表示名称成分詳細
ジカプリン酸PG
成分番号(JP number): 551339
- INCI
- PROPYLENE GLYCOL DICAPRATE
- 定義(Description)
- 本品は、カプリン酸(*)とプロピレングリコール(PG(*))のジエステルであり、次の化学式で表される。Propylene didecanoate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 丙二醇二癸酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 30, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 27.26
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 프로필렌글라이콜다이카프레이트
- CAS No.
- 56519-72-3 / 53824-77-4
- EC No.
- 258-814-9
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ジカプリン酸PG / PROPYLENE GLYCOL DICAPRATE
ジカプリン酸とは
ジカプリン酸PGは、炭素数10の飽和脂肪酸(中鎖脂肪酸)であるカプリル酸2つと、多価アルコールの一種である、PG(プロピレングリコール)のジエステルであり、グリコール脂肪酸エステルです。
分子量:384.6
ジカプリン酸PGは無色透明な液体です(1)(5)。
ジカプリン酸PGの構造に含まれるPGは、ヒドロキシ基(-OH)を2つ持っており、二価アルコールに分類され、2つ以上のヒドロキシ基を持つことで多価アルコールとも呼ばれています。
また、ジカプリン酸は、ジカプリル酸と合わせて、母乳、ココナッツ油、バーム核油に多く含まれる飽和脂肪酸です(2)(3)。
母乳に含まれる栄養成分の中でも、効率の良いエネルギー源となっており、重要な脂肪酸成分です(3)。
ジカプリン酸PGは化粧品成分表示名称であり、医薬部外品表示名称はジカプリン酸プロピレングリコールと略さずに表記されます。
化粧品成分としては、油性成分としてベース成分、またエモリエント作用、難溶性成分の可溶化を目的に使用されます。
化粧品としては、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、日焼け止め製品、ボディ&ハンドケア製品、クレンジング製品などに使用されています。
エモリエント作用
低粘性を活かして、皮膚表面へ広がることで角質層を閉塞させ、角質層からの水分蒸発作用を抑制します。
水分蒸発を抑制することで、角質層の潤いを維持してくれます。
ベース成分
化粧品のベース成分としては、水性成分、油性成分、界面活性剤、顔料・粉体成分のうち、油性成分として使用され、角質層からの水分蒸発抑制作用であるエモリエント作用を目的に使用されます。また、他の油性成分との相溶性が良く、一緒に配合されることの多い成分です。
難溶性成分の可溶化
ジカプリン酸PGは油性成分としてのベース成分の配合だけでなく、難溶性成分を溶解する作用があることがわかっています。
コエンザイムQ10の可溶化の度合いを実験した結果が示されており、ジカプリン酸PGはコエンザイムQ10の再結晶かを抑制する作用が推察されています(4)。
難溶性で配合量が増やせない成分に対しても、ジカプリン酸PGを使用することで配合量を増量できる可能性があります。
安全性
ジカプリン酸PGは20年以上の使用実績があり、医薬部外品原料規格に収載されています。
一般的な使用であれば安全性は高いと言われています。
皮膚刺激に関してほとんど刺激はないとされており、皮膚感作に関してもほとんどアレルギーはないとされていますが、詳細な実験の報告は見当たりません。
眼科刺激に関しても詳細な実験の報告は見当たりません。
参考文献
(1)Pubchem (2019)「1,2-Propanediol didecanoate」 https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/103849 令和3年11月4日アクセス.
(2) オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る: 『お風呂の愉しみ』テキストブック. (2001). 日本: 飛鳥新社.p76
(3) 応用栄養学. (2010). 日本: 化学同人.p62
(4) 福原 寛央, 他(2008)「ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いたコエンザイムQ10可溶化製剤の開発と化粧料への応用」日本化粧品技術者会誌(42)(4),297-304.
(5)Cosmetic Ingredient Review(1999)「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol (PG) Dicaprylate, PG Dicaprylate/Dicaprate, PG Dicocoate, PG Dipelargonate, PG Isostearate, PG Laurate, PG Myristate, PG Oleate, PG Oleate SE, PG Dioleate, PG Dicaprate, PG Diisostearate, and PG Dilaurate」International Journal of Toxicology(18)(2),35-52.
ジカプリン酸の配合目的
- 角質層からの水分蒸発抑制作用(エモリエント作用)
- 難溶性成分の可溶化作用、また可溶化による成分配合量の増量を目的として配合
ジカプリン酸の安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR684.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS52.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Topical delivery of celecoxib using microemulsion.
Subramanian N, Ghosal SK, Moulik SP.Acta Pol Pharm. 2004 Sep-Oct;61(5):335-41.PMID: 15747689 Free article.
Chan LW, Chow KT, Heng PW.Pharm Res. 2006 Feb;23(2):408-21. doi: 10.1007/s11095-005-9259-4. Epub 2006 Jan 12.PMID: 16397742
Heng PW, Chan LW, Chow KT.Pharm Res. 2005 Apr;22(4):676-84. doi: 10.1007/s11095-005-2484-z. Epub 2005 Apr 7.PMID: 15846476
Jaworska M, Sikora E, Zielina M, Ogonowski J.Acta Biochim Pol. 2013;60(4):779-82.PMID: 24432331 Free article.
Impact of emulsion-based drug delivery systems on intestinal permeability and drug release kinetics.
Buyukozturk F, Benneyan JC, Carrier RL.J Control Release. 2010 Feb 25;142(1):22-30. doi: 10.1016/j.jconrel.2009.10.005. Epub 2009 Oct 20.PMID: 19850092
Chow KT, Chan LW, Heng PW.J Pharm Sci. 2008 Aug;97(8):3467-82. doi: 10.1002/jps.21227.PMID: 17969118
Khan I, Hussein S, Houacine C, Khan Sadozai S, Islam Y, Bnyan R, Elhissi A, Yousaf S.Int J Pharm. 2021 Apr 1;598:120376. doi: 10.1016/j.ijpharm.2021.120376. Epub 2021 Feb 20.PMID: 33617949
Goddeeris C, Goderis B, Van den Mooter G.Eur J Pharm Sci. 2010 May 12;40(2):110-7. doi: 10.1016/j.ejps.2010.03.005. Epub 2010 Mar 16.PMID: 20298780