表示名称成分詳細
ポリエチレン
成分番号(JP number): 552253
- INCI
- POLYETHYLENE
- 定義(Description)
- 本品は、エチレンの重合体であり、次の化学式で表される。Homopolymer of ethylene monomers
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 聚乙烯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 59.233
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 폴리에틸렌
- CAS No.
- 9002-88-4
- EC No.
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
ポリエチレン / POLYETHYLENE
ポリエチレンとは
ポリエチレンは、エチレンを重合させた物質で、医薬品添加物規格では「ポリエチレン末」、医薬部外品原料規格では「高融点ポリエチレン末」として収載されています。
ポリエチレンは、イギリスで最初に合成されました。1993年、ICI 社の基礎研究として、ベンズアルデヒドとエチレンからフェニルエチルケトンを合成する目的で行われた実験で、意図せず合成された物質です。
ポリエチレンは、天然ワックスより、重合度が大きくて硬く、当時、画期的な物質でした。
1937年9月に、英国および米国で製造法を米国および英国で特許を取得し、1939年9月に工業化されたのち、第二次世界大戦後に世界中に用途は広がっていきました(1)。
ポリエチレンはアメリカ国立衛生研究所の分類で整体適合性材料とされており、体内でも使用できる物質です。
また、IARCの発がん性評価でグループ3とされ、ヒトに対する発癌性が分類できない (Not Classifiable as to its Carcinogenic)とされています。
アメリカ国立バイオロジー情報センターのデータバンクによれば、人への健康の影響については、有意差のある結果は得られていません。また、動物に対しても、ポリエチレンが原因と断定できる健康の所見はありません(2)。
ポリエチレンは、燃焼させると、二酸化炭素と水になり、二酸化炭素は温室効果ガスであるため、従来石油から合成されていたポリエチレンを、バイオマスや再生プラスチックから生成し、発生する二酸化炭素を削減する取り組みが盛んにおこなわれています(3)。
海洋ゴミの原因としても、ポリエチレンはあげられます。生分解性がないため、マイクロプラスチックとして生態系に影響を与えるため、環境面での配慮が必要です(4)。
化粧品には、低密度ポリエチレン粉末は鉱物油に溶解し、増粘剤や乳化剤に利用され、アイシャドウやクリーム、ファンデーションなどに配合されます(5)。
また、球状粉体や微粒子は、ファンデーションの感触向上剤やネイルエナメルのつや消し剤として使用され、粒子の大きいものはスクラブ剤として使用されています(6)。
古い角質を物理的に除去するスクラブは、従来、ポリエチレンが使用されていましたが、昨今の環境保護意識の高まりにあわせて、2016年以降ポリエチレンの使用が減少しています(7)。
参考文献
(1)高圧法ポリエチレン技術 CHEMISTRY & CHEMICAL INDUSTRY │ Vol.69-7 July 2016
(2)国立バイオテクノロジー情報センター(2021年)ポリエチレンのパブケム注釈記録、出典:有害物質データバンク(HSDB)。https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/source/hsdb/7602 から2021年10月15日に取得。
(3)化粧品の環境負荷とその削減の取り組み 廃棄物資源循環学会誌 2014 年 25 巻 3 号 p. 186-193
(4)プラスチックリサイクルの基礎知識2021 一般社団法人 プラスチック循環利用協会
(5)日本化粧品技術者会 化粧品用語集 ポリエチレン末(近亮)
(6)宇山 侊男, 他(2015)「ポリエチレン」化粧品成分ガイド 第6版,180.
(7)株式会社三菱ケミカルリサーチ(2017)平成28年度国内外におけるマイクロビーズの流通実態等に係る調査業務報告書
ポリエチレンの配合目的
・増粘剤
・乳化剤
・感触向上剤
・つや消し剤
・スクラブ
ポリエチレンの安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS687.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS299.pdf
日本語論文
ポリエチレングリコール(PEG)含有化粧品使用による抗PEG抗体誘導とPEG化製剤の薬理効果への影響
石田 竜弘 Cosmetology コスメトロジー研究報告 26, 56-62, 2018
島田 邦男 Fragrance journal = フレグランスジャーナル 44(5), 97-99, 2016-0
新規保湿性高分子ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの開発
秋山 智美 , 澤井 香里 , 坂谷 志織 [他] , 桜井 哲人 , 加賀美 真弓 , 新出 ちはる , 粂井 貴行 日本化粧品技術者会誌 48(3), 184-189, 2014
サトウキビ由来ポリエチレンを用いた化粧品容器の実用化 (第三十六回木下賞 : 受賞論文)
大橋 憲司 , 佐藤 達夫 , 鳥居 晶仁 [他] 包装技術 50(9), 617-620, 2012-09
山口 聖 高分子 55(10), 819, 2006-10-01
極微弱化学発光及び酸素直接定量法によるポリエチレングリコールの劣化度の評価
今枝 一男 [他] , 大沢 敬子 , 内山 一美 , 武藤 章弘 分析化学 34(9), 554-558, 1985
高速液体クロマトグラフィーの化粧品分析への応用 (第3報):非イオン界面活性剤中の副成ポリエチレングリコールの分析
中村 淳 , 松本 勲 油化学 26(8), 464-469, 1977
伴 宏 樹脂加工 4(11), 565-568, 1955-11
伴 宏 樹脂加工 4(10), ????, 1955-10
英語論文
Sujatha K, Vedula RR.Mol Divers. 2020 May;24(2):413-421. doi: 10.1007/s11030-019-09962-3. Epub 2019 May 23.PMID: 31123896
van der Veen HC, van Jonbergen HP, Poolman RW, Bulstra SK, van Raay JJ.Int Orthop. 2013 Jan;37(1):9-14. doi: 10.1007/s00264-012-1738-8. Epub 2012 Dec 11.PMID: 23229800 Free PMC article. Review.
Mangoush E, Säilynoja E, Prinssi R, Lassila L, Vallittu PK, Garoushi S.J Clin Exp Dent. 2017 Dec 1;9(12):e1408-e1417. doi: 10.4317/jced.54205. eCollection 2017 Dec.PMID: 29410756 Free PMC article.
Dang JT, Moolla M, Dang TT, Shaw A, Tian C, Karmali S, Sultanian R.Surg Endosc. 2021 Feb;35(2):900-909. doi: 10.1007/s00464-020-07464-0. Epub 2020 Mar 2.PMID: 32124060
Mahmood Q, Zeng Y, Wang X, Sun Y, Sun WH.Dalton Trans. 2017 May 30;46(21):6934-6947. doi: 10.1039/c7dt01295k.PMID: 28504797
Berkowicz G, Żukowski W.Data Brief. 2020 Jul 30;32:106072. doi: 10.1016/j.dib.2020.106072. eCollection 2020 Oct.PMID: 32793775 Free PMC article.