表示名称成分詳細
ラウリン酸スクロース
成分番号(JP number): 552555
- INCI
- SUCROSE LAURATE
- 定義(Description)
- 本品は、ラウリン酸(*)とスクロース(*)のモノエステルである。Sucrose laurate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 蔗糖月桂酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 5, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 4.4244
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 수크로오스라우레이트
- CAS No.
- 25339-99-5 / 37266-93-6
- EC No.
- 246-873-3 / 253-432-9
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ラウリン酸スクロース / SUCROSE LAURATE
ラウリン酸スクロースとは
[化粧品成分表示名称]
・ラウリン酸スクロース
[医薬部外品表示名称]
・ショ糖脂肪酸エステル
ラウリン酸スクロース(Sucrose Laurate)は、炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸と、スクロースのモノエステルです。多価アルコール型の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
医薬部外品表示名称としては「ショ糖脂肪酸エステル」という名前が使われています。ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸メチルエステルのエステル交換反応によって調製される物質の総称です。
界面活性剤としてのラウリン酸スクロース
親水基として複数の水酸基を持つスクロースを含んでいるラウリン酸スクロースは、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
ノニオン界面活性剤は、水中でイオン化しない親水基を持った界面活性剤です。酸性でもアルカリ性でも使用することができ、水の硬度の影響を受けにくいなど化学的に安定な性質があり、さまざまな界面活性剤と併用することができます。乳化作用・分散作用に優れており、幅広い分野で使用されています。
多価アルコール型のノニオン界面活性剤は、一般に天然由来で毒性も低いことから、化粧品・身体洗浄料だけでなく、食品や医療品の乳化・可溶化剤としても用いられています。曇天現象を起こさないため、幅広い温度領域で長期保存安定性を確保しやすいという特徴があります(1)。
ラウリン酸スクロースなどのショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸のアルキル鎖長やエステル化度によって、親水性-親油性バランス(HLB:Hydrophilic-Lipophilic Balance)を自由に調整することができできます。そのため、この界面活性剤を使ってエマルションを安定化させるさまざまな技術が検討されてきました。また、抗菌性や潤滑特性を示すことから、化粧品だでなく、医薬品・食品分野においてもさまざまな用途で使用されています(1)。
エマルションの基本構造には、水の中に油滴が分散したO/W型(Oil in Water type)と、油の中に水滴が分散したW/O型(Water in Oil type)があります。HLBが約16と報告されているラウリン酸スクロースは、親水性が高いため、O/W型のエマルションを生成しやすい乳化剤であると言えます。
ラウリン酸スクロースの化粧品への配合
ラウリン酸スクロースはO/W型の乳化剤として、各種クリームや石けんなどのスキンケア製品や、ヘアケア製品、歯みがきなどに使用されています。皮膚を滑らかでしなやかにし、刺激性が少ないという特徴があります(3)。
また、ラウリン酸スクロースにはエモリエント剤としての働きも知られています(4)。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから、安全性評価論文内で説明されている現在の使用方法と濃度内で処方された場合のラウリン酸スクロースの安全性が結論づけられています(4)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2016年時点で、ラウリン酸スクロースを配合している製品の登録数は合計42で、そのうちリーブオン製品は28製品、リンスオフ製品は12製品でした(4)。
製品への含有量について2016年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、ラウリン酸スクロースはリーブオン製品で0.0003%から3%、リンスオフ製品で0.05%から3%の配合率で使用されていました(4)。
参考文献
- 野々村美宗 (2015)「ノニオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 52-56
(3)鈴木一成 (2008)「石ケン素地」化粧品成分用語事典2008, 407
(4)Cosmetic Ingredient Review (2021)「Safety Assessment of Saccharide Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology 2021, Vol. 40 (Supplement 2) 52S–116S
ラウリン酸スクロースの配合目的
- O/W型乳化剤
- エモリエント剤
ラウリン酸スクロースの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS721.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Sucrose laurate gels as a percutaneous delivery system for oestradiol in rabbits.
Vermeire A, et al. J Pharm Pharmacol. 1996.PMID: 8799868
Yutani R, et al. Chem Pharm Bull (Tokyo). 2014. PMID: 24583782 Free article.
Wang J, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2022. PMID: 35014730
[Modelling of pecutaneous drug permeation and investigation of penetration enhancer effect].
Csizmazia E, et al. Acta Pharm Hung. 2012.PMID: 22570983 Review. Hungarian.
Natural microemulsions: formulation design and skin interaction.
Schwarz JC, et al. Eur J Pharm Biopharm. 2012. PMID: 22561183
Effect of sucrose fatty acid esters on transdermal permeation of lidocaine and ketoprofen.
Okamoto H, et al. Biol Pharm Bull. 2005.PMID: 16141541 Free article.
Vlaia L, et al. Pharmaceutics. 2021.PMID: 35056971
Todosijević MN, et al. Int J Pharm. 2015.PMID: 26497615
Hoppel M, et al. Skin Pharmacol Physiol. 2015.PMID: 25612540
Schwarz JC, et al. J Pharm Sci. 2013.PMID: 23794482