表示名称成分詳細
ソルビン酸K
成分番号(JP number): 551753
- INCI
- POTASSIUM SORBATE
- 定義(Description)
- 本品は、ソルビン酸(*)のカリウム塩であり、次の化学式で表される。Potassium (E,E)-hexa-2,4-dienoate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 【化粧品基準】ソルビン酸及びその塩類として記載。すべての化粧品に配合の制限がある成分。100g中の最大配合量(g)として合計量として 0.50g
- 中文inci(CN/中国名称)
- 山梨酸钾
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): /, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): /, 備考: 按照《化妆品安全技术规范》要求使用
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 포타슘솔베이트
- CAS No.
- 24634-61-5/590-00-1
- EC No.
- 246-376-1/-
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
V/4
原料情報
ソルビン酸K / POTASSIUM SORBATE
ソルビン酸Kとは
ソルビン酸Kは、有機酸であるソルビン酸のカリウム塩で、白色から淡黄褐色のリン片状結晶性粉末の状態の原料です(1)。
ソルビン酸Kは化粧品成分表示名称であり、医薬部外品表示名称はソルビン酸カリウム、ソルビン酸塩と呼ばれることもありますが、化粧品成分表示名称と同様にソルビン酸Kとも呼ばれます。
ソルビン酸Kの元になっている、ソルビン酸はナナカマド(学名:Sorbus commixta)の未成熟果汁中に存在し、科学的合成にも合成されますが、チーズ、魚肉練り製品など幅広く食品の防腐目的で保存料として使用されています(3)。
ソルビン酸Kもソルビン酸と同様に防腐剤として使用されます(1)(2)。
ソルビン酸Kは化粧品配合成分以外にも、食品添加物、医薬品添加物として幅広く使用されています。
現在の日本においては化粧成分としての使用頻度は低く、食品添加物の使用が多くなっています(2)。
化粧品としては、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、マスク製品、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、ボディソープ製品、ネイル製品に使用されています。
防腐
ソルビン酸Kの菌に対する作用は、殺菌作用ではなく微生物の生育を抑制する静菌作用を持っており、静菌作用により化粧品の防腐剤として使用されます(1)(3)。
ソルビン酸Kは、ソルビン酸同様に酸性でのみ抗菌スペクトルとして、カビ(クロコウジカビ)、カンジダ(酵母)や、好気性菌に効果を発揮することが分かっています(5)。
安全性
ソルビン酸Kは、医薬品部外品に関して配合条件が定められています(5)(6)(7)。
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤(*1):0.5
育毛剤(*1):0.5
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤(*1):0.5
薬用口唇類(*1):0.5
薬用歯みがき類(*1):0.5
浴用剤(*1):0.5
染毛剤(*2):0.5
パーマネント・ウェーブ用剤(*2):0.5
*1すべてのソルビン酸塩をソルビン酸に換算して、ソルビン酸として合計として考えるもの
*2ソルビン酸及びソルビン酸カリウムの合として考えるもの
また、配合制限成分リスト(ポジティブリスト)にも収載されています(7)。
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの:デヒドロ酢酸およびその塩類の合計量として0.5
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの:デヒドロ酢酸およびその塩類の合計量として0.5
粘膜に使用されることがある化粧品:デヒドロ酢酸およびその塩類の合計量として0.5
ソルビン酸Kは40年以上の使用実績があり、食品添加物など様々な指定を受けています。
下記指定されているリストです。
- 食品添加物指定添加物リスト
- 医薬品添加物規格
- 医薬部外品原料規格
使用実績の期間から、一般的な使用であれば安全性は高いとされています。
皮膚刺激性、皮膚感作性としてはほとんど刺激、アレルギーがないことが検証の結果が示されています。ただし、皮膚刺激において連用における皮膚累積刺激性の検証結果もでており、連用においては皮膚累積刺激を引き起こす可能性があると言われています(4)。
眼科刺激性に関しては、非刺激-軽度の眼刺激が検証の結果しめされています(4)。
ソルビン酸Kは一部が経皮吸収され体内で分解、代謝、排泄をされることが明らかになっています。吸収されたソルビン酸Kは脂肪酸として体内で分解、代謝をされ、二酸化炭素、水、ソルビン酸、ムコン酸として尿排泄をされます(4)。
参考文献
(1)化粧品成分用語事典2012. (2012). 日本: 中央書院.p450
(2)化粧品成分ガイド. (2020). 日本: フレグランスジャーナル社.p210
(3)東京都福祉保健局 食品衛生の窓「ソルビン酸、ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K)」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/hozonryo.html、2021年12月20アクセス
(4)R. Elder(1988)「Final Report on the Safety Assessment of Sorbic Acid and Potassium Sorbate」Journal of the American College of Toxicology(7)(6),837-880. DOI:10.3109/10915818809078711.
(5)厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長「染毛剤添加物リストについて」の一部改正についてhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/sennmou300126_1.pdf、2021年12月20日アクセス
(6)厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長「パーマネント・ウェーブ用剤添加物リストについて」https://www.mhlw.go.jp/content/000836282.pdf、2021年12月20日アクセス
(7) 配合制限成分リスト(ポジティブリスト)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/keshouhin-standard.pdf2021年12月20日アクセス
ソルビン酸Kの配合目的
- 静菌作用を主とする化粧品の防腐作用
ソルビン酸Kの安全性情報
皮膚一次刺激性:ほとんどなし
皮膚感作性:ほとんどなし
ただし、連用において非常にわずかな皮膚累積刺激が報告されているため、皮膚累積刺激性は非刺激-最小限の皮膚累積刺激を引き起こす可能性があると考えられます。
R. Elder(1988)「Final Report on the Safety Assessment of Sorbic Acid and Potassium Sorbate」Journal of the American College of Toxicology(7)(6),837-880. DOI:10.3109/10915818809078711.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRNS547.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr152.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Ikarashi Y, et al. Kokuritsu Iyakuhin Shokuhin Eisei Kenkyusho Hokoku. 2010.
van der Waal SV, et al. Eur J Oral Sci. 2012. PMID: 22985004
Pastor-Nieto MA, et al. Actas Dermosifiliogr. 2017. PMID: 28673419 Free article. English, Spanish.
Cho JH, et al. Laryngoscope. 2000. PMID: 10680936
Lebe E, et al. Pharmacology. 2004. PMID: 15331917