表示名称成分詳細
ステアリン酸スクロース
成分番号(JP number): 551550
- INCI
- SUCROSE STEARATE
- 定義(Description)
- 本品は、ステアリン酸(*)とスクロース(*)のモノエステルである。Sucrose stearate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 蔗糖硬脂酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 16, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 6.5
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 수크로오스스테아레이트
- CAS No.
- 25168-73-4 / 37318-31-3
- EC No.
- 246-705-9 / 253-459-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ステアリン酸スクロース / SUCROSE STEARATE
ステアリン酸スクロースとは
[化粧品成分表示名称]
・ステアリン酸スクロース
[医薬部外品表示名称]
・ショ糖脂肪酸エステル
ステアリン酸スクロースは、炭素数18の高級脂肪酸であるステアリン酸と、スクロースのモノエステルです。多価アルコール型の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
医薬部外品表示名称としては「ショ糖脂肪酸エステル」という名前が使われています。ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸メチルエステルのエステル交換反応によって調製される物質の総称です。
界面活性剤としてのステアリン酸スクロース
親水基として複数の水酸基を持つスクロースを含んでいるステアリン酸スクロースは、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
ノニオン界面活性剤は、水中でイオン化しない親水基を持った界面活性剤です。酸性でもアルカリ性でも使用することができ、水の硬度の影響を受けにくいなど化学的に安定な性質があり、さまざまな界面活性剤と併用することができます。乳化作用・分散作用に優れており、幅広い分野で使用されています。
多価アルコール型のノニオン界面活性剤は、一般に天然由来で毒性も低いことから、化粧品・身体洗浄料だけでなく、食品や医療品の乳化・可溶化剤としても用いられています。曇天現象を起こさないため、幅広い温度領域で長期保存安定性を確保しやすいという特徴があります(1)。
ステアリン酸スクロースなどのショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸のアルキル鎖長やエステル化度によって、親水性-親油性バランス(HLB:Hydrophilic-Lipophilic Balance)を自由に調整することができできます。そのため、この界面活性剤を使ってエマルションを安定化させるさまざまな技術が検討されてきました。また、抗菌性や潤滑特性を示すことから、化粧品だでなく、医薬品・食品分野においてもさまざまな用途で使用されています(1)。
エマルションの基本構造には、水の中に油滴が分散したO/W型(Oil in Water type)と、油の中に水滴が分散したW/O型(Water in Oil type)があります。HLBが約11と報告されているステアリン酸スクロースは、親水性が高いため、O/W型のエマルションを生成しやすい乳化剤であると言えます。
ステアリン酸スクロースの化粧品への配合
ステアリン酸スクロースはO/W型の乳化剤として、各種クリームや石けんなどのスキンケア製品や、ヘアケア製品、歯みがきなどに使用されています。皮膚を滑らかでしなやかにし、刺激性が少ないという特徴があります(3)。
また、ステアリン酸スクロースにはエモリエント剤としての働きも知られています(4)。
参考文献
- 野々村美宗 (2015)「ノニオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 52-56
- 鈴木一成 (2008)「石ケン素地」化粧品成分用語事典2008, 407
- Cosmetic Ingredient Review (2021)「Safety Assessment of Saccharide Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology 2021, Vol. 40 (Supplement 2) 52S–116S
ステアリン酸スクロースの配合目的
- O/W型乳化剤
- エモリエント剤
ステアリン酸スクロースの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS721.pdf
日本語論文
柴田 雅史 日本化粧品技術者会誌 53(1), 2-8, 2019
電子スピン共鳴(ESR)による角層脂質のex vivo状態解析法の確立
八木 栄一郎 , 中川 公一 , 坂本 一民 日本化粧品技術者会誌 42(3), 231-236, 2008
成人顔面の皮膚炎様病変の2,3の検討:IV.基剤貼布試験成績
篠 力 西日本皮膚科 36(2), 201-205, 1974
英語論文
Klang V, et al. Int J Pharm. 2010.PMID: 20434531
Development of sucrose stearate-based nanoemulsions and optimisation through gamma-cyclodextrin.
Klang V, et al. Eur J Pharm Biopharm. 2011.PMID: 21277976
Semi-solid Sucrose Stearate-Based Emulsions as Dermal Drug Delivery Systems.
Klang V, et al. Pharmaceutics. 2011.PMID: 24310496 Free PMC article.
Hong IK, et al. Nanomaterials (Basel). 2018.PMID: 30115875 Free PMC article.
Klang V, et al. Eur J Pharm Biopharm. 2012.PMID: 22123494
Isailović T, et al. J Pharm Sci. 2016.PMID: 26539935
Elasticity of vesicles affects hairless mouse skin structure and permeability.
van den Bergh BA, et al. J Control Release. 1999. PMID: 10528074
Hoppel M, et al. Eur J Pharm Sci. 2015.PMID: 25497319
Fehér P, et al. Molecules. 2016.PMID: 27669200 Free PMC article.