表示名称成分詳細
ビワ葉エキス
成分番号(JP number): 552122
- INCI
- ERIOBOTRYA JAPONICA LEAF EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、ビワEriobotrya japonicaの葉のエキスである。Eriobotrya Japonica Leaf Extract is an extract of the leaves of the Loquat, Eriobotrya japonica, Rosaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 枇杷(ERIOBOTRYA JAPONICA)叶提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 64.641
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 비파나무잎추출물
- CAS No.
- 91770-19-3
- EC No.
- 294-804-0
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ビワ葉エキス / ERIOBOTRYA JAPONICA LEAF EXTRACT
ビワ葉エキスとは
ビワ葉エキスはバラ科植物ビワ(学名:Eriobotrya japonica 英名:Loquat)の葉を使用して、水、エタノール、BGで抽出して得ることができる植物エキスです。
原料であるビワは元々中国が原産であり、日本には9世紀前後に伝わったと推定されています。その後、江戸時代の末期に清国から大果種が長崎に伝えられたことにより日本各地で栽培されるようになりました(1)。
ビワ葉エキスの成分はネロリドール、ウルソール酸、オレアノール酸、アミグダリン、クエン酸などで構成されていますが、天然成分であることから、原料の産地、収穫時期、抽出方法の影響を受けて成分組成に差異が生じると推察されています(1,2,3)。
また、ビワ葉エキスは抗炎症作用や抗菌作用といった薬理作用をもつことでも知られ、漢方分野や民間医療分野においても活用されています。
化粧品としては抗アレルギー成分、抗酸化成分、抗老化成分、美白成分に分類されており、それらの作用を目的として、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品、まつ毛美容液など様々な製品に使用されています。
抗アレルギー作用
1996年に一丸ファルコス社が実施した検証によると、in vitro試験においてアレルギー性の炎症の原因となるヒスタミンの遊離抑制作用として50%以上を示しました(4)。さらに1998年にノエビア社が行ったラット由来の好塩基白血病細胞液に各植物抽出物を加えて培養した検証では90%以上の高いヒスタミン遊離抑制作用を確認しています(5)。
また、1998年に大阪府立公衆衛生研究所と富山医科薬科大学薬学部の共同研究における検証によると、44%のヒアルロニダーゼ活性阻害を示しました(6)。
これらの試験結果によりビワ葉エキスにはヒスタミン遊離抑制およびヒアルロニダーゼ活性阻害による抗アレルギー作用を有していると考えられています。
抗酸化作用
2006年に一丸ファルコス社が実施した検証によると、in vitro試験において高い活性酸素消去率を示しました。さらに被験者へのビワ葉エキス配合乳液と未配合乳液の塗布による比較試験を実施したところ、乾燥肌の改善や肌のツヤ・ハリを付与する効果が確認されました(7)。
この結果により、ビワ葉エキスには活性酸素消去作用(SOD様活性)による抗酸化作用が認められています。
抗老化作用
2003年に一丸ファルコス社が実施した検証によると、in vitro試験においてコラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの活性を阻害する作用を有することが確認されました。さらに女性被験者へのビワ葉エキス配合乳液と未配合乳液の塗布による比較試験を実施したところ、シワの評価方法が確立されていなかった中での効果確認ではあったものの、肌のハリやツヤの付与、シワやたるみを目立たなくする作用が確認されました(8)。
この結果により、ビワ葉エキスにはコラゲナーゼ活性阻害による抗老化作用が認められています。
色素沈着抑制作用
2014年に一丸ファルコス社が実施した検証によると、in vitro試験においてメラニンの生合成に影響しているPOMCの発現を抑制する効果を有することが確認できました。その結果を受け、シミ・ソバカスで悩む女性被験者へのビワ葉エキス配合乳液と未配合乳液の塗布による比較試験を実施したところ、ビワ葉エキス配合乳液にはシミ・ソバカスの改善効果が確認されました(9)。
この結果により、ビワ葉エキスにはPOMC発現抑制による色素沈着抑制作用が認められています。
安全性
ビワ葉エキスは20年以上の使用実績があり、医薬部外品原料規格2021に収載されています。
また、皮膚一次刺激性や皮膚累積刺激性については殆どなく、皮膚感作性についてもアレルギー性は殆どないと考えられているため、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。
参考文献
(1)鈴木 洋(2011)「琵琶葉(びわよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,410.
(2)竹田 忠紘, 他(2011)「ビワヨウ」天然医薬資源学 第5版,229-230.
(3)御影 雅幸(2013)「ビワヨウ」伝統医薬学・生薬学,182.
(4)一丸ファルコス株式会社(1996)「皮膚外用剤および浴用剤」特開平08-073314.
(5)株式会社ノエビア(1998)「抗アレルギー剤及びこれを含有する抗アレルギー性化粧料並びに食品」特開平10-36276.
(6)沢辺 善之, 他(1998)「生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用」YAKUGAKU ZASSHI(118)(9),423-429.
(7)一丸ファルコス株式会社(2006)「活性酸素消去剤」特開2006-117612.
(8)一丸ファルコス株式会社(2003)「コラゲナーゼ活性阻害剤」特開2003-183122.
(9)一丸ファルコス株式会社(2014)「プロオピオメラノコルチン発現抑制剤」特開2014-114241.
ビワ葉エキスの配合目的
- ヒスタミン遊離抑制およびヒアルロニダーゼ活性阻害による抗アレルギー作用
- SOD様活性による抗酸化作用
- コラゲナーゼ活性阻害による抗老化作用
- POMC発現抑制による色素沈着抑制作用
ビワ葉エキスの安全性情報
日本語論文
事例報告 ゲフィチニブ(イレッサ)による乾皮症に対するビワ葉エキス塗布効果
藤岡 順子 , 日野 晴美 , 酒井 希美子 がん看護 11(5), 629-632, 2006-07
ビワ葉エキス末と白甘藷(Ipomoea batatas L. )の抗糖尿病作用に対する併用効果
櫻又 康秀 , 大江 弘美 , 草野 崇一 和漢医薬学雑誌 21(5), 237-240, 2004-10-20
英語論文
Efficacy and local irritation evaluation of Eriobotrya japonica leaf ethanol extract.
Seong NW, Oh WJ, Kim IS, Kim SJ, Seo JE, Park CE, Kim DY, Ko JW, Kim JC.Lab Anim Res. 2019 Jun 24;35:4. doi: 10.1186/s42826-019-0003-3. eCollection 2019.PMID: 31463223 Free PMC article.
Tan H, Sonam T, Shimizu K.Int J Mol Sci. 2017 May 11;18(5):1030. doi: 10.3390/ijms18051030.PMID: 28492484 Free PMC article.
Effects of extract derived from Eriobotrya japonica on liver function improvement in rats.
Nishioka Y, Yoshioka S, Kusunose M, Cui T, Hamada A, Ono M, Miyamura M, Kyotani S.Biol Pharm Bull. 2002 Aug;25(8):1053-7. doi: 10.1248/bpb.25.1053.PMID: 12186409 Free article.
Banno N, Akihisa T, Tokuda H, Yasukawa K, Taguchi Y, Akazawa H, Ukiya M, Kimura Y, Suzuki T, Nishino H.Biol Pharm Bull. 2005 Oct;28(10):1995-9. doi: 10.1248/bpb.28.1995.PMID: 16204964 Free article.
Uto T, Suangkaew N, Morinaga O, Kariyazono H, Oiso S, Shoyama Y.Am J Chin Med. 2010;38(5):985-94. doi: 10.1142/S0192415X10008408.PMID: 20821828