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表示名称成分詳細

パーム核脂肪酸

成分番号(JP number): 551991

INCI
PALM KERNEL ACID
定義(Description)
本品は、パーム核油(*)から得られる脂肪酸である。Fatty acids, palm kernel-oil
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
棕榈仁油酸
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 9.474, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): (none)
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
팜커넬애씨드
CAS No.
101403-98-9
EC No.
309-936-7
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

パーム核脂肪酸

パーム核脂肪酸 / PALM KERNEL ACID

パーム核脂肪酸とは

本品は、パーム核油から得られる脂肪酸です。INCI名は、Palm Kernel Acid です(1)。

パーム核油は、本品は、アブラヤシElaeis guineensisの種子(仁)から得られる脂肪油です。

医薬部外品原料規格では,「パーム核油脂肪酸」英名 Palm Kernel Oil Fatty Acidとして収載され、「パーム核油」から得られる高級脂肪酸の混合物で,主としてラウリン酸$(C_{12}H_{24}O_2:200.32)$からなる。とされます。

パーム核油の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸として、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、不飽和脂肪酸として、リノール酸およびオレイン酸が含まれており、80〜85%が飽和脂肪酸から構成されています。特にラウリン酸の含有量が高い物質です(3)。

アブラヤシは、日差しが強く雨量の多い赤道周辺の熱帯にしか生育しない植物です。西アフリカ原産ですが、東南アジアに100年以上前に輸出されて以来、インドネシアとマレーシアを中心に、各熱帯の国々で栽培されています。

アブラヤシからは、アブラヤシの種の部分から採れるパーム核油以外にも、実の部分から採れるパーム油が採取でき,世界中で利用されています。

パーム油の生産量は、植物油脂の総生産量2億トンのうち、パーム油の生産量は5,920万トン(2014年)と約30%となっています。パーム油は、他の植物油脂に比べて、土地当たりの収量が多く生産効率が良く低コストで、用途が広いため需要が拡大しています。

例えば、インドネシアのスマトラ島は、世界で最もパーム油の生産が盛んな島ですが、島の上空からみると、内陸から海岸線ギリギリまで、アブラヤシ農園が広がっている様子を見ることができます。1985年に58%だった熱帯雨林は2016年には24%に減少しました。

また、インドネシアのボルネオ島でも島の面積の約1/3にあたる森がすでに失われています。

パーム油の生産が引き起こしている、さまざまな問題を解決するために、環境や地域社会に配慮した「持続可能なパーム油」の生産を増やす取り組みが行われています。

RSPOは、正式名称を「Roundtable on Sustainable Palm oil(持続可能なパームのための円卓会議)」といい、世界自然保護基金(WWF)を始めとする関係団体が中心となり2004年に設立された非営利組織です。

パーム油産業に関わる7つのセクター(パーム油生産業、搾油・貿易業、消費者製品製造業、小売業、銀行・投資会社、環境NGO、社会・開発系NGO)で構成され、持続可能なパーム油の生産と利用を促進することを目的に活動しています(3)。

石鹸の泡質改善作用を持つ不透明化剤、洗浄剤、乳化剤として、これらの目的で、洗顔石鹸、ボディ石鹸、ボディソープ製品などに使用されます。

石鹸は、高級脂肪酸または油脂をアルカリ剤で中和またはケン化して得られる洗浄基剤で、洗浄性および起泡性があります。

石鹸に使用されたのと同じ脂肪酸を配合して石鹸をつくると、泡が小さくなりソフトになり、泡の弾力が増します。

石鹸の基材として、パーム核油、パーム核脂肪酸またはパーム核油を構成する高級脂肪酸が使用されている場合、ソフトな泡と弾力を増すために、パーム核脂肪酸やパーム脂肪酸が配合されます。

また、パーム脂肪酸は、30℃以下の常温・冷水には溶けにくく、充分な機能が発揮できないので、一般的には30℃以下の温度でも機能を発揮できるようにパーム核脂肪酸を併用されることが多くなっています。

パーム核脂肪酸の安全性については、現在健康被害の報告はありません。

パーム核脂肪酸の配合目的

  • 石鹸の泡質改善
  • 不透明化剤
  • 洗浄剤
  • 乳化剤

パーム核脂肪酸の安全性情報

https://static1.squarespace.com/static/5b904ffd25bf02d259d1a6b1/t/5f10822d741f581f61ad8d56/1594917430204/CIR-Sclerocarya_Birrea_Seed_Oil.pdf

参考文献

(1) 化粧品の成分表示名称リスト パーム核脂肪酸

(2) 医薬部外品原料規格 パーム核脂肪酸

(3) パーム油 私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの |WWFジャパン

(5) 宮澤 清(1993)「化粧せっけん及びヘアシャンプーの泡立ちとソフト感」油化学(42)(10),768-774.

日本語論文

脂肪酸エステルベースの界面活性剤

木川 仁 , 宮脇 洋三 日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society 48(8), 755-766, 1999-08-20

酵素のパ-ム核油の水抽出への応用

Tano-Debrah Kwaku , 太田 欽幸 生物生産学研究 35(2), 173-179, 1996-12

ガスクロデータ:パーム核油及びやし油の脂肪酸組成

油脂及び油脂製品試験法部会・ガスクロデータ小委員会 油化学 27(3), 190-190, 1978

食用固形脂の結晶成長におよぼす乳化剤の影響:(第5報)蔗糖脂肪酸エステル添加の効果

新谷 勲 , 丸山 武紀 , 今村 正男 , 岡田 正和 , 松本 太郎 日本食品工業学会誌 20(5), 199-207, 1973

食用固形脂の結晶成長におよぼす乳化剤の影響:(第4報)プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび不飽和モノグリセリド添加の効果

新谷 勲 , 丸山 武紀 , 今村 正男 , 岡田 正和 , 松本 太郎 日本食品工業学会誌 20(5), 191-198, 1973

固形食脂の結晶成長におよぼす乳化剤の影響:(第2報) リンゴ酸モノグリセリドエステル,ソルビタンモノ脂肪酸エステル添加の効果

新谷 勲 , 守瀬 恵美子 , 今村 正男 , 岡田 正和 , 松本 太郎 日本食品工業学会誌 18(12), 589-594, 1971

乳脂肪のライヘルトマイスル価およびポレンスケ価について

慶田 雅洋 [他] , 長尾 昭雄 , 津郷 友吉 食品衛生学雑誌 11(1), 52-55, 1970

(130)パーム核油の脂肪酸成分に就て

登 廣三 工業化学雑誌 44(6), 437-439, 1941

パーム核油 : その特性と食用油としての利用(4)パーム核油の硬化とエステル交換

木田 晴康

油脂 67(7), 69-73, 2014-07

パーム核油 : その特性と食用油としての利用(3)パーム核油の組成と分別

木田 晴康

油脂 67(6), 44-49, 2014-06

脂肪酸エステルベースの界面活性剤

木川 仁 , 宮脇 洋三

日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society 48(8), 755-766, 1999-08-20J-STAGE

英語論文

The empiric use of palm kernel oil in neonatal skin care: justifiable or not?

Chiabi A, Kenmogne MH, Nguefack S, Obadeyi B, Mah E, Meka FZ, Tchokoteu PF, Mbonda E, Ekoe T.Chin J Integr Med. 2011 Dec;17(12):950-4. doi: 10.1007/s11655-011-0938-1. Epub 2011 Dec 3.PMID: 22139548 Review.

African oils in dermatology.

Ayanlowo O, -Adeife OC, Ilomuanya M, Ebie C, Adegbulu A, Ezeanyache O, Odiase O, Ikebudu V, Akanbi B.Dermatol Ther. 2021 Apr 30:e14968. doi: 10.1111/dth.14968. Online ahead of print.PMID: 33928725

Dietary lipid source and vitamin E effect on lipid oxidation stability of refrigerated fresh and cooked chicken meat.

Narciso-Gaytán C, Shin D, Sams AR, Keeton JT, Miller RK, Smith SB, Sánchez-Plata MX.Poult Sci. 2010 Dec;89(12):2726-34. doi: 10.3382/ps.2010-00738.PMID: 21076113 Free article.