表示名称成分詳細
結晶セルロース
成分番号(JP number): 552885
- INCI
- MICROCRYSTALLINE CELLULOSE
- 定義(Description)
- 本品は、セルロース繊維から単離されたコロイド性結晶部分である。Microcrystalline Cellulose is the isolated, colloidal crystalline portion of cellulose fibers.
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 微晶纤维素
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 48.65, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 13.165
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 마이크로크리스탈린셀룰로오스
- CAS No.
- 9004-34-6
- EC No.
- 232-674-9
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
結晶セルロース / MICROCRYSTALLINE CELLULOSE
結晶セルロースとは
結晶セルロースとは、セルロースの結晶部分であり、グルコースのβ-1,4結合した多糖類であり、セルロース系水溶性高分子です。
結晶セルロースは、化粧品成分表示名称、医薬部外品表示名称で定められています。
結晶セルロースの成分であるセルロースは、植物由来のセルロースが最もよく知られています、セルロースを生産する生物がおり、体内で生産する代表的な生物はホヤであり、その他酪酸菌の一種が作るセルロースもナタデココとして有名です(1)。
基本的には樹木からとれるヒートパルプや綿実から採ったリターンパルプを加水分解して精製されます(2)。
天然のセルロースは、結晶成分と非結晶成分に分かれており、結晶成分は構造的に規則正しい並列に配列をしています。
非結晶成分は、結晶成分とのは逆の構造をもち、比較的不規則な配列をしています(3)。
結晶セルロースは、基本的な水、油、アルコール等に溶解しない特徴を持っており、食品添加物や医薬品添加物として経口剤、外用剤、歯科用剤、口中用剤に使用されています。
化粧成分としては、粉体の展延性や感触改良、結合作用、乳化安定作用、研磨用スクラブに配合されます。
化粧品としては、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、ボディケア製品、ピーリング製品、洗顔料、スキンケア化粧品、ヘアカラー製品などに使用されています。
展延性
結晶セルロースは、粉体と一緒に配合をすることにより展延性の向上作用があります。
展延性の向上は、結晶セルロースの多孔性が関係しており、水を吸着、保持することにより粉体の流動性を高め、なめらかなテクスチャーを付与することができるのです(4)。
結合
結晶セルロースは、圧力を加えることで粒子自体が絡み合い、艶のある結合を精製します。
特徴としては低圧力でも結晶セルロースは粒子が絡み合い、成形が容易となるのです(4)。
粉体原料を一定の形に、保持するときなどに配合されています。
乳化安定性
結晶セルロースは水、油などにも溶解はしませんが、棒軸状粒子が水や油に吸着することで、乳化状態の安定化を起こしてくれます。
研磨
結晶セルロースは水、油に不要な多孔性粒子を生かして、粒径200-700の粒子を作ります。
近年結晶セルロースの生分解性も注目されており、プラスチックビーズの化環境汚染が注目される中、代替え品としての結晶セルロースの配合が注目されています。
結晶セルロースのスクラブは、柔らかくマイルドなテクスチャーを示します(5)。
安全性
結晶セルロースは40年以上の使用実績があり、食品添加物など様々な指定を受けています。
下記指定されているリストです。
- 食品添加物指定添加物リスト
- 日本薬局方
- 医薬部外品原料規格
使用実績の期間から、一般的な使用であれば安全性は高いとされています。
皮膚刺激性、眼科刺激性、皮膚感作性に関しては刺激性を確認したデータは見当たりません。ですが、40年の使用実績からは多くの製品に使用されており、一般的な化粧品の使用では問題ないと言われています。
参考文献
(1)多糖類.com「セルロース」〈https://www.tatourui.com/about/type/15_cellulose.html 2021年12月18日アクセス〉
(2)化粧品成分ガイド. (2020). 日本: フレグランスジャーナル社.p223
(3) 山本 恵司(1983)「製剤における糖類の利用」ファルマシア(19)(12),1268-1273. DOI:10.14894/faruawpsj.19.12_1268
(4) 坂元 昭宏(1992)「工業用添加剤としての結晶セルロース」繊維学会誌(48)(10),561-565. DOI:10.2115/fiber.48.10_P561
(5) 大東化成工業株式会社(2015)「Cellulobeads MC」Technical Data Sheet.
結晶セルロースの配合目的
- 多孔質構造から顔料粉体に対して水を保持・吸着し展延性を向上
- 結晶セルロース自体が圧力を加えることで絡み合う構造を持ち、粉体顔料の結合性を向上させ、形成を容易にする目的
- 水や油を吸着することによる乳化安定化作用
- 結晶セルロースの粒子を利用した生分解性のあるスクラブとしての利用
結晶セルロースの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR508.pdf
日本語論文
原料紹介 結晶セルロース(アビセル,セオラス)の化粧品への応用
旭化成工業株式会社
フレグランスジャーナル 28(7), 93-96, 2000-07
結晶セルロース製品「セオラス」の特徴と用途 (特集 イチからわかる増粘多糖類)
武村 翔太
フードケミカル = A Technical journal on food chemistry & chemicals 36(3), 42-44, 2020-03
サラッと流れてサッと分散する顆粒の作り方 : 結晶セルロース「セオラス」を使用した食品素材の顆粒化 (特集 賦形剤と多孔質)
垣澤 眞幸
フードケミカル = A Technical journal on food chemistry & chemicals 34(11), 84-89, 2018-11
素材レポート 結晶セルロースを用いたRTD高濃度プロテイン飲料の展開可能性について
山崎 有亮
食品と開発 = Food processing and ingredients 53(10), 71-73, 2018-10
結晶セルロース製剤「セオラス」による生地改質およびドーナツの食感維持について (特集 ヘルシードーナツの提案)
山崎 有亮 , 垣澤 眞幸 , 鈴木 僚
月刊フードケミカル 31(11), 26-31, 2015-11
結晶セルロース製剤「セオラス」のユニークな特性と,菓子用途への展開について (特集 第4回食品技術セミナー 菓子分野における"おいしい"食感と生産性向上・ロス低減)
小籏 晴子
月刊フードケミカル 31(4), 71-76, 2015-04
易分散・高機能の結晶セルロース製剤「セオラスDX-3)のご紹介 (特集 第3回食品技術セミナー)
山崎 有亮
月刊フードケミカル 30(5), 81-87, 2014-05
合谷 祥一
月刊フードケミカル 30(5), 72-80, 2014-05
高圧ホモジナイザーおよび結晶セルロース添加によるタンパク質原料分散性の検討 (特集 第3回食品技術セミナー)
宇藤 勇真
月刊フードケミカル 30(5), 67-71, 2014-05
外山 英男
南九州大学研究報告. 自然科学編 (43), 57-60, 2013-04
1P-131 1.0%(w/v)微結晶セルロースを含む寒天培地を透明化するトリコデルマ株の構築(一般講演(発酵生理学,発酵工学))
外山 英男
日本生物工学会大会講演要旨集 65, 50, 2013
結晶セルロース セオラスによる食品の風味維持・向上について (第2回食品技術セミナー ハイライト 健康+おいしさ+フレーバー(スパイス・香料))
林 裕司
月刊フードケミカル 28(11), 98-101, 2012-11
結晶セルロースおよび部分アルファー化デンプンによる造粒技術 (特集 粉末化・造粒・打錠の技術)
五味 俊一
月刊フードケミカル 28(9), 72-76, 2012-09
トレハロースおよび結晶セルロースを使用した口腔内崩壊錠 (口腔内崩壊製剤特集号) -- (口腔内崩壊錠用添加剤と評価機器)
大生 和博 , 吉田 直哉
製剤機械技術学会誌 = Journal of pharmaceutical machinery and engineering 21(4), 441-447, 2012
結晶セルロースの基本物性と応用アプリケーション (特集 多糖類市場の最新動向)
五味 俊一
月刊フードケミカル 27(11), 59-62, 2011-11
結晶セルロース「セオラス」の機能と顆粒状食品への応用について (特集 第1回食品技術セミナー 講演ハイライト)
五味 俊一
月刊フ-ドケミカル 27(10), 74-76, 2011-10
1Hp20 低温下で倍数化処理したTrichoderma reesei QM9414株由来選択株における微結晶セルロース分解力の向上(発酵生理学・発酵工学,一般講演)
外山 英男
日本生物工学会大会講演要旨集 63, 57, 2011
林 徳子 , 渋谷 源 , 野尻 昌信
木材学会誌 56(6), 374-381, 2010-11-25
コーンスターチゲルの糊化・老化に及ぼす微結晶セルロースの影響
平島 円 , 高橋 亮 , 廣江 美佳 [他] , 西成 勝好
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan 43(3), 168-175, 2010-06-05
「セルロースの実験と解析法」シリーズ(第17回)微結晶セルロースの調製方法
山根 千弘
Cellulose communications 17(2), 84-88, 2010
コーンスターチゲルの糊化・老化に及ぼす微結晶セルロースの影響
平島 円 , 高橋 亮 , 廣江 美佳 , 西成 勝好
日本調理科学会誌 43(3), 168-175, 2010
林 徳子 , 渋谷 源 , 野尻 昌信
木材学会誌 56(6), 374-381, 2010
微結晶セルロース製剤セオラスの飲料への応用 (特集 飲料トレンドと素材・添加物)
澤登 祐介
月刊フ-ドケミカル 25(4), 45-48, 2009-04
セルローステクノロジー 高流動性・高成形性結晶セルロース「セオラス」UFとその応用
大生 和博
Cellulose communications 16(3), 113-117, 2009
結晶セルロース セオラスの特性と利用分野 (特集 食品の品質改良技術)
坂元 昭宏
ジャパンフ-ドサイエンス 47(12), 36-39, 2008-12
丸岡 弘和 , 後藤 康慶
食品工業 46(16), 71-76, 2003-08-30
松本 理加 , 山崎 有亮 , 大生 和博 , 鎌田 悦雄
薬剤学 62, 283, 2002-03-05
セラミックス製造用バインダーとしての結晶セルロース「アビセル^<【○!R】>」
旭化成株式会社 添加剤営業第二部
セラミックス 37(3), 201, 2002-03-01
結晶セルロース及びポリエチレングリコールを用いた遅延放出型アミノフィリン錠の調製と評価
渡辺 義照 , 向井 麦 , 河村 健一 [他] , 石川 達也 , 並木 路広 , 宇都口 直樹 , 藤井 まき子
藥學雜誌 = Journal of the Pharmaceutical Society of Japan 122(2), 157-162, 2002-02-01
原料紹介 結晶セルロース(アビセル,セオラス)の化粧品への応用
旭化成工業株式会社
フレグランスジャーナル 28(7), 93-96, 2000-07
セルラーゼによる結晶セルロース分解過程での相乗効果に及ぼす基質の断片化の影響
田中 三男 , 森田 正和 , 三井 亮司
化学工学論文集 26(3), 418-422, 2000-05-10
セルラーゼの結晶セルロース加水分解反応を利用したセロビオースの効率的連続生産
田中 三男 , 藤本 篤 , 三井 亮司
化学工学論文集 26(3), 413-417, 2000-05-10
大生 和博 , 飯嶋 秀樹 , 今田 清久
高分子論文集 56(3), 141-150, 1999-03-25
結晶セルロースの粒子形態が錠剤圧縮性に及ぼす影響 第2報 結晶セルロース粒子の配向性が圧縮成形特性に及ぼす影響
大生 和博 , 飯嶋 秀樹 , 今田 清久
高分子論文集 56(3), 141-150, 1999
セルラーゼによる結晶セルロースの加水分解過程での相乗効果有無の判別式の確立
田中 三男 , 鴫原 泰二 , 尾嶋 洋彰 , タナカ ミツオ , シギハラ タイジ , オジマ ヒロアキ , Mitsuo Tanaka , Taiji Shigihara , Hiroaki Ojima
岡山理科大学紀要. A, 自然科学 (35), 75-78, 1999
セルラーゼによる結晶セルロースの加水分解過程での相乗効果有無の判別式の確立
田中 三男 , 鴫原 泰二 , 尾嶋 洋彰
岡山理科大学紀要 A 自然科学 (35), 75-78, 1999
リン酸ナトリウム塩の錠剤化における添加剤としての無水リン酸水素カルシウム(フジカリンS^【○!R】)と結晶セルロース(アビセルPH-F20^【○!R】)の比較
郡 修徳 , 板垣 文雄 , 岸野 吏志 , 井関 健 , 宮崎 勝巳
病院薬学 = Journal of the Nippon Hospital Pharmacists Association 24(6), 711-715, 1998-12-10
柳沼 義仁
日本食品新素材研究会誌 1(2), 113-116, 1998-11
結晶セルロ-ス(アビセル,セオラス)の酸性たん白飲料への応用 (特集 セルロ-スの食品への利用)
柳沼 義仁
月刊フ-ドケミカル 14(10), 22-25, 1998-10
リン酸ナトリウム塩の錠剤化における添加剤としての無水リン酸水素カルシウム(フジカリンS)と結晶セルロース(アビセルPH‐F20)の比較
郡 修徳 , 板垣 文雄 , 岸野 吏志 , 井関 健 , 宮崎 勝巳
病院薬学 24(6), 711-715, 1998
セルロ-ス系材料の応用-結晶セルロ-ス アビセル【○!R】の新展開-
鎌田 悦雄
繊維学会誌 51(12), 477-481, 1995-12-10
蛍光プローブを用いた多孔性結晶セルロースへの薬品の吸着に関する研究
戸塚 裕一 , 米持 悦生 , 小口 敏夫 , 山本 恵司
薬剤学 55, 142-143, 1995-08-30
結晶セルロースの加水分解におけるセルラーゼの相乗作用(その2) : 酵素
尾嶋 洋彰 , 田中 三男
日本農藝化學會誌 69(臨時増刊), 204, 1995-07-05
結晶セルロ-ス製剤「アビセル」「セオラス」--特性と飲料への応用 (清涼飲料の動向と新技術<特集>)
鎌田 悦雄
ジャパンフ-ドサイエンス 34(2), p45-50, 1995-02
瀬尾 弘子 , 長尾 慶子 , 島村 理美子 , 平山 静子
調理科学 25(3), 196-200, 1992
島村 理美子 , 長尾 慶子 , 平山 静子
調理科学 25(2), 134-137, 1992
坂元 昭宏
繊維学会誌 48(10), P561-P565, 1992
瀬尾 弘子 , 長尾 慶子 , 島村 理美子 , 平山 静子
調理科学 25(3), 196-200, 1992
島村 理美子 , 長尾 慶子 , 平山 静子
調理科学 25(2), 134-137, 1992
9 アスピリン-多孔性結晶セルロース混合系中におけるアスピリンの安定性
米持 悦生 , 小口 敏夫 , 山本 恵司 , 松本 和弘 , 仲井 由宣
日本病院薬学会年会講演要旨集 1(0), 28-29, 1991
河野 健治 , 仲井 由宣
薬学雑誌 103(10), p1060-1067, 1983-10
微結晶セルロースの鉄粉末の混合性、圧密性に及ぼす影響について
金子 泰成
窯業協會誌 91(1057), 56a, 1983-09-01
河野 健治 , 仲井 由宣
藥學雜誌 103(10), 1060-1067, 1983
谷口 正之 , 中村 弘子 , 田中 三男 , 松野 隆一 , 上久保 正
日本醗酵工学会大会講演要旨集 昭和57年度, 250, 1982
新しいろ過助剤を使用した清酒のろ過方法:合成パルプと結晶セルロースの石綿代替性能について
斉藤 富男 , 佐藤 信
日本釀造協會雜誌 73(7), 576-579, 1978
結晶セルロースと混合粉砕したフェニトインの溶解挙動とバイオアベイラビリティー
木村 真太郎
ファルマシア 13(6), 462, 1977
パルミチン酸クロラムフェニコールー結晶セルロース混合粉砕物の物理化学的性質と消化管吸収
山本 恵司 [他] , 松田 州司 , 中野 真汎 , 有田 隆一 , 仲井 由宣
藥學雜誌 97(4), 367-372, 1977
石川 泰弘 [他] , 影山 邦夫 , 藤本 憲治 , 大内 辰郎 , 井本 稔
日本ゴム協会誌 47(8), 560-561, 1974
多糖類のアミノエチル化誘導体による水中懸濁粒子(微結晶セルロース,カオリン)の凝集
樋口 光夫 [他] , 鈴木 恭治 , 千手 諒一
日本化学会誌(化学と工業化学) 1973(2), 233-239, 1973
荒木 綱男 [他] , 山内 貴子 , 三浦 久男
高分子化學 29(329), 652-656, 1972
英語論文
Nazir F, et al. Polymers (Basel). 2020. PMID: 33182562 Free PMC article.
Ricci EB, et al. Int Wound J. 2010. PMID: 20659185 Free PMC article. Clinical Trial.
Microcrystalline cellulose: Isolation, characterization and bio-composites application-A review.
Trache D, et al. Int J Biol Macromol. 2016. PMID: 27645920 Review.
Ohwoavworhua FO, et al. Indian J Pharm Sci. 2010. PMID: 21188036 Free PMC article.
Williams RO 3rd, et al. J Pharm Sci. 1989. PMID: 2614693
Uesu NY, et al. Int J Pharm. 2000. PMID: 11058813
Lewin-Smith MR, et al. Arch Pathol Lab Med. 2011. PMID: 21809983 Free article. No abstract available.
Habibi S, et al. Environ Technol. 2020. PMID: 31042450
Virkutyte J, et al. Bioresour Technol. 2012. PMID: 22284756