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表示名称成分詳細

タンニン酸

成分番号(JP number): 551767

INCI
TANNIC ACID
定義(Description)
本品は、有機酸の混合物であり、主として次の化学式で表される化合物からなる。Tannins. Gallic acid derivatives found in nutgalls, bark and other plant parts, especially oak bark
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
鞣酸
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 1.9
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
탄닉애씨드
CAS No.
1401-55-4
EC No.
215-753-2
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

タンニン酸

タンニン酸 / TANNIC ACID

タンニン酸とは

タンニン酸は、成分番号 551767、INCI名 Tannic Acid、以下の化学式で表される物質を主な成分とする有機酸の混合物です(1)。

日本薬局方では、「タンニン酸」英名:Tannic Acidとして収載され、本品は,通例,五倍子又は没食子から得たタンニンであると定義されています(2)。

日本薬局方では、性状の項で味は極めて渋いと表現されています。

医薬部外品原料規格の各条にはタンニン酸は収載されていません。81.試薬・試液の項に、タンニン酸(日本薬局方)と記載がありますので、医薬部外品に使用するタンニン酸は、日本薬局方グレードの保証が必要です(3)。

食品添加物公定書では、「植物タンニン」英名:Vegetable Tanninが、「本品は、タンニン(抽出物)のうち五倍子、タラ末又は没食子から得られた、タンニン及びタンニン酸を主成分とするものである。」と定義され、含 量の項では、 本品を乾燥したものは、タンニン酸として96%以上を含む。とされているため、タンニン酸に非常に近い物質だと推察されます(4)。

タンニン酸は、第三類医薬品の成分名とされており、タンニン酸を有効成分として配合した製品は基本的には第三類医薬品となります(5)。

一般販売医薬品のうち、日常生活に支障をきたす程度ではないが、身体の変調不調が起こるおそれがあるものを第三類医薬品といいます。

医薬部外品は人体に対する作用が緩和で、安全性には特に問題がないものをいいます。

また、タンニン酸は、医薬部外品の添加物として配合できるとされています(6)。

五倍子はヌルデの葉茎にできる虫こぶを乾燥したもの、没食子はブナ科ナラ属の若枝の付け根にインクタマバチが寄生して生じた虫こぶを乾燥したものです(7)(8)。

タンニンは、植物に含まれるポリフェノール化合物の一種を指し、通常、植物組織の液胞の中に存在しています。

化粧品分野では、タンニン酸と称されるこの物質を、皮革をなめす場合には「タンニン」、木材加工では「リグニン」、食品の分野では、「カテキン」、「フラボノイド」、「ポリフェノール」と呼びます。

タンニンは、含まれる場所によって性質が異なる成分です。

虫こぶに比較的多くのタンニン酸が含まれていることが知られていますが、虫の種類、宿主となる植物によって構造が変化し、現在では150種類以上に区分されていると言われています(9)。

タンニン酸の配合目的

収れん作用による毛穴引き締め

かゆみを抑える

働きと用途

タンニン酸が化粧品に配合される場合は、その収れん作用とかゆみ防止を期待されることが多いです。

タンニン酸は、強い渋みを感じる物質ですが、この渋みの原因は、タンニン酸が口の中の舌や粘膜のたんぱく質と結合して変性させることに由来しています。

このたんぱく質変性作用が、肌に対しては収れん作用となります。

タンニン酸は、自身が持っている水分に溶解することで働くため、溶媒としての水がなくても収れん効果を発揮します。

このため、主に毛穴の引き締めを期待して、頭皮ケア製品、シャンプー、制汗剤などに配合されています。

一方、かゆみ防止についてですが、かゆみは表皮バリアの崩壊により、外的刺激への過敏性が増大することから始まります。

角質層が乱れると表皮水分蒸散量が増えて、皮膚が乾燥し、一層表皮がはがれやすくなります。

それと同時に、かゆみの原因となるヒスタミンが遊離し、かゆみが発生します。

タンニン酸は、ヒスタミン遊離を抑制することで、かゆみを抑えるために、入浴剤やクリームなどに配合されています(9)(10)(11)。広島大学の研究によると「タンニン酸配合入浴剤」を使用すると、「タンニン酸を配合しない入浴剤」使用したときよりも夜間における痒みが有意に大きく抑制されました。また、「タンニン酸配合入浴剤」の2週間の使用前後で、夜間および日中の痒みが有意に軽減が確認されています。(10)

(左)入浴剤使用による痒みの変化 (右)介入前後の症状改善

タンニン酸の安全性情報

タンニン酸は、古来より民間薬などでも使われてきた物質です。使用実績も長く、通常の使用方法では、化粧品に配合されている場合には、安全に使用できる物質です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学およびツムラライフサイエンス株式会社商品開発部の臨床データより、、0.5%濃度以下において共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚炎を有する場合および0.5%濃度以下において、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

参考文献

(1)日本化粧品工業連合会 タンニン酸 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知

(2) 第十八改正 日本薬局方 タンニン酸

(3) 医薬部外品原料規格 81.試薬試液 タンニン酸

(4) 第9版 食品添加物公定書

(5) 第三類医薬品 令和元年9月 18 日最終改正

(6)「医薬部外品の添加物リストについて」の一部改正について 令和3年3月25日 薬生薬審発0325第7号

(7) 五倍子とは - コトバンク (kotobank.jp)

(8)没食子とは - コトバンク (kotobank.jp)

(9) 植物タンニンとは? | 川村通商株式会社 (kawamura-net.co.jp)

(11) 西山 聖二・熊野 可丸(1989)「基礎化粧品と皮膚 (Ⅱ)」色材協会誌(62)(8),487-496.

(10)【研究成果】アトピー性皮膚炎に対する「タンニン酸配合入浴剤」の効果を検証~汗中の抗原を中和しヒスタミンの遊離を抑制し、かゆみ改善に有効~ https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/63120

(12) 信藤 肇, 他(2011)「アトピー性皮膚炎に対するタンニン酸配合湯上り製剤およびスプレー剤の臨床的有用性の検討」アレルギー(60)(1),33-42.

日本語論文

アトピー性皮膚炎のかゆみに対するタンニン酸の臨床的有用性 (かゆみと乾燥肌)

鈴木 茂 , 秀 道広 Fragrance journal : Research & development for cosmetics, toiletries & allied industries = フレグランスジャーナル : 香粧品科学研究開発専門誌 49(12), 24-31, 2021-12

汗中に含まれる抗原とその対策 (特集 汗の対処法update)

平郡 隆明

デルマ (244), 39-43, 2016-05

P-280 アトピー性皮膚炎のそう痒に対する「タンニン酸配合入浴剤」の有用性の検討(アトピー性皮膚炎の治療,ポスター発表,一般演題)

信藤 肇 , 石井 香 , 秀 道広 , 鈴木 茂 , 金谷 裕敏 , 谷野 伸吾 アレルギー 62(3-4), 456, 2013 J-STAGE  医中誌Web

P062 アトピー性皮膚炎に対する「タンニン酸配合入浴剤」の臨床的有用性の検討(アトピー性皮膚炎,ポスターセッション,第24回日本アレルギー学会春季臨床大会)

信藤 肇 , 石井 香 , 三原 祥嗣 , 秀 道広 , 鈴木 茂 , 金谷 裕敏 , 谷野 伸吾アレルギー 61(3-4), 522, 2012 J-STAGE  医中誌Web

アトピー性皮膚炎に対するタンニン酸配合湯上り製剤およびスプレー剤の臨床的有用性の検討

信藤 肇 , 高萩 俊輔 , 三原 祥嗣 [他] , 田中 稔彦 , 石井 香 , 秀 道広 , 鈴木 茂 , 金谷 裕敏 , 谷野 伸吾 アレルギー 60(1), 33-42, 2011 J-STAGE  医中誌Web

P4-6-4 アトピー性皮膚炎に対するタンニン酸配合スキンケア製剤の臨床効果の検討(P4-6アトピー性皮膚炎2,一般演題,第22回日本アレルギー学会春季臨床大会)信藤 肇 , 高萩 俊輔 , 三原 祥嗣 , 田中 稔彦 , 石井 香 , 秀 道広 , 鈴木 茂 , 金谷 裕敏 , 谷野 伸吾 アレルギー 59(3-4), 440, 2010 J-STAGE  医中誌Web

牛乳アレルギー児に生じたタンニン酸アルブミンによるアナフィラキシーの1例芦田雅士 皮膚臨床 41, 1197-1200, 1999 医中誌Web  被引用文献1件

タンナルビンによるアナフィラキシーの3例

前田 昇三 , 加藤 政彦 , 森川 昭廣 , 黒梅 恭芳 アレルギー 42(11), 1721-1726, 1993 J-STAGE  医中誌Web

34 タンニン酸処理によるダニの抗原性減弱の試み:遅延型皮膚反応を指標として

中野 ユミ子 , 吉田 政弘 , 柴田 忠良 アレルギー 34(8), 599, 1985 J-STAGE  医中誌Web

ヒスタミン皮内反応抑制程度による塩酸塩ベナドリルとタンニン酸ベナポンと効果比較

籏野 倫 , 蔡 煒皨 臨床皮膚泌尿器科 6(13), 697-699, 1952-12

英語論文

Final report of the CosmeticIngredient Review Expert Panel amended safety assessment of Calendula officinalis-derived cosmetic ingredients.

Andersen FA, et al. Int J Toxicol. 2010.PMID: 21164072 Review.

Assessment of cytotoxicity and antioxidant properties of berry leaves as by-products with potential application in cosmetic and pharmaceutical products.

Ziemlewska A, et al. Sci Rep. 2021.PMID: 33547351 Free PMC article.

Evaluating the Sun Protection Factor of Cosmetic Formulations Containing Afzelin.

Kim M, et al. Chem Pharm Bull (Tokyo). 2021.PMID: 34456215 Free article.

Valorization of solid wastes from chestnut industry processing: Extraction and optimization of polyphenols, tannins and ellagitannins and its potential for adhesives, cosmetic and pharmaceutical industry.

Aires A, et al. Waste Manag. 2016.PMID: 26626811

Cosmetic applications of glucitol-core containing gallotannins from a proprietary phenolic-enriched red maple (Acer rubrum) leaves extract: inhibition of melanogenesis via down-regulation of tyrosinase and melanogenic gene expression in B16F10 melanoma cells.

Ma H, et al. Arch Dermatol Res. 2017.PMID: 28283753

High-performance liquid chromatographic characterization of some medical plant extracts used in cosmetic formulas.

Schulz H, et al. J Chromatogr. 1988.PMID: 3417826