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ベントナイトとは

ベントナイトは、天然のコロイド状含水ケイ酸アルミニウムであり、粘土鉱物のスメクタイトに分類される分子量360.31のモンモリロナイト鉱物を主成分とする粘土鉱物です(1)。

ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする岩石で、不純物として石英や長石などの鉱物を含んでいます。

ベントナイトは、今から数百万年から数億年前の火山噴火によって堆積した火山灰が、温度や圧力、熱水などと反応して、生成したと考えられており、現在では米国、欧州、中国や日本など世界各地で確認することができます。

ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトは、水を吸収すると元の体積の何倍にも膨らむ膨潤性という特徴的な性質を持っています。

さらに、水に分散させると粘性を示す性質、各種陽イオンをよく吸着する能力など、様々な特性を持っています。

このような特性から、ベントナイトは鋳物、土木建築、ペット用トイレ砂や化成品など非常に多岐にわたって様々な産業分野で利用されています。

またベントナイトは日本薬局方や食品衛生法などにも登録されている物質であり、化粧品や医薬品、食品添加物としても利用されています。近年では、放射性廃棄物を地層処分する際のバリア材としての検討も行われ、さらにベントナイトの用途の検討が進められ、利用の広がりを見せています(2)。

ベントナイトの効果

ベントナイトは、スメクタイトの一般特性である水和と膨潤性に優れており、水を抱えてゲル化する性質を持っていることが報告されています(3)。

ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトは、水と接触することで、層間の交換性陽イオンに水分子が次々に水和することから、水和によって結晶の底面同士の間隔である底面間隔が増加することで膨潤するという原理でゲル化が生じます(4)。

ベントナイトのこのゲル化する性質は、増粘による顔料分散性の向上、乳化安定化、展延性の改良目的で利用されています。イライナー、マスカラ、洗顔料、ボディケア製品、化粧水、フェイスクリームなどがその代表例です。

またベントナイトは、皮膚の上に塗布することにより、皮脂腺由来脂質（皮脂）を特異的に吸着することが報告されています。

人の皮膚には、皮脂腺由来脂質であるスクワレン、ワックスおよびトリグリセリドなどと、表皮細胞由来脂質である脂肪酸、コレステロールおよびコレステロールエステルなどが存在します。ベントナイトは主に皮脂腺由来脂質であるトリグリセリド、ワックスの大部分を除去しますが、その他の脂質である表皮細胞由来脂質はほとんど除去しないことも報告されています(5)。

ベントナイトの皮脂の吸着の性質を利用した製品としては、クレイパック、洗顔料、洗顔石鹸などが代表例です。

参考文献

(1) “Pubchem”（2020）「Montmorillonite」, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Bentolite

(2) https://www.kunimine.co.jp/bent/basic.html 「クニミネ工業株式会社　web」

(3) 鈴木一成（2012）「ベントナイト」化粧品成分用語事典2012,542.

(4) 鬼形正伸（2007）「ベントナイトの特性とその応用」粘土科学(46)(2),131-138.

(5) 芋川玄爾（1985）「洗顔と洗顔料について-皮膚の生理と安全性」Fragrance Journal(13)(5),38-47.