表示名称成分詳細
スクワラン
成分番号(JP number): 551474
- INCI
- SQUALANE
- 定義(Description)
- 本品は、サメ肝油(*)もしくは他の天然油を水素添加することによって得られる分枝鎖を持つ飽和炭化水素であり、次の化学式で表される。2,6,10,15,19,23-Hexamethyltetracosane
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 角鲨烷
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 48.98
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 스쿠알란
- CAS No.
- 0111-01-03
- EC No.
- 203-825-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
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スクワラン / SQUALANE
スクワランとは
スクワランは、組成名はヘキサメチルテトラコサンと言われる分枝型の炭化水素です。医薬部外品原料規格2021版に収載されている物質です。
外原規(2006)USP/NF(28/23) EP(5)では、界面活性剤、基剤、軟化剤、乳化剤、粘稠、賦形剤、溶解剤の用途を認められています。
元々は、深海ザメから得たサメ肝油に含まれるスクアレンに水素を添加して合成されていましたが、高価であることから別の原料から合成する方法が開発されています。
近年、スクワランの原料となる深海ザメは、ワシントン条約付属書に掲載されている種が多く、掲載されていない種についても海洋資源保護の観点から捕獲や国際取引上の規制が多いため、サメ肝油以外を原料とするスクワランが多く販売されています。
サメ肝油以外からのスクワラン合成方法としては、オリーブ油、米ぬか油、コムギ胚芽油、ゴマ油など植物油から得られるスクワレンに水素を添加する方法、サトウキビの絞り液を発酵させて得られるファルネセンを二量化し水素を添加する方法、イソプレンを重合して得る方法があります。
サメ肝油由来品とそれ以外のスクワランの名称は、化粧品ではすべてが「スクワラン」ですが、医薬部外品としては、サメ肝油由来品のみを「スクワラン」と称します。他のスクワランについては、植物油由来品を「植物性スクワラン」、サトウキビ由来品を「シュガースクワラン」、イソプレン由来品を「合成スクワラン」とし、名称が区別されます。
ちなみに、医薬部外品原料規格でのスクワラン含有量は、「植物性スクワラン」は75%以上、「合成スクワラン」は98.0%以上です。また、「シュガースクワラン」は、参考処方として掲載されています。なお、「スクワラン」は、スクワランが主成分として規定されています。
スクワランと、その原料となるスクアレンは、日本の辻本満丸により発見されました。辻本は、クロコザメの肝油を精製し、高度不飽和炭化水素であるスクアレンを発見しました。
スクアレンは、不飽和結合が6個ある不安定な物質で、酸化しやすく、においが強かったので使用しづらかったため、研究を重ね、無味無臭で安定なスクワレンを合成することに成功しました。
その後、深海に生息するサメにスクアランが多く含まれていることが発見され、一般の流通が可能になりました(1)。
スクワランはベタベタした油感が少なく、非常に感触がよい物質です。
皮膚への刺激は、ほとんどなく、皮膚での延展性、流動性、潤滑性が良好でエモリエント効果が高いので、日焼けした肌にも使用でき保護バリアを作ります。
伸びがよく、ベタベタしないのでクリームの質感を向上させるのにも有効です。
毒性に関しては、反復投与毒性、局所刺激性について動物実験では、ほとんど認められていません。
人に対する知見では、パッチテストを行った結果、健康な被験者に対しては、1時間後に232人中19名、24時間後に5名が肌に赤みがあらわれ、腫れた被験者はいませんでした。
皮膚疾患のある被験者に対しては、1時間後に27名中2名、24時間後に3名が肌の赤みがあらわれましたが、腫れた被験者がいなかったことから、健康な被験者に対しても皮膚疾患のある被験者に対しても、強いアレルギー反応はでなかったと判断することができます(2)。
スクワランの配合目的
エモリエント作用
感触改良
保湿
スクワランの安全性情報
Re-evaluation - Report not opened
Published Re-review Not Opened
参考文献
(2)スクワラン copyright(C) 2005 日本医薬品添加剤協会 all rights reserve
日本語論文
抗がん剤投与中の患者の手足症候群に対するアルギニン、スクワラン、セラミド含有保湿ローションの効果
松井 優子 , 佐々木 絵美 , 高堂 祥子 , 紺家 千津子 , 須釜 淳子 , 真田 弘美 , 坂井 恵子
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 17(4), 304-311, 2014
新たな世代のスクワラン 環境を保全し,持続可能な原料から作られたNIKKOLシュガースクワラン (新しい化粧品原料)
田中 一光
油脂 66(8), 60-65, 2013-08
化粧品のための油脂原料の基礎知識(4)スクワレンとスクワラン
島田 邦男
オレオサイエンス 13(7), 332-335, 2013-07
科学教養講座 産学官連携と実用化への挑戦--層状ケイ酸塩を用いたスクワランの非加熱精製法の確立と新産業創出の可能性
高草木 洋一
理大科学フォーラム 28(6), 36-41, 2011-06
brand story オリーブ化粧品のパイオニアとして存在感高める--自社農園抱え100%オイルから果汁やスクワランも活用 日本オリーブ 櫻井康弘取締役
ビュ-ティビジネス (148), 66-69, 2011-03
廣渡 洋平 , 槙原 絵理 , 鱒見 進一
日本補綴歯科学会雑誌. 特別号, 日本補綴歯科学会学術大会抄録集 = Proceedings of the ... conference, the Japan Prosthodontic Society 51(116), 111, 2007-05-18
11 スクワランを含有した粘膜組織調整材の検討 : 第1報スクワラン溶出の経時的変化
廣渡 洋平 , 槙原 絵理 , 鱒見 進一
九州歯科学会総会抄録プログラム 66, 15, 2006-05-20
スクワランを含有した粘膜組織調整材の検討:第1報 スクワラン溶出の経時的変化
廣渡 洋平 , 槙原 絵理 , 鱒見 進一
九州歯科学会総会抄録プログラム kds66(0), 11-11, 2006
11. スクワランを含有した粘膜組織調整材の検討 : 第1報 スクワラン溶出の経時的変化(口頭発表,第66回九州歯科学会総会講演抄録)
廣渡 洋平 , 槙原 絵理 , 鱒見 進一
九州歯科学会雑誌 60(2.3), 68-69, 2006
184 スクワランオイルの産褥期における乳頭・乳輪保護作用に関する有効性の検討(乳房管理、母乳4, 第46回 日本母性衛生学会総会 学術集会抄録集)
森下 潤伊 , 銭花 志信 , 菅沼 由香里 , 宮原 英二 , 石川 多恵子 , 柴田 浩樹 , 大野 智 , 鈴木 信孝
母性衛生 46(3), 164, 2005-09
天然スクワレン、スクワランについて (特集 キャリア素材の特性と応用)
海谷 篤
Aromatopia 10(4), 53-56, 2001
スクアテック(株)加工技術 34(5), 34-37, 1999-05
スクワラン-新規需要と配合増に期待 全成分表示も視野に (特集 転換期の化粧品原料)
油脂 51(8), 24-25, 1998-08
スクワラン-化粧品油剤として高い評価 植物性スクワランも注目集める (特集 化粧品と油脂)
油脂 50(6), 22-23, 1997-06
天然スクワレン,スクワランとその原料 (特集/生体成分の開発と応用) -- (第3章 脂質の開発と応用)
海谷 篤
フレグランスジャーナル臨時増刊 (15), 128-138, 1996
乾燥性皮膚疾患に対するスクワランの有用性,皮膚刺激性および保湿性についての検討
谷井 司 , 加藤 順子 , 八代 典子 , 新藤 季佐 , 幸野 健 , 濱田 稔夫 , 山口 武津雄
皮膚 33(2), 155-163, 1991
若倉 正英 , 駒宮 功額
神奈川県工業試験所研究報告 (53), p43-46, 1983
紫外線照射スクワランの皮膚刺激性について(抗原研究会-3-)
岡田 富雄 [他]
治療 62(9), p1687-1691, 1980-09
岡田 富雄 [他] , 浅井 淳平 , 飯島 宗一 , 早川 律子 , 田中 隆義 , 大橋 勝
皮膚 22(3), 378-382, 1980
英語論文
Huang ZR, et al. Molecules. 2009. PMID: 19169201 Free PMC article. Review.
Goussard V, et al. J Chem Inf Model. 2017. PMID: 29091426
Filipovic M, et al. Int J Cosmet Sci. 2017. PMID: 28403533
Grassi A, et al. Clin Ter. 2000. PMID: 10876973 Clinical Trial. Italian.