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表示名称成分詳細

サイシンエキス

成分番号(JP number): 551277

INCI
(NOTHING)
定義(Description)
本品は、ウスバサイシンAsiasarum sieboldi又はケイリンサイシンAsiasarum heterotropoides mandshuricumの根のエキスである。
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
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中国の規制情報(Chinese regulation information)
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韓国inci(KR/ハングル/성분명)
CAS No.
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EC No.
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EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

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原料情報

サイシンエキス / (NOTHING)

サイシンエキスとは

サイシンエキスは、ウマノスズクサ科植物ウスバサイシン(薄葉細辛)の根茎および根から、水やエタノールを用いて抽出して得られる抽出エキスです。

ウスバサイシンの根は辛く、芳香があります。この辛味から、細辛という名が付けられました。

学名は Asarum sieboldii F. Maekawa と Asiasarum sieboldii Miq.の2種類が用いられています。

これは、ウスバサイシンの植物分類学における考え方の違いによるものであり、どちらを使っても全く問題ありません。

日本の医薬品の規格基準書である日本薬局方においては、Asarum sieboldii F. Maekawa で記載されているため、こちら学名の方が使われる頻度が高いようです。

ちなみに、日本薬局方に規定されているサイシンとは、ウスバサイシンとケイリンサイシンの根及び根茎とされており、解熱鎮痛や鎮咳去痰作用を示し、麻黄附子細辛湯、小青竜湯、といった漢方方剤に使用されています。

ウスバサイシンは、朝鮮半島、中国などに分布しており、中国では標高800~2,000mの林に生育しています。

日本国内では本州および九州の山地の、やや湿った林下に生育しており、関東地方では標高1,000~2,000mの広葉樹林のもとに見られますが、東北地方では平地の雑木林にも生育していることが確認されています。

サイシンの含有成分として、特有の香り成分であるメチルオイゲノールやサフロールといった精油成分、辛味成分である不飽和脂肪酸アミドが挙げられます。

サイシンの地上部には腎障害の原因となるアリストロキア酸が含まれていますが、サイシンエキスの抽出に用いる根茎や根には含まれていません。

サイシンエキスには、グルタチオンレダクターゼ発現増強による抗酸化作用があります。

また、角質の水分を保持し、皮膚のキメの細かさを維持する働きのあるフィラグリンの産生を促進し、保湿作用を発揮します。

加えて、細胞間の脂質の成分の一つであるセラミドの合成を促進し、また皮膚のバリア機能に関与するインボルクリンの発現を増強することにより、バリア改善作用を発揮します。

上記のような作用を期待して、スキンケア化粧品、薬用石鹸、シャンプー、リンス、メイクアップ化粧品といった製品に幅広く使用されています。

なお、アレルギー性鼻炎に対する抗アレルギー作用(抗ヒスタミン作用)についても認められており(1)、上で紹介した漢方方剤のような使われ方のみならず、皮膚外用剤としても、今後この作用を生かした製品展開が広がっていくかもしれません。

参考文献

(1)Zhicheng Zhang, Haoran Kang Protective effect of Asarum sieboldii essential oil on ovalbumin induced allergic rhinitis in rat. 2020 Jun 26;40(6):BSR20191370. doi: 10.1042/BSR20191370.

サイシンエキスの配合目的

  • グルタチオンレダクターゼ発現増強による抗酸化作用
  • フィラグリン産生促進による保湿作用
  • セラミド合成及びインボルクリン発現促進によるバリア改善作用

サイシンエキスの安全性情報

(1)より、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

(2)より、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

(1)一丸ファルコスの安全性試験データ

(2)日本薬局方および医薬部外品原料規格2021

日本語論文

サイシンエキスの美肌効果 (特集/植物成分の新たな有効性と化粧品への応用)

山羽 宏行 フレグランスジャーナル 34(8), 17-21, 2006-08

英語論文

Constituents of Asarum sieboldiiwith inhibitory activity on lipopolysaccharide (LPS)-induced NO production in BV-2 microglial cells.

Han AR, et al. Chem Biodivers. 2008.PMID: 18293448

Mechanism of anti-nociceptive effects of Asarum sieboldii Miq. radix: potential role of bradykinin, histamine and opioid receptor-mediated pathways.

Kim SJ, et al. J Ethnopharmacol. 2003.PMID: 12902045

(-)-Asarinin from the Roots of Asarum sieboldii Induces Apoptotic Cell Death via Caspase Activation in Human Ovarian Cancer Cells.

Jeong M, et al. Molecules. 2018.PMID: 30044423 Free PMC article.

Isolation and antifungal activity of kakuol, a propiophenone derivative from Asarum sieboldii rhizome.

Lee JY, et al. Pest Manag Sci. 2005.PMID: 15846774

[The volatile components of three radix et rhizoma asari].

Chen B, et al. Zhong Yao Cai. 2010.PMID: 21548367 Chinese.

Anti-listerial compounds from Asari Radix.

Oh J, et al. Arch Pharm Res. 2010.PMID: 20945132

Simultaneous determination of twenty-two components in Asari Radix et Rhizoma by ultra performance liquid chromatography coupled with quadrupole time-of-flight mass spectrometry.

Wen H, et al. Planta Med. 2014.PMID: 25513865