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コメヌカエキスとは

コメヌカエキス（学名：Oryza Sativa(Rice)Bran Extract）は、イネ科植物のイネを精米する時に得られる果皮や種皮、胚芽から成る米糠から、水やエタノール、BG（1,3-ブチレングリコール）を使って抽出されたエキスのことです。

米糠にはフィチン酸、イノシトール、フェルラ酸、γ-オリザノール、ビタミンB群、トコフェノール、食物繊維といった豊富な栄養成分が含まれています(1)。

米の栄養成分のうち実に95%が、米糠中に存在しています。

米糠は日本人にとっては身近な存在で、合成洗剤が普及するまでは洗剤として使われたり、また栄養値がとても高いことから、歴史的に見ると貴重な栄養源として機能してきました。

精米せずに玄米として摂取したり、糠漬けに用いる糠床として利用するなどして日本人の健康増進に大きく寄与してきた米糠ですが、化粧品成分として利用することを考えるにあたり重要な働きは、抗酸化作用と保湿作用です。

まずγ-オリザノールは米糠に特有の成分で、強力な抗酸化作用や紫外線防止作用があり、皮膚の乾燥や肌荒れ、シミやシワを防止する作用があります。

また、ポリフェノールの一種であるフェルラ酸も米糠に特有の成分であり、抗酸化作用や紫外線吸収作用をもち、こちらも注目されています。

同様にフィチン酸も有名な抗酸化成分であり、スキンケア製品に広く利用されている(2)ほか、抗悪性腫瘍作用、尿路結石や腎結石の予防といった効果もあるとされています。

次に保湿作用についてですが、米糠は油の含有量が元々高く、米糠油を絞って利用されてきました。

その油分がエモリエント効果(皮膚からの水分の蒸発を防いで水分量を保ち、潤いと柔らかさを保持する働き)の高いものであるため、皮膚を柔軟に保ち、潤いを保持してくれます。

抗酸化作用、保湿作用の目的で、化粧水や乳液といったスキンケア化粧品、洗顔料、育毛剤やスタイリング製品、シャンプーやコンディショナーといったヘアケア用品など、様々な製品に配合されています。

また、米糠に含まれるフラボンの一種であるトリシンという成分にもUVBによる肌の老化を防ぐ作用がありますが、このトリシンにはIgEを介した抗アレルギー作用が認められており、アレルギー疾患の改善に役立つ可能性があります(3)。

上記の抗酸化作用を示す成分においては、しわや色素沈着といったアンチエイジング効果について今なお様々な研究が展開されています。

参考文献

(1)Mian Kaman Sharif, Masood Sadiq Butt, Faqir Muhammad Anjum, Saima Hafiz Khan Rice bran:a novel functional ingredient. 2014;54(6):807-16. doi: 10.1080/10408398.2011.608586

(2)Aranya Manosroi, Romchat Chutoprapat, Yuji Sato, Kukizo Miyamoto, Kesyin Hsueh, Masahiko Abe, Worapaka Manosroi, Jiradej Manosroi Antioxidant activities and skin hydration effects of rice bran bioactive compounds entrapped in niosomes. 2011 Mar;11(3):2269-77. doi: 10.1166/jnn.2011.3532

(3)Jae-Yeul Lee, Se-Ho Park, Kwang-Hwan Jhee, Seun-Ah Yang Tricin Isolated from Enzyme-Treated Zizania latifolia Extract Inhibits IgE-Mediated Allergic Reactions in RBL-2H3 Cells by Targeting the Lyn/Syk Pathway. 2020 Apr 29;25(9):2084. doi: 10.3390/molecules25092084