:0.5~10%(口唇に使用する場合は0.5%)

酸化亜鉛は、厚生労働省によるナノマテリアルに分類されます。

金属亜鉛を気化して空気で燃焼させて工業的に製造される物質で、粒子径は、 0.1μm と 細かい粉末状で、水に不溶で導電性、圧電性があります。

細かい粒子は、白色の顔料として使用されるほか、医薬品・化粧品などの原料となります。

年間生産量は約7.7万トンですが、その80%が化粧品に使用されています(9)。

また、酸化亜鉛は1866年に開発されました。

それまでのおしろいには鉛が含まれ、鉛中毒の問題がありましたが、酸化亜鉛は、肌を傷めないうえに、変色もありませんでした。

安価であることも手伝って、世界に広がりました(11)。

働きと用途

酸化亜鉛の細かいナノ粒子は紫外線遮蔽効果があり、同様に紫外線遮蔽効果のある酸化チタンと比べ、透明性にも優れます。

また、表面積を拡大する効果による抗菌・脱臭の効果も報告されています(9)。

酸化亜鉛の配合目的

  • 紫外線遮蔽
  • 透明性を出す
  • 抗菌、脱臭

酸化亜鉛の安全性情報

酸化亜鉛は、150年以上の使用実績がある物質です(11)。

大きな副作用も報告されていませんが、ナノマテリアルリスク検証の候補として挙げられました。結果、安全性の検証の必要な物質とはなりませんでした(8)(12)。

皮膚刺激性について

Scientific Committee on Consumer Safetyの安全性データより、微粒子酸化亜鉛(ナノ化酸化亜鉛)において皮膚一次刺激性および累積刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

また、微粒子でない酸化亜鉛については、医薬品にも使用されており、10年以上の使用実績があることから、微粒子化酸化亜鉛と同じく皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Scientific Committee on Consumer Safetyの安全性データより、25%濃度で微粒子酸化亜鉛(ナノ化酸化チタン)は軽度の眼刺激性が報告されているため、軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Scientific Committee on Consumer Safetyの安全性データより、微粒子酸化亜鉛(ナノ化酸化亜鉛)は皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

また、微粒子でない酸化亜鉛については、医薬品にも使用されており、10年以上の使用実績があることから、微粒子化酸化亜鉛と同じく皮膚感作性性はほとんどないと考えられます。

参考文献

(1) 日本化粧品工業連合会 酸化亜鉛 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知

(2) 第十八改正日本薬局方 酸化亜鉛

(3) 医薬部外品原料規格

(4) 第三類医薬品 令和元年9月 18 日最終改正

(5) いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて 薬食審査発第 1225001 号 平 成 20 年 12 月 25 日

(6)「医薬部外品の添加物リストについて」の一部改正について 令和3年3月25日 薬生薬審発0325第7号

(7) 厚生労働省:「ナノマテリアルの安全対策に関する検討会報告書」の公表について (mhlw.go.jp)

(8) ナノマテリアルの安全対策に関する検討会報告書 平成21年3月31日 医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

(9) 参考資料1各ナノマテリアル概要

(10)医療用医薬品 : 酸化亜鉛 (酸化亜鉛「ヤマゼン」) (kegg.jp)

(11) 変化の時代、19世紀後半の美意識 | ポーラ文化研究所 (po-holdings.co.jp)

(12) リスク評価候補物質選定参考資料 <酸化亜鉛>

日本語論文

肌の反射光解析に基づく化粧品用無機蛍光材料の実用化

小泉 寿夫 , 森 健治 色材協会誌 91(12), 399-403, 2018 J-STAGE

透過光制御による若顔印象ファンデーションの開発

上原 孝一 , 樫本 明生 , 福田 啓一 [他] , 南 浩治 , 岩本 啓 , 長田 みゆき , 五十嵐 崇訓 , 中尾 啓輔 , 大崎 和友 , 植松 隆史 , 野尻 尚材 日本化粧品技術者会誌 44(1), 48-56, 2010 J-STAGE  被引用文献1件

気管内注入試験と吸入暴露試験による酸化亜鉛ナノ粒子の炎症能の検討

森本 泰夫 , 北島 信一 , 和泉 弘人 , 吉浦 由貴子 , 藤嶋 けい , 大藪 貴子 , 明星 敏彦 , 島田 学 , 久保 優 , 山本 和弘 日本毒性学会学術年会 43.1(0), O-33, 2016 J-STAGE

湿式プロセスによる酸化亜鉛の合成と微細組織

村瀬 英昭 , 塩 庄一郎 , 中平 敦 日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集 2007S(0), 538-538, 2007 J-STAGE

UV吸収剤の光安定化に関する基礎的検討

角田 聖 , 鈴木 千裕 , 佐川 由葵 [他] , 水谷 多恵子 , 正木 仁 日本化粧品技術者会誌 49(3), 204-210, 2015 J-STAGE

パルスアーク放電プラズマによる高純度酸化亜鉛ナノ粒子の合成

高木 駿 , 末永 勝士 , 王 斗艶 , 浪平 隆男 電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 2020(0), 135-135, 2020 J-STAGE

心血管機能解析によるナノマテリアルの特性評価

小野寺 章 , 屋山 勝俊 , 武田 直也 , 矢埜 みなみ , 米村 重信 , 堤 康央 , 河合 裕一 日本毒性学会学術年会 41.1(0), O-32, 2014 J-STAGE

ナノ材料の製造・使用・廃棄状況及び生体影響等に係る調査

山本 貴士 , 倉持 秀敏 , 大迫 政浩 廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 28(0), 37, 2017 J-STAGE

化粧品開発に用いられる紫外線防御素材

本間 茂継 日本化粧品技術者会誌 48(1), 2-10, 2014 J-STAGE

ナノマテリアルの経皮暴露評価

五十嵐 良明 日本毒性学会学術年会 40.1(0), 1042, 2013 J-STAGE

微粒子粉体分散系のレオロジー特性解析とその応用

那須 昭夫 , 大坪 泰文 理論応用力学講演会 講演論文集 57(0), 69-69, 2008 J-STAGE

ビジネスウエーブ 酸化チタンと酸化亜鉛、UV化粧品で活躍--目的波長域で使い分け、UVAでは競合も 微細構造を作り込み、機能性を引き出す

稲田 成行 日経ナノビジネス (18), 14-16, 2005-07-25

単分散板状酸化セリウムマイクロ粒子の合成とその形態に由来する付加機能性

殷 しゅう , 南館 正宙 , 登内 俊介 , 佐藤 次雄 日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集 2012S(0), 431-431, 2012 J-STAGE

化粧品におけるナノマテリアルの安全性評価

増永 卓司 色材協會誌 85(9), 384-388, 2012-09-20 J-STAGE  参考文献17件

メイクアップ化粧品を進化させる多機能型酸化亜鉛 (特集 新規粉体技術とファンデーションの開発)

吉田 遼平 Fragrance journal = フレグランスジャーナル 43(12), 31-35, 2015-12

Feドープ酸化亜鉛粒子の形態制御と化粧料への応用

後藤 武弘 , 殷 シュウ , 佐藤 次雄 , 田中 巧 日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集 2011F(0), 11-11, 2011 J-STAGE

フッ素化合物表面処理酸化亜鉛を含む新規油系分散体の分散性と耐水性およびサンスクリーンへの応用

濱元 秋雄 , 川嶋 早苗 , 小橋 和正 日本化粧品技術者会誌 45(2), 114-121, 2011 J-STAGE

O/W乳液で安定して使用できる,新しい酸化チタン,酸化亜鉛水分散体 (特集 化粧品の新原料、原料の新機能(1)たくさんの未来)

芦田 拓郎 Fragrance journal = フレグランスジャーナル 43(3), 26-29, 2015-03

透過光制御による若顔印象ファンデーションの開発

上原 孝一 , 樫本 明生 , 福田 啓一 [他] , 南 浩治 , 岩本 啓 , 長田 みゆき , 五十嵐 崇訓 , 中尾 啓輔 , 大崎 和友 , 植松 隆史 , 野尻 尚材

日本化粧品技術者会誌 44(1), 48-56, 2010

J-STAGE 被引用文献1件

ナノファイバー状酸化亜鉛を被覆した光学および物理特性に優れるハイブリッド粉体の開発と応用

小川 克基 , 城市 京子 , 金丸 哲也 , 桜井 紀 , 町田 明子 日本化粧品技術者会誌 39(3), 209-213, 2005 J-STAGE

無機系紫外線散乱剤の特徴と最新動向

江尻 和正 日本化粧品技術者会誌 55(2), 129-135, 2021 J-STAGE

化粧品に使用される原料の相性の基礎知識(第19回)複合化酸化亜鉛

島田 邦男 Cosmetic stage 7(6), 50-52, 2013-06

英語論文

Risk assessment of zinc oxide, a cosmetic ingredient used as a UV filter of sunscreens.

Kim KB, et al. J Toxicol Environ Health B Crit Rev. 2017. PMID: 28509652 Review.

Investigation of zinc oxide particles in cosmetic products by means of centrifugal and asymmetrical flow field-flow fractionation.

Sogne V, et al. J Chromatogr A. 2017.PMID: 28797664

The use of unirradiated and gamma-irradiated zinc oxide nanoparticles as a preservative in cosmeticpreparations.

Hosny AEM, et al. Int J Nanomedicine. 2017.PMID: 28979119 Free PMC article.

Sunscreens--the ultimate cosmetic.

Wolf R, et al. Acta Dermatovenerol Croat. 2003. PMID: 12967508 Review.

Health hazards of nanoparticles: understanding the toxicity mechanism of nanosized ZnO in cosmetic products.

Subramaniam VD, et al. Drug Chem Toxicol. 2019. PMID: 30103634 Review.

Gene toxicity studies on titanium dioxide and zinc oxidenanomaterials used for UV-protection in cosmetic formulations.

Landsiedel R, et al. Nanotoxicology. 2010.PMID: 20925445

Grey goo on the skin? Nanotechnology, cosmetic and sunscreen safety.

Nohynek GJ, et al. Crit Rev Toxicol. 2007.PMID: 17453934 Review.

Development and Validation of a Method for the Analysis of ZincOxide in Cosmetic Matrices by Flame Atomic Absorption Spectroscopy.

Benavides LF, et al. J Anal Methods Chem. 2021. PMID: 34136306 Free PMC article.

Nanotechnology in cosmeticproducts.

Epstein HA. Skinmed. 2011. PMID: 21548515

Plant-mediated green synthesis of metal-based nanoparticles for dermopharmaceutical and cosmeticapplications.

Paiva-Santos AC, et al. Int J Pharm. 2021.PMID: 33539998 Review.