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表示名称成分詳細

バチルアルコール

成分番号(JP number): 552011

INCI
BATYL ALCOHOL
定義(Description)
本品は、グリセリン(*)とステアリルアルコール(*)のモノエーテルであり、次の化学式で表される。1,2-Propanediol, 3-(octadecyloxy)-
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
鲨肝醇
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 3
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
바틸알코올
CAS No.
544-62-7
EC No.
208-874-7
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

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原料情報

バチルアルコール / BATYL ALCOHOL

バチルアルコールとは

バチルアルコールとは、60~70℃で溶ける固形の油性成分であり、エモリエント効果や増粘効果があり、乳液やクリームに少量配合し、硬さや感触の調整のために使われています。(1)

名称が「~アルコール」のため、高級アルコールであると思われがちですが、グリセリンとステアリルアルコールがエーテル結合した成分です。化粧品の油性成分としてはめずらしい分子構造をしています。高級アルコールと、性質、構造がともに似ているため、高級アルコールと同じような使用方法が可能です。

天然にはサメ(学名:Selachimorpha)の肝油の不けん化物中にバチルアルコールのジアシル体としてスクワレンとともに存在している、化学構造的にグリセリンのα-モノステアリルエーテルであり、二価アルコール(アルキルグリセリルエーテル)です。

特に「スクワラン」の原料にもなるサメ肝油のスクワレンと共に、スルメイカ、タラバガニ、ズワイガニなどの肝油に含まれ、不けん化物中にバチルアルコールのジアシル体(ジグリセリド)として存在しています。

工業用の化粧品原料として、「ステアリルアルコール」と「エピクロロヒドリン」から製造されています。

ニ価アルコールとは、化学的に-OH(水酸基:ヒドロキシ基)が2つ結合したアルコールで、一方で一般にアルコールと呼ばれる物質は炭素数2の一価アルコールで低級アルコールであるエタノール(エチルアルコール)のみを指し、二価アルコールは物質として別物です。

化粧品に配合される場合は、以下の配合目的があります。

・エモリエント作用 エモリエント作用に関しては、二価アルコールであることから保湿性を有しており、酸化安定性が極めて高く、展延性(∗2)に優れ、油性感の少ない皮膜を形成し、しなやかな感触を付与することから、エモリエント剤・ワックス成分として乳液やクリームなど乳化系スキンケア化粧品に使用されます(2;3)。

∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

・増粘 増粘に関しては、少量の添加で乳化物(エマルション)の粘性を上げる性質を有していることから、硬さや感触を調整する目的で固形分の少ない乳液やクリームなど乳化系スキンケア化粧品に使用されます(4)。

これらの目的で、乳化系スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品、シート&マスク製品などに使用されています(2;4)。

参考文献

(1) 宇山 侊男, 他(2020)「バチルアルコール」化粧品成分ガイド 第7版,1463(電子版).

(2) 日光ケミカルズ株式会社(2018)「NIKKOL バチルアルコール EX」安全データシート.

(3) 日光ケミカルズ株式会社(2016)「エーテル」パーソナルケアハンドブックⅠ,56-63.

(4) 広田 博(1997)化粧品用油脂の科学,79-82.

バチルアルコールの配合目的

・エモリエント作用 ・増粘

バチルアルコールの安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS588.pdf

日本語論文

本邦産水産無脊椎動物 25 種のステリンについて

喜多 稔 , 外山 修之 日本化學雜誌 81(3), 485-489, 1960

水産無脊椎動物油脂の研究 (第19報) ヤツシロガイ油脂中の共役ステリン以外の不ケン化物成分について

田中 立夫 , 外山 修之 日本化學雜誌 79(3), 366-370, 1958

α-モノステアリンとバチルアルコールの界面活性能の比較

中島 磯吉 [他] 名古屋産業科学研究所研究報告 (9), ????, 1956-12

サメのビタミンAに関する研究(2)

山村 弥六郎 , 武藤 清一郎 東北海區水産研究所研究報告 = Bulletin of Tohoku Regional Fisheries Research Laboratory (8), 15-26, 1956-11

南方圏海魚油並に肝油の化學的研究(第九報):タラウザメ肝油及びイヌザメ肝油に就て

國崎 長喜 , 畑 忠太 日本化學會誌 65(4), 301-304, 1944

貝類,甲殼類並に棘皮動物の脂肪性物質中の不鹸化物,殊にステリンに就て(第五報):ヒトデ及びイシコの脂肪性物質中の不鹸化物結晶部に就て

松本 太郎 , 矢島 將一 , 外山 修之

日本化學會誌 64(9), 1203-1204, 1943

英語論文

Alkylglycerol Derivatives, a New Class of Skin Penetration Modulators.

Bernal-Chávez SA, Pérez-Carreto LY, Nava-Arzaluz MG, Ganem-Rondero A.Molecules. 2017 Jan 22;22(1):185. doi: 10.3390/molecules22010185.PMID: 28117757 Free PMC article.

Plasmalogen biosynthesis in peroxisomal disorders: fatty alcohol versus alkylglycerol precursors.

Schrakamp G, Schalkwijk CG, Schutgens RB, Wanders RJ, Tager JM, van den Bosch H.J Lipid Res. 1988 Mar;29(3):325-34.PMID: 3379344 Free article.