表示名称成分詳細
ペンテト酸5Na
成分番号(JP number): 552225
- INCI
- PENTASODIUM PENTETATE
- 定義(Description)
- 本品は、ペンテト酸(*)の五ナトリウム塩であり、次の化学式で表される。Pentasodium (carboxylatomethyl)iminobis(ethylenenitrilo)tetraacetate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 喷替酸五钠
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 0.96, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 0.5
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 펜타소듐펜테테이트
- CAS No.
- 0140-01-02
- EC No.
- 205-391-3
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ペンテト酸5Na / PENTASODIUM PENTETATE
ペンテト酸5Naとは
ペンテト酸5Naは、ペンテト酸の5ナトリウム塩で、淡黄色透明な液体です(2)。 ペンテト酸5Naは化粧品成分表示名称として定められており、医薬部外品表示名称はジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、ジエチレントリアミン5酢酸5Na液と定められています。
ペンテト酸5Naの基となるペンテト酸は、5つのカルボキシメチル基をもつジエチレントリアミン骨格からなるミノポリカルボン酸です。 ペンテト酸は鉄や重金属との親和性が強く、放射性医薬品での調整にも使用されています。 医薬品としては、放射線医薬品をキレートした、腎シンチグラムに使用されており、腎臓の病変部位などの腎臓のかたちを調べる検査で使用されています(4)。
ペンテト酸5Naとしても化粧品成分で、金属イオン封鎖作用(キレート作用)を配合されます。 化粧品として、スキンケア化粧品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、シャンプー製品、ボディソープ製品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品などに使用されています。
金属イオン封鎖作用(キレート)
ペンテト酸5Naは、金属イオン封鎖作用を持っており、化粧品に金属イオンが混入することで起きる、品質が劣化を防止できます。 劣化とは、薬剤の作用を阻害したり、あるいは化粧水の沈殿を生じさせたり、 油性原料の酸化を促進し変臭・変色の原因となったりします。 ペンテト酸5Naは、金属イオンと結合しキレートを精製し、金属イオンを賦活化することで、化粧品の品質悪化を防いでくれます。 ペンテト酸5Naは特に、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンとつく結びつききれーとを形成します。金属などによって性能が低下しやすい、石けんによく配合されています(1)。
安全性
ペンテト酸5Naは、20年以上の使用実績があり、医薬部外品原料規格にも収載されています。
一般的な使用範囲では安全性に問題がないと言われています。
眼科刺激性に関しては現状判断できるデータは見当たりません。
皮膚感作性に関しては、皮膚感作性の問題となるような報告はありません(3)。
皮膚刺激性に関しては、濃度の違いにより皮膚刺激があるとの報告があります(3)。しかし、現在医薬部外品において濃度の上限が設定されており、使用できる範囲も限られているため、含有されているベンテト酸5Naの濃度は皮膚刺激性において問題ない範囲で使用されています。
ジエチレントリアミン五酢酸の医薬部外品としての配合制限に関して下記に記載します(5)(6)(7)。 薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤:0.20 育毛剤:0.10 その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤:0.10 薬用口唇類:配合不可 薬用歯みがき類:配合不可 浴用剤:0.10 染毛剤(*):0.5
パーマネント・ウェーブ用剤(*):0.5
*ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム及びジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液をジエチレントリアミン五酢酸に換算して、ジエチレントリアミン五酢酸の合計として)
参考文献
(1)山 侊男, 他(2020)「ペンテト酸5Na」化粧品成分ガイド 第7版,214.
(2)鈴木 一成(2012)「ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液」化粧品成分用語事典2012,631.
(3)D.M.Benes & C.L. Burnett(2008)「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium Pentetate and Pentetic Acid as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(27)(2_Suppl),71-92. DOI:10.1080/10915810802244546.
(4)“Pubchem”(2021)「Pentetic acid」,2021年12月18日アクセス.
(5)厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長「染毛剤添加物リストについて」の一部改正についてhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/sennmou300126_1.pdf、2021年12月20日アクセス
(6)厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長「パーマネント・ウェーブ用剤添加物リストについて」https://www.mhlw.go.jp/content/000836282.pdf、2021年12月20日アクセス
(7) 配合制限成分リスト(ポジティブリスト)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/keshouhin-standard.pdf2021年12月20日アクセス
ペンテト酸5Naの配合目的
- 金属イオンとキレートを形成し、化粧品の劣化防止目的
ペンテト酸5Naの安全性情報
皮膚感作性:ほとんどな
皮膚刺激性:一部の試験では0.1177%濃度でつけっぱなしの閉塞パッチ適用という使用条件において皮膚刺激反応の報告あり
ただし、スキンケア化粧品やボディケア製品などリーブオン製品(皮膚につけっぱなしにする製品)の配合範囲調査データによると最大で0.06%濃度と報告されていることから、実際の製品においては皮膚刺激を引き起こさないと考えられる化粧品配合量で設計されていると考えられ、一般にリーブオン製品においても皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。
D.M. Benes & C.L. Burnett(2008)「Final Report on the Safety Assessment of Pentasodium Pentetate and Pentetic Acid as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(27)(2_Suppl),71-92. DOI:10.1080/10915810802244546.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS449.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Benes DM, et al. Int J Toxicol. 2008. PMID: 18830865