表示名称成分詳細
ヘクトライト
成分番号(JP number): 552182
- INCI
- HECTORITE
- 定義(Description)
- 本品は、ベントナイトクレーの主成分であるモンモリロナイト(*)の一種である。Hectorite (clay mineral)
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 水辉石
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 5, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 3.8
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 헥토라이트
- CAS No.
- 12173-47-6
- EC No.
- 235-340-0
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
ヘクトライト / HECTORITE
ヘクトライトとは
ヘクトライトとは
ヘクトライトとは、化学構造的にコロイド状含水ケイ酸アルミニウムマグネシウムであり、粘土鉱物のスメクタイトに分類される分子量360.6のモンモリロナイト鉱物です(文献2:2020)。モンモリロナイトは、コロイド状で可塑性のある粘土のベントナイトの主成分です。
1898年にアメリカの白亜紀の地層中にから発見されたのが初めで、Knightさんがベントナイトと呼んだのが由来と言われています(2)。
ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分して構成されている岩石でありますが、石英や長石などの不純物である鉱物も含んでいます。
ベントナイトは、数百万年から数億年前の火山噴火によって堆積した火山灰などが、温度や圧力、熱水などと反応して生成したと考えられています。現在では米国、欧州、中国や日本など世界各地に存在していることが確認されています(3)。
ベントナイトの主成分であるモンモリロナイト、つまりヘクトライトは、水を吸収すると元の体積の何倍にも膨らむ膨潤性と言う特徴的な性質を持っています。
他には、水に溶けて粘性を示す性質、各種陽イオンをよく吸着する性質など様々な性質を持っています。
このような性質から鋳物、土木建築、ペット用トイレ砂や化成品など非常に多岐にわたって様々な産業分野で利用されてきました。
また化粧品や医薬品、食品添加物としても利用されており、日本薬局方や食品衛生法などにも記載があります。
近年では、放射性廃棄物を地層処分する際のバリア材としての検討も行われ、既存の用途以外での利用も広がりを見せていると言われています(3)。
ヘクトライトの効果
ヘクトライトは、水と接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が次々に水和することから水和性に優れており、水和によって結晶の底面同士の間隔である底面間隔が増加することで膨潤し、ゲル化します(4)(5)。
このゲル化すると言う性質から、ヘクトライトは、アイライナー、アイブロー、マスカラ、クレンジング、洗顔料、ボディケア製品、ネイルケア製品などに使用されています。
また、振るとゲル状から液状になるチキソトロピー性を有していることが知られており、スプレー式の制汗剤にも使用されています(6)。
1999年頃に海外で調査された結果によると、シャンプーやハンド、ボディークリームの用途として使用されている割合が高いという報告結果もあると言われています。
参考文献
(1) “Pubchem”(2020)「Hectorite」, https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Hectorite
(2) モンモリロナイトの鉱物学的性質と変質, 粘土科学, 第20巻, 第3号67~78(1980)
(3) https://www.kunimine.co.jp/bent/basic.html 「クニミネ工業株式会社 web」
(4) 東 正治, 他(1997)「ヘクトライト水熱合成を利用した高温地熱貯留層用ゲル化剤の閉塞作用」資源と素材(113)(1),61-65.
(5) 鈴木 一成(2012)「ヘクトライト」化粧品成分用語事典2012,543.
(6) 鬼形 正伸(2007)「ベントナイトの特性とその応用」粘土科学(46)(2),131-138.
ヘクトライトの配合目的
- ゲル化による親水性増粘
ヘクトライトの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS288.pdf
日本語論文
B18 キラル分離用HPLC力ラム充填剤応用に適したヘクトライト被覆シリカ粒子の合成小栗 睦基 , 佐藤 久子 , 山岸 晧彦 , 岡田 友彦粘土科学討論会講演要旨集 61(0), 110-111, 2017J-STAGE
温度応答性高分子を利用したクレイナノコンポジット膜の作製と膜特性評価
池田 真吾 , 村上 知弘 , 蔵岡 孝治 日本包装学会誌 26(2), 123-130, 2017 機関リポジトリ
英語論文
Safety assessment of ammonium hectorites as used in cosmetics.
Becker LC, et al. Int J Toxicol. 2013.PMID: 24335966
Elmore AR, et al. Int J Toxicol. 2003.PMID: 12851164 Review.
Cho YS, et al. Langmuir. 2021.PMID: 33780257
Luna-Bastante L, et al. Contact Dermatitis. 2020. PMID: 31879957
Adsorption and photocatalytic oxidation of formaldehyde on a clay-TiO2 composite.
Kibanova D, et al. J Hazard Mater. 2012.PMID: 22226716
Kibanova D, et al. Chemosphere. 2011.PMID: 20970157
Kibanova D, et al. Environ Sci Technol. 2009.PMID: 19350926 Free article.
Injectable nanoclay gels for angiogenesis.
Page DJ, et al. Acta Biomater. 2019.PMID: 31541735
Zwitterionic nanocomposite hydrogels as effective wound dressings.
Huang KT , et al. J Mater Chem B. 2016.PMID: 32264623