表示名称成分詳細
ラウロイルサルコシンNa
成分番号(JP number): 552635
- INCI
- SODIUM LAUROYL SARCOSINATE
- 定義(Description)
- 本品は、ラウロイルサルコシン(*)のナトリウム塩であり、次の化学式で表される。Sodium N-lauroylsarcosinate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 【化粧品基準】化粧品の種類又は使用目的により配合の制限がある成分。ラウロイルサルコシンナトリウムとして記載。歯磨 において100g中の最大配合量(g): 0.50g
- 中文inci(CN/中国名称)
- 月桂酰肌氨酸钠
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 36, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 1.5
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 소듐라우로일사코시네이트
- CAS No.
- 137-16-6
- EC No.
- 205-281-5
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ラウロイルサルコシンNa / SODIUM LAUROYL SARCOSINATE
ラウロイルサルコシンNaとは
最初に作られた最も古いアミノ酸系の陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)で、高級脂肪酸であるラウリン酸の塩化物とサルコシンを縮合することによって得られます。
化粧品表示名称は「ラウロイルサルコシンNa」、医薬部外品表示名称は「ラウロイルサルコシンナトリウム」。
他のアミノ酸系の洗浄剤と比較すると若干刺激があるものの、高い洗浄力や起泡性を有することから、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、洗顔料、洗顔石けんなどの洗い物アイテムで使用されています。
更に殺菌作用も有するため、歯磨き粉などでも使用されています。
ラウロイルサルコシンNaaはpH5-6付近で最も起泡力が高くなることから、弱酸性洗浄剤として使用可能であり、毛髪に対する親和性が高く、キメの細かい泡が得られることが報告されています(1,2)。
陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)
界面活性剤には「陰イオン(アニオン)界面活性剤」「陽イオン(カチオン)界面活性剤」「両性界面活性剤」「非イオン(ノニオン)界面活性剤」の4種類があり、ラウロイルサルコシンNaは「陰イオン界面活性剤」に分類されます。
陰イオン界面活性剤は水に溶けると親水基が陰イオンになるという特性があります。
洗浄力が強く泡立ちが良いのが特徴で、シャンプーや洗顔料などで使用されています。
代表的な成分例として、石けん、ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na、ココイルグルタミン酸Naなどが挙げられます。
一般的に皮膚刺激は比較的弱めですが、中には脱脂力が強いものもあります。
化粧品以外では衣類や食器を洗う洗浄剤としても用いられています。
配合制限
ラウロイルサルコシンNaはネガティブリストであるため、下記の配合制限が設けられています。
・石けん、シャンプー等の直ちに洗い流す化粧品以外の化粧品:配合不可
・歯磨き:100g中0.5gまで
他のアニオン界面活性剤との併用について
他のアニオン界面活性剤を主剤とし、補助的にラウロイルサルコシンNaを併用することにより、主剤とした陰イオン界面活性剤の起泡力及び泡のキメを向上させることが報告されています(1)。
生分解性について
食物残渣や洗剤中の界面活性剤など、有機物が水中の微生物によって分解されることを「生分解」と言います(5)。
陰イオン界面活性剤は洗浄剤としての利用用途から、河川水・湖沼水・海水などに排泄されるため、メーカーは環境に与える毒性についても考慮する必要があり、「生分解性」は重要な要素となります。
一般的に60%以上のものは易分解性、40%以上は本質的に生分解可能な物質とみなされ、ラウロイルサルコシンNaは生分解性の点で易分解性であることが確認されており、環境への影響は少ないことが知られています(7)。
参考文献
(1) 竹原 将博(1985)「アミノ酸系界面活性剤」油化学(34)(11),964-972.
(2) 伊藤 知男, 他(1969)「シャンプー」油化学(18)(Supplement),26-35.
(5) 日本石鹸洗剤工業会 石けん洗剤知識 石けん・洗剤Q&A 環境への影響
(7) 日本油化学協会(1990)「界面活性剤のエコロジー」油脂化学便覧 改訂3版,470-476.
ラウロイルサルコシンNaの配合目的
- 起泡
- 洗浄
- 殺菌(口臭予防)※薬用成分として
ラウロイルサルコシンNaの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS719.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS332.pdf
日本語論文
山口 能宏 , 中村 牧 , Lina BIAN , Xiaolin LI , Lu QIU 日本トキシコロジー学会学術年会 37(0), 237-237, 2010
杉原 邦夫 , 山本 隆 , 河村 洋二郎 歯科基礎医学会雑誌 19(3), 463-468, 1977
英語論文
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Lee H, et al. Drug Deliv Transl Res. 2018.PMID: 29090413
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