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表示名称成分詳細

加水分解エラスチン

成分番号(JP number): 552833

INCI
HYDROLYZED ELASTIN
定義(Description)
本品は、エラスチン(*)を酸、酵素又は他の方法により加水分解して得られるものである。Hydrolyzed Elastin is the hydrolysate of elastin derived by acid, enzyme or other method of hydrolysis
日本の規制情報(Japanese regulation information)
-
中文inci(CN/中国名称)
水解弹性蛋白
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 50
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
하이드롤라이즈드엘라스틴
CAS No.
100085-10-7;73049-73-7;91080-18-1
EC No.
309-148-3(I);-;293-509-4
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

加水分解エラスチン / HYDROLYZED ELASTIN

加水分解エラスチンとは

イノシシ科動物ブタ(学名:Sus scrofa domesticus)または魚類などの結合組織から得ることができる不溶性のエラスチンを使い、そこに酸またはアルカリによる化学処理やエラスターゼによる加水分解によって可溶性としたものが加水分解エラスチンです(1)。

原料となるエラスチンには蛍光物が含まれていることから、加水分解エラスチンも黄色に着色していることが多いという特徴があります(1)。

また、加水分解エラスチンは分子量2,000~5,000程度のものを中心とした加水分解性タンパク質であることから水への溶解性が高く、アミノ酸組成としては全体の30%を占めるグリシンが主要成分であり、その他にアラニン、バリン、プロリンで構成されています(2)。

化粧品成分としては保湿作用、感触改良、機能性成分の効果促進作用が期待され、皮膚や毛髪の保護改善や表皮の柔軟性の増大に有効であることが知られています(1)。 それらを目的として、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品、日焼け止め製品など様々な製品に活用されています。

加水分解エラスチンの配合目的

  • 皮表水分保持による保湿作用
  • 潤滑性により感触改良
  • 機能性成分の効果促進作用

保湿作用

角質層の柔軟性は水分量10~20%で自然な柔軟性を示す一方で、水分量が10%以下になると角質層のひび割れや肌荒れを生じると考えられています(3)。そのため皮膚の水分蒸散を防止することは肌荒れの予防や改善において重要なアプローチの一つとなります。

2001年にノエビア社が行った保水性検証によると、加水分解エラスチンは精製水と比較して保水性を示すことが分かりました(4)。この検証結果により、加水分解エラスチンには皮表水分保持による保湿作用があると認められました。

また、加水分解コラーゲンを併用することによりさらに保湿効果が向上することも報告されています(5)。

感触改良

加水分解エラスチンはその保水性により、他の保湿剤のべたつきを抑えて滑らかな感触を付与することから感触改良にも有用であると認められています(2,5)。

効果促進作用

色素沈着抑制作用や抗老化作用を有する植物エキスや抗酸化作用を有する化合物、保湿作用をもつ保湿剤などと併用することにより、それらを単独で使用するよりも高い改善効果を示すことが報告されています(6,7,8)。

この報告により、加水分解エラスチンには機能性成分の効果促進作用があると考えられています。

加水分解エラスチンの安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR744.pdf

加水分解エラスチンは20年以上の使用実績があります。

また、皮膚刺激性や眼刺激性については殆どなく、皮膚感作性についてもアレルギー性は殆どないため、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。

参考文献

(1)鈴木一成(2012)「加水分解エラスチン(エラスチン加水分解物)」化粧品成分用語事典2012. 中央書院,148

(2)日光ケミカルズ株式会社(2016)「ペプチドとタンパク質」パーソナルケアハンドブックⅠ,404-412.

(3)日光ケミカルズ株式会社(2006)「水」新化粧品原料ハンドブックⅠ,487-502.

(4)株式会社ノエビア(2001)「皮膚外用剤」特開2001-48770.

(5)山之内 智(2012)「N-アセチルグルコサミン(天然由来)・加水分解エラスチンの機能について」Fragrance Journal(40)(8),81-84.

(6)株式会社ノエビア(2001)「皮膚外用剤」特開2001-72569.

(7)株式会社ノエビア(2001)「皮膚外用剤」特開2001-72570.

(8)株式会社ノエビア(2001)「皮膚外用剤」特開2001-72571.

日本語論文

英語論文

Beneficial effects of food supplements based on hydrolyzed collagen for skin care (Review).

Lupu MA, Gradisteanu Pircalabioru G, Chifiriuc MC, Albulescu R, Tanase C.Exp Ther Med. 2020 Jul;20(1):12-17. doi: 10.3892/etm.2019.8342. Epub 2019 Dec 17.PMID: 32508986 Free PMC article. Review.

Hydrolyzed protein shampoo additives are not a common contact allergen.

McFadden JP, Rycroft RJ, White IR, Wakelin SH, Basketter DA.Contact Dermatitis. 2000 Oct;43(4):243.PMID: 11011941 No abstract available.

Contact urticaria from protein hydrolysates in hair conditioners.

Niinimäki A, Niinimäki M, Mäkinen-Kiljunen S, Hannuksela M.Allergy. 1998 Nov;53(11):1078-82. doi: 10.1111/j.1398-9995.1998.tb03818.x.PMID: 9860241

Mineral dusts cause elastin and collagen breakdown in the rat lung: a potential mechanism of dust-induced emphysema.

Li K, Keeling B, Churg A.Am J Respir Crit Care Med. 1996 Feb;153(2):644-9. doi: 10.1164/ajrccm.153.2.8564112.PMID: 8564112

Effects of topical application of different molecular weight marine fish skin collagen oligopeptides on UVB-induced photoaging rat skin.

Qin XY, Xu Y, Wei Y, Zhang RX, Fang L, Zhang HX, Bi Y, Gu RZ.J Cosmet Dermatol. 2021 Oct 19. doi: 10.1111/jocd.14349. Online ahead of print.PMID: 34665916