表示名称成分詳細
ヨクイニンエキス
成分番号(JP number): 552484
- INCI
- (NOTHING)
- 定義(Description)
- 本品は、本品は、ハトムギCoix lacryma-jobi ma-yuenの種皮を除いた種子のエキスである。
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- -
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- -
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- CAS No.
- EC No.
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
ヨクイニンエキス / (NOTHING)
ヨクイニンエキスは、イネ科ジュズダマ属の穀物(Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)の種子から水、エタノール、BGで抽出して得られる植物エキス(抽出物)です。
化粧品成分表示名称は「ハトムギ種子エキス」、医薬部外品表示名称は「ヨクイニンエキス」とされています。
中国からインドシナ半島のベトナムにかけての熱帯アジア原産で日本へは古くから渡来し、栽培されています。渡来時期は明確にはなっていません。
モチ性の穀物独特の香りと味を持ち、粒食されるほか、粉に挽いて、餅や団子も作られたり、一般的にはハトムギ茶として飲用されています(1,2)。
穀粒としては大型であるため、火が通りにくく、米と混ぜて炊く際は、事前にハトムギだけを長時間水で浸しておき、あらかじめ下煮した状態で混炊します(4)。
ハトムギには肌にもよい薬効があるとされており、身体を冷やす効果があるため、夏バテや運動後などの身体が熱を持っている場合にも良いとされています(4)。
ヨクイニンエキスは天然由来の成分であることから、収穫された地域、温度や湿度、抽出方法によって含まれる成分が多少変わりますが、主な組成成分は「デンプン」「コイキサンA,C」「タンパク質」「コイキセノリド」「パルミチン酸」「ステアリン酸」「カンペステロール」「スティグマステロール」を中心に構成されています(1,5,6)。ヨクイニンエキスのメイン成分である「コイキセノリド」は抗腫瘍の作用があることで知られています(1)。
ヨクイニンエキスは保湿成分、抗アレルギー成分、細胞賦活成分を目的として、スキンケア製品、クレンジング製品、シートおよびマスク製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、ボディ・ハンドケア製品、シャンプー製品、ボディソープ製品、デオドラント製品など多種多様な製品に配合されています。
化粧品以外で使われている分野として、医薬品分野では尋常性疣贅(イボ)の治りを良くしたり、尋常性疣贅診療ガイドライン(2019年版)には「推奨度B:行うよう薦められる」に分類されていて、イボ取りに使用されています(1,7)。
漢方分野では利湿作用があるため関節痛や関節浮腫に、また抗腫瘍作用があることから胃腸系の腫瘍やポリープなどの解消を目的として用いられることもあります(1,7)。
皮膚刺激性について
各試験データによると、共通して皮膚一次刺激および累積刺激なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性についてはほとんどないという可能性が高いです。
参考文献
- 鈴木 洋(2011)「薏苡仁(よくいにん)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,472-473.
- 杉田 浩一, 他(2017)「はとむぎ」新版 日本食品大事典,628-629.
- 貝津好孝(1995)『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、190頁
- 林弘子(1998)『穀物をもっと楽しもう』晶文社、113 - 115頁。
- 御影 雅幸(2013)「ヨクイニン」伝統医薬学・生薬学,228-229.
- 竹田 忠紘, 他(2011)「ヨクイニン」天然医薬資源学 第5版,237-238.
- 根本 幸夫(2016)「薏苡仁(ヨクイニン)」漢方294処方生薬解説 その基礎から運用まで,196-197.
皮膚感作性(アレルギー性)について
日本薬局方および医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
ヨクイニンエキスの配合目的
- 保湿成分
- 抗アレルギー成分
- 細胞賦活成分
ヨクイニンエキスの安全性情報
- ヨクイニンエキスは、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています(1)。
- 試験データ(2)によると、固形分濃度5%ハトムギ種子エキス溶液0.03%の塗布では、皮膚刺激性は認めず、ヨクイニンエキスの皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。
- 試験データ(3)によると、固形分濃度0.5%ハトムギ種子エキス水溶液0.5mlの1日1回週5回、2週にわたっての塗布では皮膚刺激性は認めず、ヨクイニンエキスの皮膚累積刺激性はほとんどないと考えられます。
- 皮膚感作性に関しては20年以上の使用実績の中で、報告がないためほとんどないと考えられますが、試験データがないため詳細は不明です。
参考文献
(1)医薬部外品原料規格2021(https://www.mhlw.go.jp/content/000843321.pdf)
(2)小川香料株式会社(2017)「体臭の消臭剤組成物」特開2017-149697.
(3)一丸ファルコス株式会社(2003)「化粧料組成物」特開2003-104835.
日本語論文
ヨクイニンの脂漏性角化症(老人性疣贅)に対する 有効性の文献的検討
林 伸和 , 川端 康浩 日本臨床皮膚科医会雑誌 35(1), 63-67, 2018
疣贅 : 足底の疣贅の無痛治療 (特集 皮膚科最新治療のすべて)
江川 清文 デルマ (190), 172-177, 2012-04
谷口 彰治 , 幸野 健 , 細見 尚子 , 東 奈津子 , 山本 直樹 西日本皮膚科 62(3), 389-391, 2000
ヨクイニンエキス散 錠の使用成績調査 : 尋常性疣贅および青年性扁平疣贅に対する有効性, 安全性および有用性の評価
別府邦英 医と薬学 36, 69-90, 1996
神崎保 新薬と臨 41, 894-897, 1992
伝染性軟属腫に対する「ヨクイニンエキス散」の臨床効果 : placebo を対照とした多施設二重盲検法による比較試験
ヨクイニンエキス散研究班 皮膚 29, 762-773, 1987
伝染性軟属腫に対する「ヨクイニンエキス散」の臨床効果 placeboを対照とした多施設二重盲検法による比較試験:placeboを対照とした多施設二重盲検法による比較試験
ヨクイニンエキス散研究班 皮膚 29(4), 762-773, 1987
伝染性軟属腫に対するヨクイニンエキス散の投与量と臨床効果に関する検討
石井 正光 , 高橋 邦明 , 依藤 時子 , 岡田 正博 , 濱田 稔夫 , 松尾 仁子 皮膚 29(2), 345-349, 1987
高橋 邦明 , 石井 正光 , 依藤 時子 , 濱田 稔夫 , 松尾 仁子 , 鈴木 伸典
皮膚 29(2), 339-344, 1987
英語論文
Clinical and in vitro cross-reactivity of cereal grains in children with IgE-mediated wheat allergy.
Srisuwatchari W, et al. Allergol Immunopathol (Madr). 2020. PMID: 32327208
Kuo CC, et al. J Tradit Complement Med. 2012. PMID: 24716141
Biological activities of fructooligosaccharide (FOS)-containing Coix lachryma-jobi Linn. extract.
Manosroi J, et al. J Food Sci Technol. 2014.PMID: 24493893
Natural Sources of Melanogenic Inhibitors: A Systematic Review.
Goelzer Neto CF, et al. Int J Cosmet Sci. 2022. PMID: 35048395
Traditionally Used Natural Products in Preventing Ionizing Radiation-Induced.
Kalekhan F, et al. Anticancer Agents Med Chem. 2022. PMID: 33820524
Jinnouchi M, et al. Nutrients. 2021.PMID: 34836336
Melanogenesis inhibitors from Coixlacryma-jobi seeds in B16-F10 melanoma cells.
Amen Y, et al. Nat Prod Res. 2017.PMID: 28278663
Chung CP, et al. Food Funct. 2021.PMID: 34854443
Jiang J, et al. Int J Oncol. 2011.PMID: 21468543
Shan SJ, et al. Int J Mol Med. 2012.PMID: 22211241
Son ES, et al. BMC Complement Altern Med. 2019. PMID: 31729992
Huang HC, et al. Int J Mol Sci. 2014.PMID: 25244016
Byun AR, et al. Explore (NY). 2016.PMID: 26701790
Chung CP, et al. J Agric Food Chem. 2011.PMID: 21517098