表示名称成分詳細
シア脂
成分番号(JP number): 551308
- INCI
- BUTYROSPERMUM PARKII、BUTYROSPERMUM PARKII BUTTER
- 定義(Description)
- 本品は、シア Butyrospermum parkii の果実から得られる脂肪である。
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- nothing, 牛油果树(BUTYROSPERMUM PARKII)果脂
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- (牛油果树(BUTYROSPERMUM PARKII)果脂)【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 99.8
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- CAS No.
- EC No.
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
シア脂 / BUTYROSPERMUM PARKII、BUTYROSPERMUM PARKII BUTTER
シア脂とは
シア脂とは、化学構造にグリセリンと高級脂肪酸とのトリグリセリドを主成分とする、植物性油脂です。
化粧品成分としては、油脂性成分としてベース成分、またエモリエント作用を目的に使用されます。
シア脂は、化粧品成分表示名称、化粧品成分表示名称として定められた名称であり、慣用名としてはシアバターと呼ばれています。
シア脂の原料植物は、中央アメリカに分布する、アカテツ科植物シアーバターノキ(学名:Butyrospermum parkii = Vitellaria paradoxa 英名:Shea)と呼ばれており、学名に関しては命名法により違いがあるので注意が必要です(2)。
シアーバターノキの種子から得られる白~淡黄色の植物性固体油脂です(2)。
植物油は植物の種類、産地、部位、圧搾方等により成分が変化するといわれています。
ですが、主要な脂肪酸成分と割合はわかってきています。
ステアリン酸:約30-50%、オレイン酸:約38-50%
ヨウ素価45-77
ヨウ素価から「不乾性油」に分類されます。
オレイン酸は不飽和脂肪酸ですが、1つの二重結合を持つのみで比較的安定な脂肪酸です。
ステアリン酸は飽和脂肪酸で安定性は高い脂肪酸であり、総合的に酸化安定性は高いといえます(1)。
常温で個体のため、シア「脂」という表記になっています。
シア脂の融点(28-45℃)は体温に近く、体温で溶けることに加え、低粘性で潤滑性、拡散・浸潤性に優れています(2)。
シア脂は脂肪酸以外にもトリテルペン、ビタミンE、フェノール、ステロールなど不けん化成分に関しても豊富に含んでおり、抗炎症、抗酸化作用など皮膚に良い効果をもたらすとされています(3)。
化粧品製品としては、スキンケア化粧品、ボディ&ハンド&フットケア製品、リップ製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、日焼け止め製品などで幅広く使用されます。
エモリエント作用
展延性を生かして、皮膚表面へ広がることで角質層を閉塞させ、角質層からの水分蒸発作用を抑制します。
水分蒸発を抑制することで、角質層の潤いを維持し、肌の柔軟性、光沢、柔らかさを与えてくれます。
また、シア脂を長期連用することで、皮膚水分量増加による保湿作用が持続することが認められています(6)。
ベース成分
化粧品のベース成分としては水性成分、油性成分、界面活性剤、顔料・粉体成分のうち、油性成分として使用され、角質層からの水分蒸発抑制作用であるエモリエント作用を目的に使用されます。
その他
抗炎症作用に関して、シア脂のメタノール抽出物によって、炎症誘発性酵素、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)も阻害作用、セラミド前駆体としての作用が実験によって示されています(4)(5)。
作用の実証にはさらなる研究結果が必要とされています。
安全性
シア脂は10年以上の使用実績があり、日本薬局方、医薬部外品原料規格に収載されています。
一般的な使用であれば安全性は高いといわれています。
皮膚刺激性、眼刺激に関してほとんど刺激がないとの結果や、皮膚感作性に関してもアレルギーはないとの実験結果が報告されています(1)。
光毒性に関しても、光毒性はなしとの報告がなされています(2)。
参考文献
(1) Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
(2)化粧品成分用語事典2012. (2012). 日本: 中央書院.p10
(3) Lin TK, Zhong L, Santiago JL. Anti-Inflammatory and Skin Barrier Repair Effects of Topical Application of Some Plant Oils. Int J Mol Sci. 2017;19(1):70. Published 2017 Dec 27. doi:10.3390/ijms19010070)
(4) Hon KL, Tsang YC, Pong NH, Lee VW, Luk NM, Chow CM, Leung TF. Patient acceptability, efficacy, and skin biophysiology of a cream and cleanser containing lipid complex with shea butter extract versus a ceramide product for eczema. Hong Kong Med J. 2015 Oct;21(5):417-25. doi: 10.12809/hkmj144472. Epub 2015 Aug 28. PMID: 26314567.
(5) Verma N, Chakrabarti R, Das RH, Gautam HK. Anti-inflammatory effects of shea butter through inhibition of iNOS, COX-2, and cytokines via the Nf-κB pathway in LPS-activated J774 macrophage cells. J Complement Integr Med. 2012 Jan 12;9:Article 4. doi: 10.1515/1553-3840.1574. PMID: 22499721.
(6) Poelman M C, et al(1988)「Etude del’activité hydratante d’une émulsion essai de l’émulsion Xéroderm.」Les Nouvelles dermatologiques(7)(1),78-79.
シア脂の配合目的
- 角質層からの水分蒸発抑制作用(エモリエント作用)
- 角質層の水分増加による、皮膚の柔軟性の改善作用
- 長期連用における皮膚水分量増加作用の持続
- 抗炎症作用・抗酸化作用
シア脂の安全性情報
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS577.pdf
・https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR720.pdf
日本語論文
紫外線防御能を持つシア脂のヘアケアへの応用 (特集 化粧品用途油剤の開発・用途・物性評価)
山田 記丘美 コスメティックステージ 2(3), 37-39, 2008-02
Tano-Debrah Kwaku , 太田 欽幸 生物生産学研究 35(2), 163-171, 1996-12
シア脂 (植物油脂のステロ-ル組成) 油化学 30(12), p891-892, 1981-12
油脂及び油脂製品試験法部会・ガスクロデータ小委員会 油化学 27(7), 473-473, 1978
立石 悌三郎 [他] , 藤原 正雄 , 御手洗 元 油化学 10(8), 485-487, 1961
英語論文
Sarruf FD, Sauce R, Candido TM, Oliveira CA, Rosado C, Velasco MVR, Baby AR.J Cosmet Dermatol. 2020 Dec;19(12):3296-3301. doi: 10.1111/jocd.13429. Epub 2020 May 8.PMID: 32385930
Sarruf FD, Cândido TM, de Oliveira CA, Bou-Chacra NA, Robles Velasco MV, Baby AR.J Cosmet Dermatol. 2020 Aug;19(8):2076-2085. doi: 10.1111/jocd.13238. Epub 2019 Dec 19.PMID: 31856404
Tella A.Br J Clin Pharmacol. 1979 May;7(5):495-7. doi: 10.1111/j.1365-2125.1979.tb00992.x.PMID: 89854 Free PMC article. Clinical Trial.