表示名称成分詳細
シコンエキス
成分番号(JP number): 551349
- INCI
- LITHOSPERMUM ERYTHRORHIZON ROOT EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、シコン(*)のエキスである。[Lithospermum officinale]Lithospermum Erythrorhizon Root Extract is an extract of the dried roots of Lithospermum erythrorhizon, Boraginaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 紫草(LITHOSPERMUM ERYTHRORHIZON)根提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 12
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 지치뿌리추출물
- CAS No.
- 223749-76-6
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
シコンエキス / LITHOSPERMUM ERYTHRORHIZON ROOT EXTRACT
シコンエキスとは
シコンエキスは、ムラサキ科の植物であるムラサキ(学名: Lithospermum Erythrorhizon)の根から、水やエタノール、BG(ブチレングリコール)を使って抽出された淡褐色~黒褐色をしたエキスのことです。
学名の「Lithospermum」にはムラサキ属、「Erythrorhizon」には赤い根、という意味があります。
ICNI名は、「Lithospermum Erythrorhizon Root Extract」です。
化粧品成分表示名称は「ムラサキ根エキス」、医薬部外品表示名称は「シコンエキス」となります。
原料のムラサキは日本の九州、四国、本州、北海道の比較的温度の低い山地に自生しています。
広い範囲に自生しているようですが、環境悪化によって自生している数自体は極めて少なく、現在は絶滅危惧種に指定されています。
一般的な栽培用としては、繁殖力の強い近縁のセイヨウムラサキが用いられています。
ムラサキ、の名前が示すとおり、根が濃い紫色をしています。この根を乾燥させると、紫根(シコン)と呼ばれる生薬になります。
紫根は医薬品の規格基準書である日本薬局方に収載されており、殺菌作用、抗炎症作用、肉芽形成促進作用を示します。
これは、主要成分であるナフトキノン誘導体のシコニン、アセチルシコニン、イソブチルシコニンの作用によるものです。
紫根が含まれている医薬品のなかで特に有名なのは、紫雲膏(シウンコウ)という塗り薬です。
紫雲膏は江戸時代の医者、華岡青洲が作った漢方の軟膏で、切り傷や擦り傷に用いることができる低刺激の軟膏として長く親しまれています。
シコンエキスには抗炎症作用も認められており、アフタ性口内炎などの口腔粘膜疾患に使用して顕著な改善を示した論文も存在します(1)。
シコンエキスを化粧品に用いる際にも、作用を発揮するのは主要成分のシコニン、アセチルシコニン、イソブチルシコニンです。
その際に期待される作用はまず、抗アレルギー作用です。
シコニンなどの成分には血管透過性亢進抑制作用(1)、並びにヒスタミン遊離抑制作用(2)があることが研究により分かっており、それらの作用によって抗アレルギー作用を発揮します。
また、紫外線暴露での皮膚の炎症によって放出される、好中球エラスターゼというタンパク質分解酵素がコラーゲンを分解し、皮膚の老化を引き起こしてしまいますが、シコンエキスにはこの好中球エラスターゼの活性を阻害する作用があることが分かっており、それによって肌のシワを防ぐ効果を期待できます。
上記の作用があることから、シコンエキスは化粧水や乳液、クリームといった基礎化粧品、洗顔料や洗顔石鹸といった製品に配合されています。
参考文献
(1)石橋 克禮, 渡部 亮夫, 道 健一, 田代 恒久 各種口腔粘膜疾患に対するTMD-906の臨床的検討 歯科薬物療法 1991年10巻3号 260-269
(2)Shikonin inhibits IgE-mediated histamine release by human basophils and Syk kinaseactivity. Takano-Ohmuro H, et al., Inflamm Res. 2008 Oct;57(10):484-8
シコンエキスの配合目的
- 血管透過性亢進抑制作用並びにヒスタミン遊離抑制作用による抗アレルギー作用
- 好中球エラスターゼ活性阻害によるシワを防ぐ作用
シコンエキスの安全性情報
・試験データ(1)によると、乾燥固形分1%ムラサキ根エキス(シコンエキス)水溶液の塗布では皮膚刺激性は認めず、シコンエキスの皮膚刺激性はほとんどないと考えられました。
・試験データ(1)によると、乾燥固形分1%ムラサキ根エキス水溶液0.5mlの1日1回週5回2週の塗布では皮膚刺激性は認めず、シコンエキスの皮膚累積刺激性はほとんどないと考えられました。
・シコンエキスは、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています(2)。
・皮膚感作性に関しては20年以上の使用実績の中で、報告がないためほとんどないと考えられますが、試験データがないため詳細は不明です。
参考文献
(1)一丸ファルコス株式会社(1999)「メイラード反応阻害剤」特開平11-106336.
(2)医薬部外品原料規格2021(https://www.mhlw.go.jp/content/000843321.pdf)
日本語論文
石橋 克禮 , 渡部 亮夫 , 道 健一 , 田代 恒久 歯科薬物療法 10(3), 260-269, 1991
谷崎 智子 , 巽 二郎 根の研究 = Root research 13(4), 183, 2004-12-22
英語論文
Glynn KM, et al. Exp Dermatol. 2018.PMID: 29906314
Dermocosmetics for dry skin: a new role for botanical extracts.
Casetti F, et al. Skin Pharmacol Physiol. 2011.PMID: 21709432
Chang MJ, et al. Arch Dermatol Res. 2008.PMID: 18542977
Ishida T, et al. Biol Pharm Bull. 2007.PMID: 17473437
Single- and Repeat-dose Oral Toxicity Studies of Lithospermumerythrorhizon Extract in Dogs.
Nam C, et al. Toxicol Res. 2015.PMID: 25874036
Rajasekar S, et al. J Ethnopharmacol. 2012.PMID: 22995444
Therapeutic Effects of Shikonin on Skin Diseases: A Review.
Mu Z, et al. Am J Chin Med. 2021.PMID: 34961421
Staniforth V, et al. J Biol Chem. 2004.PMID: 14645256
Shikonin Prolongs Allograft Survival via Induction of CD4+FoxP3+Regulatory T Cells.
Zeng Q, et al. Front Immunol. 2019.PMID: 30988670
Red pigment from Lithospermumerythrorhizon by supercritical CO2 extraction.
Lee HY, et al. J Cosmet Sci. 2008.PMID: 18841307
Kim EK, et al. Biosci Biotechnol Biochem. 2007.PMID: 18071264