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表示名称成分詳細

ポリソルベート60

成分番号(JP number): 552285

INCI
POLYSORBATE 60
定義(Description)
本品は、ソルビトール(*)と無水ソルビトールのモノステアリン酸エステルに酸化エチレン約20モルを付加重合したものであり、次の化学式で表される。w+x+y+z:平均 20Sorbitan, monooctadecanoate, poly(oxy-1,2-ethanediyl) derivs.
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
聚山梨醇酯-60
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 25
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
폴리솔베이트60
CAS No.
9005-67-8
EC No.
-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

ポリソルベート60 / POLYSORBATE 60

ポリソルベート60とは

ポリソルベート60は、界面活性剤の一種です。

化粧品に配合される場合は、ポリソルベート60と表示されますが、医薬部外品に配合される場合はモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンと表示されます。

界面活性剤は、本来であれば混ざり合わない水と油を混ざり合わせる効果を持ちます。

その中でも、多価アルコールエステル型のポリグリセリン脂肪酸エステルに分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。

界面活性剤は、その性質によって大きく4種類に分類されます。

まず水に溶けた際に、電離してイオンとなるタイプと、ならないタイプに分かれます。

イオンになるタイプをイオン性界面活性剤、イオンにならないタイプを非イオン性界面活性剤(ノニオン界面活性剤)と呼びます。

イオン性界面活性剤の中から、さらに水に溶けた時の性質によって3タイプに分かれます。

分子がマイナスイオンに電離するアニオン界面活性剤、プラスイオンに電離するカチオン界面活性剤、アルカリ性か酸性かでアニオン界面活性剤の性質かカチオン界面活性剤の性質のどちらかに分かれる両面界面活性剤の3種です。

非イオン界面活性剤は電離しないため、水の硬度や電解質の影響を受けにくい特徴があります。

また、皮膚に対する刺激性がほとんどないため、1950年代以降、広く利用されるようになりました。

さらに、他のイオン性界面活性剤との併用も可能という特徴があり、乳化剤、可溶化剤、分散材としての使用量が増えています。

化粧品に配合される場合は、主に以下の用途で用いられます。

乳化

乳化とは、1つの液体にそれと溶けあわない別の液体を均一に分散させることを言います(3)。

ポリソルベート60にはこの作用があり、O/W型乳化を引き起こします。

水を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に油が微細粒子状に分散する形で行われる乳化をO/W型乳化と呼びます。

逆にW/O型乳化とは、油を外部層(界面活性剤の外側)とし、中に水が微細粒子状に分散する形で行われる乳化です。

界面活性剤は分子中に親水基と親油基をもっているので両者のバランスが重要になります。親水基と親油基の強さを評価する手段として一般的にHLB値が用いられています。

HLB値は、0~20の値を取り、0に近いほど親油性、20に近いほど親水性が高くなります。界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が必要で、HLB値は理論的なものではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(3)。

ポリソルベート600のHLB値は14.9で、O/W型乳化剤(親水性界面活性剤)です。

この特徴から、ポリソルベート60は主にスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、クレンジング製品などに使用されます。

可溶化

ポリソルベート60は親水性が大きく液状であることから、香料・色素・有効成分など、他の成分を溶かし込む可溶化剤として使用されています。

上記のような効能の付与を目的に、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、シャンプー製品、ボディソープ製品、入浴剤、フレグランス製品など様々な製品に使用されています。

ポリソルベート60は、医薬部外品原料規格2021に収載されており、一般的に安全性に問題がない成分と考えられています。

参考文献

  1. https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html
  2. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  3. 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.

ポリソルベート60の配合目的

  • 乳化
  • 可溶化剤

ポリソルベート60の安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR696.pdf

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr201.pdf

日本語論文

脂質製品の微生物試験に用いる界面活性剤の至適濃度

赤座 誠文 , 小島 肇夫 , 堅田 友則 [他] , 中田 悟 , 小西 宏明 , 石関 忠一 防菌防黴 = Journal of antibacterial and antifungal agents 30(1), 3-11, 2002-01-10

英語論文