表示名称成分詳細
ステアリルアルコール
成分番号(JP number): 551486
- INCI
- STEARYL ALCOHOL
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表される脂肪族アルコールである。Octadecan-1-ol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 硬脂醇
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 23
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 스테아릴알코올
- CAS No.
- 112-92-5
- EC No.
- 204-017-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ステアリルアルコール / STEARYL ALCOHOL
ステアリルアルコールとは
パーム油もしくは牛脂を還元して得られる炭素数18の高級アルコール(脂肪族アルコール)であり、常温でロウ状の油性成分です。
一般式R-OHで表される化合物はアルコール類と呼ばれ、水酸基の数が1個のものを1価アルコール、2個のものを2価アルコールなどと言います。
炭素数の少ないものは低級アルコール、炭素数が多いものを高級アルコールと呼びます。
高級アルコールという分類なので誤解されやすいですが、一般にアルコールと呼ばれる成分は炭素数2の低級アルコールであるエチルアルコール(エタノール)のみを指し、高級アルコールとは異なります。
高級アルコールも脂肪酸と同様に天然高級アルコールと合成高級アルコールに分けられます。
天然高級アルコールは牛脂、ヤシ油、パーム油などの動植物油脂を原料とし、これらの脂肪酸メチルや脂肪酸の高圧還元法により製造されます。
得られたアルコールは原料由来のアルコール鎖長の分布を持つ混合物であり、分別蒸留により、目的とするアルコールを得ることができます。
合成高級アルコールの製造法は主に4つ挙げられます。
・パラフィンの酸化により得られる脂肪酸をメチルエステルとして、高圧還元法により製造します。この方法では直鎖の1級アルコールが得られます。
・オレフィンへの水素、一酸化炭素付加により炭素数が1つ大きくなったアルデヒドが生成、これを還元することでメチル分枝の1級アルコールが得られます。
・パラフィンをホウ酸の存在下で酸化することで2級アルコールが得られます。
・エチレンをトリエチルアルミニウムと高温で反応、高級アルキルアルミニウムとし酸素と反応後、希硫酸で加水分解し蒸留することで、直鎖の炭素数が偶数の1級アルコールが得られます。
炭素数8から24程度の高級アルコールは化粧品基剤や界面活性剤原料、油性成分に用いられ、化粧品においてはクリームの硬さや伸び具合を調整できるだけでなく、乳化安定作用にも優れることから乳化安定剤や乳化補助剤として使用されます。
高級アルコールの中でも、ステアリルアルコールは融点58.0℃であり、エマルションの安定剤や粘度調整剤として優れた性能を持ちます。主にクリームや乳液に使用されますが、洗浄製品、ヘアケア製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品など幅広く使用されています(1),(2)。
参考文献
(1) 日光ケミカルズ株式会社(2006)新化粧品原料ハンドブック
(2) 宇山 侊男, 他(2020)化粧品成分ガイド 第7版
ステアリルアルコールの配合目的
- 乳化補助
乳化を安定化する作用から、クリームや乳液の粘度調整剤としても使用されます。炭素数16のセタノールに比べ、製品が固めにできる傾向があります。
- 感触改善効果
適度なエモリエント効果により、滑らかな質感を付与します。
ステアリルアルコールの安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRNS513.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr186.pdf
日本語論文
P139 セタノール,ステアリルアルコール,セバシン酸ジエチルによるアレルギー性接触皮膚炎(皮膚アレルギー,ポスターセッション,一般演題,第18回日本アレルギー学会春季臨床大会)
杉浦 真理子 , 早川 律子 , 杉浦 啓二 アレルギー 55(3-4), 455, 2006
ステアリルアルコールを連鎖移動剤とする長鎖アルキル基を末端に有する新しいタイプのポリ(オキシメチレン)の合成
永原 肇 , 八島 啓介 , 正本 順三 日本化学会誌 : 化学と工業化学 = Journal of the Chemical Society of Japan : chemistry and industrial chemistry 1999(10), 677-683, 1999-10-10
テアリルアルコールを連鎖移動剤とする長鎖アルキル基を末端に有する新しいタイプのポリ(オキシメチレン)の合成
永原 肇 , 八島 啓介 , 正本 順三 日本化学会誌(化学と工業化学) 1999(10), 677-683, 1999
湿式合成されたPLZT粉末成形体中からの超臨界二酸化炭素によるステアリルアルコールの脱脂
吉川 義雄 , 依田 満夫 Journal of the Ceramic Society of Japan (日本セラミックス協会学術論文誌) 98(1140), 765-769, 1990
水面上における造粒ステアリルアルコ-ルの凝集のモデル実験 (第23回粉体に関する討論会特集)
砂田 久一 , 平井 淑子 , 大塚 昭信 粉体工学会誌 23(9), p636-640, 1986-09
フルオシノニドクリーム中のステアリルアルコールによる接触皮膚炎の1例
児島 孝行 皮膚 25(6), 967-970, 1983
ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム‐溶融ステアリルアルコール抽出濃縮法による重金属のけい光X線分析
川瀬 晃 , 中村 進 , 札川 紀子 分析化学 30(4), 229-234, 1981
阿河 利男 [他] , 松井 宏次 , 小森 三郎 油化学 13(10), 523-526, 1964
英語論文
Safety assessment of stearyl heptanoate and related stearyl alkanoates as used in cosmetics.
Fiume MM, Bergfeld WF, Belsito DV, Hill RA, Klaassen CD, Liebler D, Marks JG Jr, Shank RC, Slaga TJ, Snyder PW, Andersen FA.Int J Toxicol. 2012 Sep-Oct;31(5 Suppl):141S-6S. doi: 10.1177/1091581812460408.PMID: 23064772 Review.
Aryani NLD, Siswodihardjo S, Soeratri W, Sari NFI.J Basic Clin Physiol Pharmacol. 2021 Jun 25;32(4):517-525. doi: 10.1515/jbcpp-2020-0512.PMID: 34214318
Hama T, Kouchi A, Watanabe N, Shioya N, Shimoaka T, Hasegawa T.Biophys Chem. 2020 Nov;266:106459. doi: 10.1016/j.bpc.2020.106459. Epub 2020 Aug 18.PMID: 32835910
ontact dermatitis from stearyl alcohol and propylene glycol in fluocinonide cream.
Shore RN, Shelley WB.Arch Dermatol. 1974 Mar;109(3):397-9.PMID: 4814942 No abstract available.
Allergic contact dermatitis from stearyl alcohol in Efudix cream.
Yesudian PD, King CM.Contact Dermatitis. 2001 Nov;45(5):313-4. doi: 10.1034/j.1600-0536.2001.450521.x.PMID: 11722503 No abstract available.
[The role of stearyl alcohol in the so-called lanolin allergy].
Swoboda B, Ludvan M.Z Hautkr. 1978 Jul 15;53(14):485-8.PMID: 676422 German. No abstract available.
Effect of vehicle on topical liposomal drug delivery: petrolatum bases.
Foldvari M.J Microencapsul. 1996 Sep-Oct;13(5):589-600. doi: 10.3109/02652049609026043.PMID: 8864995
Effect of vehicles on yohimbine permeation across excised hairless mouse skin.
Carelli V, Di Colo G, Nannipieri E, Serafini MF.Pharm Acta Helv. 1998 Aug;73(3):127-34. doi: 10.1016/s0031-6865(98)00007-7.PMID: 9713257