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表示名称成分詳細

サリチル酸メチル

成分番号(JP number): 551297

INCI
METHYL SALICYLATE
定義(Description)
本品は、サリチル酸(*)のメチルエステルであり、次の化学式で表される。methyl 2-hydroxybenzoate
日本の規制情報(Japanese regulation information)
【化粧品に配合可能な医薬品の成分について】*サリチル酸メチルについて記載。<100g中の最大配合量(g)について> 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの: 5.0g,<100g中の最大配合量(g)について> 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの: 5.0g,粘膜に使用されることがある化粧品: (0.10)g, 注1) 旧基準に収載されていた成分。注2) ( )内は、旧基準において示していた成分の分量を参考に付したもの。注3) 一部、用途の違いによりその整合性を図ったこと。
中文inci(CN/中国名称)
水杨酸甲酯
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 15
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
메틸살리실레이트
CAS No.
119-36-8
EC No.
204-317-7
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

サリチル酸メチル / METHYL SALICYLATE

サリチル酸メチルとは

サリチル酸メチルとは

サリチル酸メチルは、o-ヒドロキシ安息香酸にあたるサリチル酸のカルボキシ基(-COOH)にメチル基(-CH3)が結合したサリチル酸のメチルエステルです(1)。

無色の鱗片状結晶で、260から261度で分解し、光にさらすと淡赤色となる反応を示します。水に溶けやすく、またメタノールやエタノールにもよく溶けます(2)。

サリチル酸は、19世紀ごろドイツやフランスの薬学者が柳の樹皮に含まれる成分を分析し、活性物質の抽出に成功したことから発見されました。

この活性物質は、柳の学名に因んで「salicin(サリシン)」と名付けられました。このサリシンをさらに加水分解して得られたのがサリチル酸です。

柳の葉や樹皮は、古くから世界各地で薬として利用されてきた歴史があり、医学の父と呼ばれる古代ギリシャのヒポクラテスは、柳の樹皮を鎮痛・解熱に使用していたという記録があります。

また、ネイティブ・アメリカンも、柳の仲間を鎮痛・解熱に用いていたといわれます(3)。

上記の理由から現在に至るまで、サリチル酸メチルの医薬品分野での用途として、末梢の知覚神経に働いて鎮痛作用をもたらし、末梢血管を拡張して血流を改善する作用があることから消炎鎮痛目的として、湿布やスプレーなどが挙げられます。

湿布薬などに含まれるサリチル酸メチルやサリチル酸グリコールも、サリチル酸の構造の一部を人工的に置き換えてつくられているものです。

またサリチル酸メチルの他の用途として、歯茎の炎症を抑える目的または香料として歯磨剤や、消炎鎮痛剤として入浴剤などが挙げられます(4)(5)。

サリチル酸メチルの効果

サリチル酸メチルは、皮膚に浸透してメントール様の清涼感を付与する効果を持っていることが報告されています。

サリチル酸メチルは、一般的に単体で使用される場合もあれば、同様の効果をもつメントールと併用して、スキンケア化粧品、ボディケア製品などに使用されています(6)(7)。

サリチル酸メチルが使用されている製品について、1998から2000年および2018から2019年の海外における調査結果では、皮膚接触や粘膜を対象とした製品に配合されていることが報告されています。

スキンケア製品やメイクアップ製品などの付けっ放し製品であるリーブオン製品や、シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなどの洗い流し製品であるリンスオフ製品の両方において割合に差がなく製品化されています。

参考文献

(1) 大木 道則, 他(1994)「サリチル酸メチル」化学辞典,518.

(2) 「サリチル酸メチル」岩波 理化学辞典 第5版 p523

(3) https://taisho-kenko.com/ingredient/detail/18 「大正製薬 サリチル酸」

(4) 槌間 聡(2011)「サリチル酸とサリチル酸誘導体の合成と性質」化学と教育(59)(8),418-421.

(5) 嶋田 朗(2011)「現代のサリチル酸メチルの製造法」化学と教育(59)(8),422-425.

(6) 鈴木 一成(2012)「サリチル酸メチル」化粧品成分用語事典2012,411-412.

(7) 宇山 侊男, 他(2015)「サリチル酸メチル」化粧品成分ガイド 第6版,114.

サリチル酸メチルの配合目的

  • 清涼感付与効果

サリチル酸メチルの安全性情報

皮膚刺激性について

– 健常皮膚を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ・名古屋大学医学部附属病院分院皮膚科のパッチテストデータより、サリチル酸メチルは医薬成分であることから化粧品および医薬部外品に配合上限が定められており、非刺激-軽度の刺激が報告されていることから、一般に5%濃度以下において皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

– 皮膚炎を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データより、サリチル酸メチルは医薬成分であることから化粧品および医薬部外品に配合上限が定められており、5%濃度以下において皮膚刺激なしと報告されていることから、一般に皮膚炎を有する場合において皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データより、重度の眼刺激が報告されていることから、一般に眼刺激性は重度の眼刺激を引き起こすと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データより、共通して皮膚感作なしと報告されていることから、一般に皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

日本語論文

化粧品における刺激バリアーとしての新規ポリマー

黒田 綾子 , 井柳 宏一 日本化粧品技術者会誌 38(1), 22-33, 2004 J-STAGE

化粧品における刺激バリアーとしての新規ポリマー

黒田 綾子 , 井柳 宏一 日本化粧品技術者会誌 38(1), 22-33, 2004 J-STAGE

メチルパラベンによる接触じん麻疹の1例

小嶋 益子 皮膚 34(5), 578-582, 1992 J-STAGE

英語論文

Chitosan-functionalised poly(2-hydroxyethyl methacrylate) core-shell microgels as drug delivery carriers: salicylic acid loading and release.

Mahattanadul N, et al. J Microencapsul. 2016.PMID: 27535586

Effects of a diluent on the retarded-release property of acrylate methacrylate--salicylic acidcoacervates.

Okor RS, et al. Pharm Res. 1990.PMID: 2293223 No abstract available.

Preparation and evaluation of Eudragit gels. II: In vitro release of salicylic acid, sodium salicylate, and ketoprofen from Eudragit L and S organogels.

Kawata M, et al. J Pharm Sci. 1991.PMID: 1815059

Synthesis and characterization of acrylic type hydrogels containing azo derivatives of 5-amino salicylic acidfor colon-specific drug delivery.

Mahkam M, et al. Inflammopharmacology. 2006. PMID: 16835716

Efficient removal of heavy metal ions from aqueous solution using salicylic acid type chelate adsorbent.

An F, et al. J Hazard Mater. 2011.PMID: 21741170

Novel pH-sensitive hydrogels for colon-specific drug delivery.

Mahkam M. Drug Deliv. 2010.PMID: 20141506