化粧品・健康食品業界専門メディア Beaker media「無料企業登録キャンペーン」実施中

表示名称成分詳細

ラウリン酸ポリグリセリル-10

成分番号(JP number): 552559

INCI
POLYGLYCERYL-10 LAURATE
定義(Description)
本品は、ラウリン酸(*)とポリグリセリン-10(*)のエステルである。1,2,3-Propanetriol, homopolymer, dodecanoates (1:1) (10 mol glycerol average molar ratio)
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
聚甘油-10 月桂酸酯
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 15.6, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 5.88
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
폴리글리세릴-10라우레이트
CAS No.
34406-66-1
EC No.
-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

ラウリン酸ポリグリセリル-10 / POLYGLYCERYL-10 LAURATE

ラウリン酸ポリグリセリル-10とは

[化粧品成分表示名称]

・ラウリン酸ポリグリセリル-10

[医薬部外品表示名称]

・モノラウリン酸ポリグリセリル

ラウリン酸ポリグリセリル-10は、炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸と、10個グリセリンが重合したジグリセリン(ポリグリセリル-10)のモノエステルです。多価アルコール型の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。

医薬部外品表示名称としては「モノラウリン酸ポリグリセリル」という名前が使われています。

界面活性剤としてのラウリン酸ポリグリセリル-10

親水基として多価アルコールのグリセリンを含んでいるラウリン酸ポリグリセリル-10は、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。

ノニオン界面活性剤は、水中でイオン化しない親水基を持った界面活性剤です。酸性でもアルカリ性でも使用することができ、水の硬度の影響を受けにくいなど化学的に安定な性質があり、さまざまな界面活性剤と併用することができます。乳化作用・分散作用に優れており、幅広い分野で使用されています。

多価アルコール型のノニオン界面活性剤は、一般に天然由来で毒性も低いことから、化粧品・身体洗浄料だけでなく、食品や医療品の乳化・可溶化剤としても用いられています。曇天現象が起こさないため、幅広い温度領域で長期保存安定性を確保しやすいという特徴があります(1)。

ララウリン酸ポリグリセリル-10などのポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの重合度や、脂肪酸の鎖長、エステル化度を変えることで、親水性-親油性バランス(HLB:Hydrophilic-Lipophilic Balance)を自由に調整することができます。分子構造の設計によって目的とする可溶化物や乳化物を得るための界面活性剤を調製することができるため、食品や化粧品用途などで幅広く利用されています(2)。

また、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、水和力が強いために温度や塩、多価アルコール等の共存物質の影響を受けにくいという特性があり、さまざまな剤形に配合しやすいという利点があります(2)。

乳化

ノニオン界面活性剤に分類されるラウリン酸ポリグリセリル-10は、主に乳化剤として使用されます(3)。乳化剤とは、水と油のように、本来は互いに混じり合わない2種類以上の物質の境界面で働き、どちらか一方が細粒となり、他方の中に均一に分散した「エマルション(乳化物)」を生成する作用がある成分のことです。

エマルションの基本構造には、水の中に油滴が分散したO/W型(Oil in Water type)と、油の中に水滴が分散したW/O型(Water in Oil type)があります。HLBが14-17と報告されているラウリン酸ポリグリセリル-10は、O/W型のエマルションを生成しやすい乳化剤であると言えます。

ラウリン酸ポリグリセリル-10には、エモリエント剤としての作用も知られています(3)。

上記のような特性から、ラウリン酸ポリグリセリル-10は、シャンプー製品、クレンジング製品、洗顔フォーム、スキンケア化粧品、シート&マスク製品など、さまざまな化粧品に使用されています。

起泡・洗浄

ラウリン酸ポリグリセリル-10は低刺激で洗浄性および起泡性を有しています。

3%濃度未満では泡立ちの効果は小さく、一般的に3%濃度以上(好ましくは5%濃度以上)の配合で起泡性を発揮することが知られており(5)、一般的には起泡力、泡のクリーミーさ、泡の持続性を増強する目的で陰イオン界面活性剤と組み合わせて配合されます。

参考文献

  1. 野々村美宗 (2015)「ノニオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 52-56
  2. 樋口智則 (2019)「ポリグリセリン脂肪酸エステルの可溶化 ・ 乳化特性」オレオサイエンス 第 19 巻第 10 号, 405-410
  3. Cosmetic Ingredient Review (2016)「Safety Assessment of Polyglyceryl Fatty Acid Esters as Used in Cosmetics」Final Report
  4. 株式会社資生堂(2008)「洗浄料」特開2008-208050.

ラウリン酸ポリグリセリル-10の配合目的

  • 乳化
  • 起泡・洗浄

ラウリン酸ポリグリセリル-10の安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR717.pdf

日本語論文

非疼痛性(しみない)皮膚洗浄剤液の安全性の検討と使用試験

日野 治子 , 佐藤 八千代 , 関東 裕美 , 伊藤 正俊 , 秋元 留理 , 東山 都紀 , 藤井 薫 , 浅野 さとえ , 小林 美咲 , 横山 美保子 , 内田 一仁 , 高瀬 嘉彦 , 見城 一敏 日本小児皮膚科学会雑誌 = Journal of pediatric dermatology 23(1), 55-61, 2004-05-20

英語論文