表示名称成分詳細
マイクロクリスタリンワックス
成分番号(JP number): 552346
- INCI
- MICROCRYSTALLINE WAX
- 定義(Description)
- 本品は、石油から得た常温で固体の炭化水素類の混合物で、主としてイソパラフィンからなる。Cera Microcristallina (EU),Hydrocarbon Waxes, Microcryst,Petroleum Wax, Microcrystalline
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 微晶蜡
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 63.518
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 마이크로크리스탈린왁스
- CAS No.
- 63231-60-7/64742-42-3
- EC No.
- 264-038-1/265-144-0
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
マイクロクリスタリンワックス / MICROCRYSTALLINE WAX
マイクロクリスタリンワックスとは
石油から得られるワセリンから固形炭化水素(イソパラフィン)部分を分離して得られる固形の石油系炭化水素の混合物です。
主に炭素数31〜70の炭化水素類の混合物で、側鎖を有する炭化水素(イソパラフィン)が主成分で、このほかに直鎖炭化水素(ノルマルパラフィン)と環状炭化水素(ナフテン)を少量含んでます。
原油の種類、製法によって物性が異なり、精製の程度によって外観が白色〜褐色〜黒色まで種々存在しているが、化粧品に用いられるものは、精製したものは白色〜淡黄色のやや透明または不透明の微晶性の固体です。
石油原油から分離されるものとしてほかに通常のパラフィンがありますが、マイクロクリスタリンワックスはパラフィンと異なり、結晶形が小さく、分子量が大きく、イソパラフィンを主成分とする複雑な混合物です。粘り気が強く、伸びが良く、融点が高く、油との相溶性がよく、ほかのロウに混合すると結晶の成長を抑制する効果をもちます。
また、液体油と混合すると液体油が分離して発汗するのを防ぐといった効果もあります。以上から口紅やアイシャドウ、クリームなどに使用されています(3)。
主な用途として、ロウソク、紙加工、ゴム、接着剤、繊維加工助剤、製紙加工用、精密鋳造用、インク・文具・事務用品、研磨剤・家庭用ワックス、化粧品(結合剤、増量剤、乳化安定剤、親油性増粘剤、油剤などとして、クリーム、美白クリーム、アイシャドウ、口紅、スティック)に活用されています。
主として原油の減圧蒸留残渣油部分から取り出されるワックスで、構成している炭化水素は分岐炭化水素(イソパラフィン)や飽和環状炭化水素(シクロパラフィン)が多くなります。
このためパラフィンワックスに比較して結晶が小さくなります。また分子量も大きく、その為融点も60℃~90℃程度と高くなります。更に溶融粘度も高くなります。従ってろうそく用途には不向きで、流通量はパラフィンワックスの1割程度しかありません。
主として減圧蒸留ボトムから分離される為、その炭素数は約30~60、分子量は約500~800で、一般にパラフィンワックスより融点が高くなります。また組成的には結晶の小さいイソパラフィンやシクロパラフィンが多いため微結晶となり、これがマイクロクリスタリンワックスと呼ばれている所以です。
また、ワセリンの性状は、固形炭化水素の中に液状炭化水素が存在するコロイド状態ですが(文献2)、マイクロクリスタリンワックスは、ワセリンの固形炭化水素部分のみを分離した炭化水素のため、半固形のワセリンと異なり、完全に固形です。
主成分は、分子量が450~1000と比較的大きなC₃₁-C₇₀のイソパラフィンであり、ほかには少量のパラフィンとナフテン系炭化水素が含まれています(文献2)。
また液体油と混合すると液体油が分離して発汗するのを防ぐなどの特性をもっている。
多くの油分成分に溶けやすく、酸化変質することがなく、熱や紫外線にも安定している。
オイルベースの増粘剤、固形化剤としても配合されている。
マイクロクリスタリンワックスの配合目的
化粧品に配合される場合は、感触改良の目的で、メイクアップ化粧品などに使用されています(1)(2)。
感触改良
粘性、展延性を有する上に、低温でも脆弱にならないという特徴があるため、乳化製品の粘性調整などの目的で固形成分としてメイクアップ化粧品などに使用されます(1)(2)。
また液状油の含みがよく、液体油と併用すると発汗を抑制したり、ほかのロウ類と併用することで結晶の成長を抑制する特性もあります(2)。
安全性について
マイクロクリスタリンワックスの現時点での安全性は、皮膚刺激性、眼刺激性、皮膚感作性、光毒性が挙げられます。
まず、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
また、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。
光毒性を誘発しないと報告されているため、光毒性はほとんどないと考えられます。
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
参考文献
- 日光ケミカルズ株式会社(2016)「炭化水素」パーソナルケアハンドブックⅠ,28.
- 広田 博(1997)「炭化水素類」化粧品用油脂の科学,54-60.
- 鈴木一成 (2012) 「化粧品成分用語事典2012」
マイクロクリスタリンワックスの配合目的
- 感触改良
マイクロクリスタリンワックスの安全性情報
日本語論文
多田 敦子 , 杉本 直樹 , 古庄 紀子 [他] , 石附 京子 , 佐藤 恭子 , 山崎 壮 , 棚元 憲一 日本食品化学学会誌 16(2), 92-96, 2009
走査型電子顕微鏡によるオイル/ワックス/水/界面活性剤系の形態観察
生田 香織 , 飯倉 登美雄 , 伊藤 久代 , 横塚 暁人 , 高橋 元次 日本化粧品技術者会誌 38(4), 280-291, 2004
府瀬川 健蔵 石油学会誌 8(12), 979-983, 1965-12
マイクロ・クリスタリン・ワックスによるしょうちゅう (乙) 容器の内面簡易塗装
中村 憲三 日本釀造協會雜誌 60(8), 714-714, 1965
三山 俊一 油化学 8(2), 49-56, 1959
マイクロクリスタリンワックスについて:製法および試験法を中心として
鈴木 彰 油化学 8(4), 141-150, 1959
英語論文
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Skin permeation of lidocaine from crystal suspended oily formulations.
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