表示名称成分詳細
ラウラミドプロピルベタイン
成分番号(JP number): 552492
- INCI
- LAURAMIDOPROPYL BETAINE
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表される両性化合物(分子内塩)である。(Carboxymethyl)dimethyl-3-[(1-oxododecyl)amino]propylammonium hydroxide
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 月桂酰胺丙基甜菜碱
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 25, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 3.9
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 라우라미도프로필베타인
- CAS No.
- 4292-10-8
- EC No.
- 224-292-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ラウラミドプロピルベタイン / LAURAMIDOPROPYL BETAINE
ラウラミドプロピルベタインとは
ラウラミドプロピルベタインは界面活性剤の一種です。
その中でも、炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸とジメチルプロピレンジアミンから脂肪酸アミドアミンを合成し、ベタイン化して得られるラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインであり、アミノ酢酸ベタイン型に分類される分子量344.5の両性界面活性剤です(1)。
界面活性剤は、本来であれば混ざり合わない水と油を混ざり合わせる効果を持ちます。
界面活性剤は、その性質によって大きく4種類に分類されます。
まず水に溶けた際に、電離してイオンとなるタイプと、ならないタイプに分かれます。
イオンになるタイプをイオン性界面活性剤、イオンにならないタイプを非イオン性界面活性剤(ノニオン界面活性剤)と呼びます。
イオン性界面活性剤の中から、さらに水に溶けた時の性質によって3タイプに分かれます。
分子がマイナスイオンに電離するアニオン界面活性剤、プラスイオンに電離するカチオン界面活性剤、アルカリ性か酸性かでアニオン界面活性剤の性質かカチオン界面活性剤の性質のどちらかに分かれる両面界面活性剤の3種です。
両面界面活性剤は、その分子の中にアニオン基とカチオン基の両方を持っています。
両面界面活性剤の中でも、アミノ酸型、ベタイン型、天然系の大きく三種類に別れます。
化粧品においては一般的にアミノ酸型、ベタイン型が使われています。
ラウラミドプロピルベタインはベタイン型に分類されます。
化粧品に配合される場合は、以下の作用を目的に配合されます。
陰イオン界面活性剤との併用による起泡・洗浄
ラウラミドプロピルベタインは洗浄性・起泡性を有しています。さらに陰イオン界面活性剤と併用されることで、洗浄性・泡安定性の増大が知られています(2)(3)。
このことから、陰イオン界面活性剤と併用して洗浄製品などに使用されています。
陰イオン界面活性剤の増粘
ラウラミドプロピルベタインは、陰イオン界面活性剤と配合することによって高い増粘性を示します。
そのため、増粘の目的で陰イオン界面活性剤と合わせて配合されます。
陽イオン界面活性剤の可溶化
ラウラミドプロピルベタインは陰イオン界面活性剤と複合体を形成し、陰イオン界面活性剤水溶液中に陽イオン界面活性剤を可溶化することが知られています(4)。
陰イオン界面活性剤の刺激緩和作用
ラウリル硫酸Naや、オレフィンスルホン酸Naは、比較的皮膚刺激性が高い陰イオン界面活性剤です。
ラウラミドプロピルベタインをこのような陰イオン界面活性剤と併用すると、皮膚や毛髪への刺激性を低下・緩和されることが分かっています。
このことから、刺激緩和作用を目的に陰イオン界面活性剤と合わせて配合されます。
コアセルベート生成によるヘアコンディショニング作用
シャンプー希釈時に、溶質が均一に分散した状態から部分的に溶質が集合し溶質の多い領域と極めて少ない領域に分離する現象をコアセルベーションといいます(5)。
このコアセルベーションによって分離した溶質の多い領域は、洗浄機能とコンディショニング機能をもつ複合体で、コアセルベートと呼ばれます。コアセルベートはシリコーンや油性成分を含むため、それらが毛髪表面に吸着することで、すすぎ時に毛髪へ滑らかさを付与し、コンディショニング効果を発現することが報告されています(5,6)。
実際のシャンプー剤においては、シャンプー塗布後の泡立て時には洗浄作用が発現し、その後、汚れをすすぎ流す過程でコアセルベートが生成され、コンディショニング効果が発現するように設計されています(7)。
ラウラミドプロピルベタインは、ココアンホ酢酸Naなどのグリシン型両性界面活性剤を併用することで、コアセルベート生成量がさらに増加することが報告されています。
参考文献
- “Pubchem”(2019)「Lauramidopropyl betaine」, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Lauramidopropyl-betaine 2019年9月12日アクセス.
- 宮澤 清(1993)「化粧せっけん及びヘアシャンプーの泡立ちとソフト感」油化学(42)(10),768-774.
- 日光ケミカルズ(2006)「両性界面活性剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,207-215.
- 日油株式会社(2015)「毛髪洗浄剤組成物」特開2015-205834.
- 樋渡 佳子, 他(2004)「カチオン性高分子と界面活性剤のコアセルベートに関する研究」日本化粧品技術者会誌(38)(3),211-219.
- 江連 美佳子(2018)「美しい髪をめざして-香粧品ができること-」日本香粧品学会誌(42)(1),15-20.
ラウラミドプロピルベタインの配合目的
- 陰イオン界面活性剤との併用による起泡・洗浄
- 陰イオン界面活性剤の増粘
- 陽イオン界面活性剤の可溶化
- 陰イオン界面活性剤の刺激緩和作用
- コアセルベート生成によるヘアコンディショニング作用
ラウラミドプロピルベタインの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS518.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Ye Q, et al. Macromol Biosci. 2021.PMID: 34626523
Morris SAV, et al. Langmuir. 2021.PMID: 34802246
Jamadagni SN, et al. Langmuir. 2021.PMID: 34270265
Gizzatov A, et al. Sci Rep. 2021.PMID: 33564048 Free PMC article.
Wang G, et al. J Hazard Mater. 2019.PMID: 30368060
Sun Z, et al. J Colloid Interface Sci. 2020.PMID: 31931295
Wang Z, et al. J Contam Hydrol. 2021.PMID: 34217881