表示名称成分詳細
ステアルトリモニウムクロリド
成分番号(JP number): 551573
- INCI
- STEARTRIMONIUM CHLORIDE
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表される4級アンモニウム塩である。Trimethyloctadecylammonium chloride
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 硬脂基三甲基氯化铵
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): /, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): /, 備考: 按照《化妆品安全技术规范》要求使用
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 스테아트라이모늄클로라이드
- CAS No.
- 0112-03-08
- EC No.
- 203-929-1
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
V/44
III/286
原料情報
ステアルトリモニウムクロリド / STEARTRIMONIUM CHLORIDE
ステアルトリモニウムクロリドとは
[化粧品成分表示名称]
・ステアルトリモニウムクロリド
[医薬部外品表示名称]
・塩化ステアリルトリメチルアンモニウム
ステアルトリモニウムクロリド(Steartrimonium Chloride)は、炭素数18のアルキル基をもつ塩化アルキルトリメチルアンモニウムです。モノアルキル型4級アンモニウム塩の陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)に分類されます。
医薬部外品表示名称としては「塩化ステアリルトリメチルアンモニウム」という名前が使われています。
界面活性剤としてのステアルトリモニウムクロリド
親水基として4級アンモニウム塩を含んでいるステアルトリモニウムクロリドは、陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)に分類されます。
一般に、カチオン界面活性剤は繊維・毛髪や金属などの個体表面に吸着し、殺菌効果や繊維などの柔軟効果を示します。カチオン界面活性剤はその他の界面活性剤と比べて毒性が高く、配合量にも制限があるため、使用時には注意が必要です(1)。
アルキル型4級アンモニウム塩のカチオン界面活性剤は、水溶性で表面張力低下能が高いことが知られています。モノアルキル型、ジアルキル型共に、細菌や真菌に対して殺菌効果があります。アニオン性官能基が負に帯電した毛髪表面に吸着して、潤滑性を示す性質があります。油水界面や固液界面に吸着して、乳化剤や分散剤として働く場合もあります(1)。
化粧品以外では、繊維を柔軟に仕上げるための柔軟剤やインキ塗料の分野でも使用されています。
ステアルトリモニウムクロリドの化粧品への配合
ステアルトリモニウムクロリドには、毛髪に対する柔軟効果や帯電防止効果などがあることが知られています。4級アンモニウム塩を含んでいるステアルトリモニウムクロリドは、シャンプー後にマイナスに帯電した毛髪表面に吸着しやすい性質があります。毛髪に吸着されてくし通りが良くなり、柔軟性や平滑性を与えて触感が改良され、帯電を防止します(2)。そのため、帯電防止剤、ヘアコンディショニング剤として、主にコンディショナーやトリートメントなどのヘアケア製品に汎用されています。
そのほか、クリーム、乳液、ひげそり用クリーム、化粧品、ひげそり用ローション、パックにも用いられています(2)。
ステアルトリモニウムクロリドは旧表示指定成分の一つであり、使用時には注意が必要です。旧表示指定成分とは、使う人によってまれにアレルギー等の皮膚トラブルを起こす恐れのある102種類の成分で、化粧品の全成分表示が義務づけられる以前、化粧品に表示が義務付けられていました。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから、安全性評価論文内で説明されている現在の使用方法と濃度内で刺激性がないように処方された場合のステアルトリモニウムクロリドの安全性が結論づけられています(3)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2010年時点で、ステアルトリモニウムクロリドを配合している製品の登録数は合計40で、主にコンディショナーやカラーリングなどのヘアケア製品に使用されています(3)。
製品への含有量について2009年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、ステアルトリモニウムクロリドは0.06%から4%の配合率で使用されていました(3)。
参考文献
- 野々村美宗 (2015)「カチオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 49-50
- 鈴木一成 (2008)「塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(表示名:ステアルトリモニウムクロリド)」化粧品成分用語事典2008, 423
- Cosmetic Ingredient Review (2012)「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology (31) (6 Suppl), 296S-341S
ステアルトリモニウムクロリドの配合目的
- 帯電防止剤
- ヘアコンディショニング剤
ステアルトリモニウムクロリドの安全性情報
試験データをみるかぎり、79.2%の高濃度でも3分間の曝露では非刺激であり、また0.448%および4.48%で非刺激および軽度の刺激が報告されていることから、0.448%濃度以下または濃度に関わらず3分以下の曝露において皮膚刺激性はほとんどなく、4.48%濃度以上または3分以上の中長時間曝露においては軽度-中程度の皮膚刺激を引き起こす可能性が考えられます。
ただし、ステアルトリモニウムクロリドはヘアケア製品のみに配合されることから、化粧品配合量およびヘアケア製品としての通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
Cosmetic Ingredient Review(2012)「Safety Assessment of Trimoniums as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(31)(6 Suppl),296S-341S.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS572.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS570.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Microfluidics-based skin irritation test using in vitro 3D angiogenesis platform
Norhana Jusoh, Jihoon Ko 1, Noo Li Jeon
PMID: 31431937
PMCID: PMC6697035
DOI: 10.1063/1.5093975