ジメチコンとは

ジメチコンは、一般的なシリコーン油の一種で、ジメチルポリシロキサンの構造の端をトリメチルシロキシ基で封鎖した直鎖状重合物です。

ジメチコンは、重合度が高いほど高粘度となります。医薬部外品としてはメチルポリシロキサンの名称で取り扱われ、平均重合度3~650の「メチルポリシロキサン」、平均重合度が650以上の「高重合メチルポリシロキサン(1)」、平均重合度が約7000の「高重合メチルポリシロキサン(2)」という名称で区別します。

ジメチコンは、表面張力が低いため、広がりやすく、揮発性があり、さらっとした感触が得られます。

医薬品として胃部膨満感の解消のため使用され、化粧品としては、消泡剤、皮膚保護剤、閉塞剤として使用されますが、薬理学的には不活性です。

また、低毒性であり、化粧品に使用する濃度での安全性が確かめられています(1)。

皮膚に対して使用すると、皮膚呼吸を損なわずに撥水性を示し、角層から水分が蒸発を防ぎます。また、べたつきが少なく、なめらかな使用感があります。

毛髪に対しては、やわらかな光沢、艶を与え、薄く均一な被膜を作ります。さらさらと指通り性を向上させ、乾いた髪でも濡れた髪でも指通りの良い髪になります(2)。

揮発性が高いので、つけたまま寝られるトリートメントなどにも使用される物質です。

ジメチコンの特長をまとめると以下の通りになります。

・毒性が低く、皮膚に対する刺激が少ない。 ・皮膚呼吸を損わない。 ・撥水性を付与する。 ・ベタつきのない、滑らかな滑りを与える。 ・やわらかな光沢、艶を与える。 ・表面張力が低いため、薄く均一な被膜を形成し使用感がよい。

また、ラットを使った分布実験では、ジメチコンの胃・小腸の通過は速やかで、投与後6時間で50%、2~24時間で90％が糞中に排泄されます。また、尿中からは検出されず、ほとんどが糞中へ排出されます。ラット糞中の代謝物について分析を実施しても糞中に含まれるのはジメチコンのみであり、体内で未変化のまま排出されます。したがって、間違って口に入ったとしても、体内で変化することなく速やかに排泄されていると判断できます(3)。

ジメチコンの配合目的

中粘度～高粘度の乳化製剤の消泡剤

皮膚になめらかな感触をつくる

刺激に対して防御する

顔色を整える

皮膚を平滑化する

毛髪をサラサラにする

速乾

参考文献

(1)Cosmetic Ingredient Review（2003）「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone, Dimethicone, Methicone, Amino Bispropyl Dimethicone, Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate, Behenoxy Dimethicone, C24–28 Alkyl Methicone, C30–45 Alkyl Methicone, C30–45 Alkyl Dimethicone, Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone, Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone, Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone, Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone, Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone」International Journal of Toxicology(22)(2_Suppl),10-35.

（2）旭化成ワッカーシリコーン株式会社　化粧品用シリコーンガイド2021

（3）キッセイ薬品　ガスコン錠添付文書　参考(1)分布（2）代謝　有坂常男：基礎と臨床, 9(3), 447, 1975.

ジメチコンの安全性情報

Published Report

Tentative Report

Final Report

特定の無機紫外線散乱剤と分散剤を用いた易洗浄性を有するサンスクリーン製剤の開発

高橋 功 , 根村 和宏 , 佐々木 泉

日本化粧品技術者会誌 52(1), 24-30, 2018

腸管洗浄液の胃内洗浄効果に関する臨床研究

田崎 修平

消化器内視鏡の進歩：Progress of Digestive Endoscopy 86(1), 49-52, 2015

界面制御機能を有する新規両親媒性高分子の特性と応用（第2報）

上利 佳輝 , 松井 康子 , 伊賀 由美子 [他] , 小柳 綾子 , 吉岡 正人

日本化粧品技術者会誌 48(4), 287-295, 2014

P-98 年長児呑気症(空気嚥下症)の臨床像と浣腸・ジメチコン・大建中湯療法(小児外科と漢方,ポスターセッション,第48回日本小児外科学会学術集会)

松川 泰廣 , 吉利 エレーナ 幸江 , 萩原 健

日本小児外科学会雑誌 47(4), 636, 2011

界面制御機能を有する新規両親媒性高分子の特性と応用

大谷 直子 , 小柳 綾子 , 植田 有香 [他] , 坂本 一民 , 吉岡 正人

日本化粧品技術者会誌 43(4), 247-253, 2009

無機有機ハイブリッド集合体を活用した高持続口紅の開発

馬場 優 , 川向 裕志 , 松井 芳明 , 五十嵐 正 , 中村 文彦 , 柴田 雅史

日本化粧品技術者会誌 42(3), 226-230, 2008

28.胃軸捻転?呑気症?による?年長児の著明な腹満に対する,ジメチコン,大建中湯の効果(第42回日本小児外科学会近畿地方会)

松川 泰廣 , 渡邊 健太郎

日本小児外科学会雑誌 42(7), 842, 2006

A novel cosmetic approach to treat thinning hair.

Davis MG, et al. Br J Dermatol. 2011. PMID: 22171682

Preliminary 1 month stability screening of cosmetic multiple emulsions (W/O/W) prepared using cetyl dimethicone copolyol and Polysorbate 80.

Khan H, et al. Int J Cosmet Sci. 2015. PMID: 25319627

Effects of silicone emulsifiers on in vitro skin permeation of sunscreens from cosmetic emulsions.

Montenegro L, et al. J Cosmet Sci. 2004. PMID: 15645107

Stability of a cosmetic multiple emulsion loaded with green tea extract.

Mahmood T, et al. ScientificWorldJournal. 2013. PMID: 24058284 Free PMC article.

Rheological characterization of polysaccharide-surfactant matrices for cosmetic O/W emulsions.

Bais D, et al. J Colloid Interface Sci. 2005. PMID: 15963520

Studies on the lipophilicity of vehicles (or co-vehicles) and botanical oils used in cosmetic products.

Mbah CJ. Pharmazie. 2007. PMID: 17557742