表示名称成分詳細
ミツロウ
成分番号(JP number): 552367
- INCI
- BEESWAX
- 定義(Description)
- 本品は、ミツバチ Apis mellifera 又は同属動物の巣から得られるろうである。Beeswax absolute (RIFM),Beeswax concrete (RIFM),Beeswax, white (Apis mellifera L.) (RIFM),Bleached Beeswax,Cera Alba (EU),White Beeswax,White Wax,Yellow Wax
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 蜂蜡
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 50
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 비즈왁스
- CAS No.
- 8006-40-4, 8012-89-3
- EC No.
- ,232-383-7(I)
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
ミツロウ / BEESWAX
ミツロウとは
ミツロウとは、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルからなる、動物性ロウです。
化粧品成分としては、油性成分としてベース成分に分類され、乳化安定剤として使用された実績もあります。
ミツロウの原料は、ミツバチ科動物ミツバチ（学名：Apis mellifera 英名：Honey bee）の巣から得られる動物性固体ロウです。
ミツバチの巣は、花粉、プロポリス、唾液などが含まれており、採取し精製したミツロウは黄色みを帯びた固形のロウとなっています。
色に関しては花の色、産地によって影響を受けるといわれています(4)。
採取されたミツロウを、漂白・精製したものが“サラシ”ミツロウと呼ばれます(3)。
サラシミツロウは基本的には白色の固形ロウとなっています。
化粧成分として使用する際は、サラシミツロウが主流ですが、化粧成分表示名称ではミツロウ、サラシミツロウを合わせて「ミツロウ」と分類されえいるので注意が必要です。
医薬部外品表示名称においては「ミツロウ」と「サラシミツロウ」は別に登録されています。
ミツロウは、精製度合いの違い以外にも、ミツバチの品種により、若干の違いがあります。
セイヨウミツバチとトウヨウミツバチには違いがあり、成分のから酸価に違いが生じています。
セイヨウミツバチの方が酸価が高いため、安定性が高くなっており、高酸タイプと呼ばれています。
トウヨウミツバチは酸価が低く、低酸タイプと呼ばれます。
セイヨウミツバチとトウヨウミツバチの比較です(4)。
- セイヨウミツバチ
酸価：14-22
融点：60-67℃
ヨウ素価：4-15
- トウヨウミツバチ
酸価：5-9
融点：60-67℃
ヨウ素価：5-15
化粧製品としては、スティック状メイクアップ化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品に使用されています(1)。
硬度改良
成形目的も含め、他の油性成分と一緒に配合することで、硬度を高くできます。
スティック状製品、口紅などの製品の成形に使用されています。
安定性
ミツロウは、化粧品のベース成分として、水性成分、油性成分、界面活性剤、顔料・粉体成分のうち、油性成分として分類されます。
ミツロウは、柔らかいテクスチャーを持っており、配合成分の融点を高め、熱に対しての安定性を増加させます(3)。
他の油脂やロウ、顔料・粉体を均一に混ぜることも可能で、口紅、スティック状製品に使用されています。
乳化剤
ミツロウはオイル成分との相性がよく、構成成分の遊離酸（パルミチン酸、セロチン酸）が作用し、乳化剤として使用されます(5)。
乳化安定性は高酸タイプが良いとされ、セイヨウミツバチのミツロウが安定性が高いと言われています(4)。
ミツロウとホウ砂をあわせて乳化剤とし、コールドクリームに使用された実績もあります(3)。
ツヤ・光沢の付与
油性成分として、化粧製品にツヤ・光沢を与える作用を持っており、口紅、スティック状製品に使用されています。
安全性
ミツロウは10年以上の使用実績があり、日本薬局方、医薬部外品原料規格に記載されています。
一般的な使用であれば安全性は高いといわれています。
皮膚刺激性に関してほとんど刺激がないとの結果や、皮膚感作性、光感作性に関してもアレルギーはないとの実験結果が報告されています(1)。
眼刺激性に関しては、一部の実験で刺激があったとの報告があります。限定的な報告であり、一般の使用では、ほとんど刺激はないとの結論になっています。
参考文献
(1)Cosmetic Ingredient Review（1984）「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax, Carnauba Wax, Japan Wax, and Beeswax」International Journal of Toxicology(3)(3),1-41.
(2) 宇山光男、 岡部美代治、 久光一誠「化粧品成分ガイド 第6版」(2015). (n.p.): フレグランスジャーナル社
(3) 鈴木一成.「化粧品成分用語事典」2012. (2012). 日本: 中央書院.p23
(4) 古賀 直一「蜂ろうの性質と用途」ミツバチ科学.03882217.玉川大学ミツバチ科学研究所.2000.21(4)p145-153
(5) 株式会社セラリカNODA「ミツロウ」ミツバチ科学.0388-2217.1995-10-20.16(4)
ミツロウの配合目的
- ミツロウの硬度を利用した、製品の硬度改良目的
- 製品へのツヤ・光沢付与目的
- ミツロウの融点の高さを利用した、耐温向上作用
- 構成成分である遊離酸（パルミチン酸、セロチン酸）による乳化作用
ミツロウの安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRNS475.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr204.pdf
日本語論文
ミツロウとは何か : セイヨウミツバチとトウヨウミツバチ (特集 アピセラピーとミツバチの世界) -- (ミツバチ産品とは?)
古田 一美 Aromatopia : the journal of aromatherapy & natural medicine 28(5), 34-37, 2019
12月例会 ミツロウシートでキャンドルをつくろう! 子どもと科学よみもの (469), 2-3, 2017-03
株式会社セラリカNODA ミツバチ科学 16(4), 163-166, 1995-10-20
445. サラシミツロウを用いた CT 撮影評価用ファントムの試作(第 46 回総会学術大会会員研究発表予稿)
桂川 正美 , 勢川 博雄 , 中瀬 節夫 , 斎藤 高司 日本放射線技術学会雑誌 46(3), 599, 1990
445. サラシミツロウを用いた CT 評価用ファントムの試作(CT-9 補助具ファントム)
桂川 正美 , 勢川 博雄 , 中瀬 節夫 , 齋藤 高志 日本放射線技術学会雑誌 46(8), 1416, 1990
山本恵理子 皮膚臨床 27, 961-967, 1985
権東明 皮膚 26, 658-663, 1984
英語論文
Beeswax: A minireview of its antimicrobial activity and its application in medicine.
Fratini F, Cilia G, Turchi B, Felicioli A.Asian Pac J Trop Med. 2016 Sep;9(9):839-843. doi: 10.1016/j.apjtm.2016.07.003. Epub 2016 Jul 26.PMID: 27633295 Free article. Review.
Adulteration of beeswax: A first nationwide survey from Belgium.
El Agrebi N, Svečnjak L, Horvatinec J, Renault V, Rortais A, Cravedi JP, Saegerman C.PLoS One. 2021 Sep 9;16(9):e0252806. doi: 10.1371/journal.pone.0252806. eCollection 2021.PMID: 34499645 Free PMC article.
Final report on the safety assessment of PEG-6, -8, and -20 sorbitan beeswax.
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Topical Formulation Containing Beeswax-Based Nanoparticles Improved In Vivo Skin Barrier Function.
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The effect of phase volume ration on emulsion type. I. Beeswax-borax ointments.
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