表示名称成分詳細
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)
成分番号(JP number): 552628
- INCI
- PHYTOSTERYL/OCTYLDODECYL LAUROYL GLUTAMATE
- 定義(Description)
- 本品は、ラウロイルグルタミン酸(*)と、フィトステロール及びオクチルドデカノール(*)の混合物とのジエステルである。N-(1-Oxododecyl)-L-glutamic acid, phytosterols and 2-octyl-1-dodecanol ester
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 植物甾醇/辛基十二醇月桂酰谷氨酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 35.475
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 피토스테릴/옥틸도데실라우로일글루타메이트
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) / PHYTOSTERYL/OCTYLDODECYL LAUROYL GLUTAMATE
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)とは
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)はラウロイルグルタミン酸のもつ2個のカルボキシ基(-COOH)に、フィトステロールズと分岐鎖をもつオクチルドデカノールの混合物が結合したアシルアミノ酸ステロールエステルを言います。
化粧品成分表示名称は「ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)」、
医薬部外品表示名称は「N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル」となっています。なお、成分番号は552628、INCI名はPhytosteryl/Octyldodecyl Lauroyl Glutamateとされています(1)。
働きと用途
化粧品成分としてはエモリエント成分やバリア改善成分に分類され、それらの作用を目的としてスキンケア化粧品やリップ化粧品、洗顔料を始め様々な製品に活用されています。
抱水性および透湿性エモリエント作用
抱水性とは皮膚から水分が蒸発しないように水分を抱え込む力を言います(2)。
また、エモリエント作用とは皮膚からの水分蒸散を防止して潤いを保ち、皮膚を柔軟にするという皮膚生理作用を言います(3)。
また、一般的に抱水性の高い油剤はエモリエント効果も高いことで知られ、この検証によって抱水性および透湿性エモリエント作用を有すると考えられています。
顔料分散
ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)は顔料分散性に優れた効果をもつことで知られています(5)。さらにコレステロールとフィトステロールズはその構造および物性が類似していることで知られています。
これらのことからラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)も同様の顔料分散性を有していると考えられています。
疑似細胞間脂質補充によるバリア改善作用
角質層は天然保湿因子を含む角質細胞と角質の間を細胞間脂質で満たした構造となっています。
細胞間脂質は疎水層と親水層を繰り返すラメラ構造が特徴であり、脂質が結合水を挟み込むことで水分を保持し、角質細胞間に層状のラメラ液晶構造を形成することによりバリア機能を発揮すると考えられています。
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)は優れたラメラ液晶形成能および安定性が報告されています(4)。さらにラウロイルグルタミン酸フィトステリルエステルはその塗布による検証において、角層水分量増加および経表皮水分蒸散量抑制が認められています。
これらのことからラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)においても同様の傾向を有していると考えられ、角質層の細胞間脂質に擬似細胞間脂質(ラメラ液晶構造)を補充することによるバリア改善作用が報告されています(4)。
泡質改善剤
日本精化社が公開した検証によると、
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)配合洗浄剤は細かい泡質であり、持続性のある泡であることが確認されています(4)。
この検証結果により、洗浄剤に対する泡質改善効果が認められています。
CMC補充による毛髪強度改善作用
毛髪は水分を保持しているコルテックスとその隙間を敷き詰めている細胞膜複合体であるCMC(Cell Membrane Complex)などで構成されています。
このCMCが漏出することにより毛髪が破断しやすくなることが知られ、ブリーチやパーマ処理後のCMCの補強が重要であると考えられています。
2016年に味の素社が行った検証において、ブリーチ処理あるいはパーマ処理をしたヒト毛髪に対して10%ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)配合洗浄剤処理を行ったところ破断強度の改善効果を確認しました(6)。
この検証結果により、CMC補充による毛髪強度改善作用が認められています。
安全性について
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)は医薬部外品原料規格2021に収載されています。
また、詳細な安全性試験データが見当たらないものの、20年以上の使用実績の中で眼刺激性、皮膚刺激性、皮膚感作性(アレルギー性)に関する重大な報告もないことから、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると考えられます。
参考文献
(1)化粧品の成分表示名称リスト | 日本化粧品工業連合会 (jcia.org),https://www.jcia.org/user/business/ingredients/namelist 2021年12月14日アクセス.
(2)抱水性とは | 化粧品用語辞書-コスメ・コンシェル (cosmeconcier.jp),https://www.cosmeconcier.jp/w/1344 2021年12月14日アクセス.
(3)化粧品用語集 | ライブラリー | 日本化粧品技術者会 SCCJ (sccj-ifscc.com),https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/208 2021年12月14日アクセス.
(5)三上 直子, 他(1993)「アミノ酸系エモリエント剤N-アシルグルタミン酸コレステリルエステル(AGCE)の有用性」日本化粧品技術者会誌(27)(3),474-479.
(6)Ajinomoto(2016)「Eldew PS-203R」Technical Data Sheet.
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)の配合目的
- 抱水性および透湿性エモリエント作用
- 顔料分散
- 疑似細胞間脂質補充によるバリア改善作用
- 泡質改善剤
- CMC補充による毛髪強度改善作用
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)の安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/SN844.pdf
日本語論文
永井 啓一 , 安増 知子 , 田村 勝 , 五十嵐 章紀 , 藤山 昌彦 , 小林 哲夫 日本化粧品技術者会誌 35(4), 317-324, 2001 J-STAGE
英語論文
なし