表示名称成分詳細
ココベタイン
成分番号(JP number): 551231
- INCI
- COCO-BETAINE
- 定義(Description)
- 本品は、ヤシ油(*)から得られる両性化合物(分子内塩)であり、次の化学式で表される。R:ヤシ油アルキル基Betaines, coco alkyldimethyl
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 椰油基甜菜碱
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 40.04, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 0.3
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 코코-베타인
- CAS No.
- 68424-94-2
- EC No.
- 270-329-4/931-700-2
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ココベタイン / COCO-BETAINE
ココベタインとは
[化粧品成分表示名称]
・ココベタイン
[医薬部外品表示名称]
・ヤシ油アルキルベタイン液
ココベタイン(Coco-Betaine)は、ヤシ科植物ココヤシの果実(ココナッツ)から得られるヤシ油に含まれる脂肪酸とジメチルアミンの反応から得られる脂肪酸ジメチルアミンを、クロロ酢酸と反応させることで調製することができます(1)。ベタイン型の両性界面活性剤に分類されます。
医薬部外品表示名称としては「ヤシ油アルキルベタイン液」という名前が使われています。
ヤシ油に含まれる脂肪酸組成は、ヤシの栽培されている地域や抽出方法によっても異なりますが、主に下記の脂肪酸が含まれています(2)。(カッコ内の数字は炭素数と二重結合数を示しています)
・ラウリン酸 (C12) 44-52%
・ミリスチン酸 (C14) 13-19%
・パルミチン酸 (C16) 8-11%
・カプリン酸(C10) 6-10%
・カプリル酸 (C8) 5-9%
・オレイン酸 (C18:1) 5-8%
・ステアリン酸 (C18) 1-3%
・カプロン酸(C6) 0-1%
・リノール酸 (C18:2) 0-2.5%
上記より、ココベタインは炭素数12 の高級脂肪酸であるラウリン酸からなるラウリン酸アルキルベタインを主体とし、ミリスチン酸、パルミチン酸、その他の脂肪酸のアルキルベタインを含む界面活性剤であることが分かります。
界面活性剤としてのココベタイン
カチオン基の4級アンモニウム塩と、アニオン基のカルボン酸を含んでいるココベタインは、両性界面活性剤に分類されます。
一般に使用されている両性界面活性剤はほとんどがカルボン酸塩型で、さらにアミノ酸型とベタイン型に分類されます。ココベタインなどのベタイン型の両性界面活性剤は、皮膚や眼に対する刺激性が比較的弱く、他の活性剤と組み合わせて洗浄性や起泡性を向上させる補助剤として広く使用されています(3)。
両性界面活性剤は水に溶けたとき、アルカリ性領域ではアニオン界面活性剤の性質を、酸性領域ではカチオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤です。ココベタインは弱酸と強塩基の組み合わせであるため、等電点以上の条件下では両性、等電点以下の酸性領域では4級アンモニウム型カチオン界面活性剤の性質を示します(4)。
ベタイン型の両性界面活性剤は、アニオン界面活性剤の気泡力を高めるための添加剤として頻繁に用いられています。これは、界面活性剤同士が会合体を形成することや、オイルによる消泡の抑制が関係していることが報告されています(4)。
ココベタインの化粧品への配合
ココベタインは気泡力に優れており、刺激性が低いという特徴があることから、主にシャンプーや洗顔料などの洗浄剤に使用されています。ココベタイン自体にも洗浄力がありますが、石けんに代表されるアニオン界面活性剤と併用することで相乗効果を発揮し、増粘性や泡安定性などを高めたり、テクスチャーを調整する作用があります。
ココベタインは、洗浄作用と髪を柔らかくするヘアコンディショニング作用を併せ持つことから、リンスインシャンプーやトリートメント効果のあるシャンプーにも配合されています(5)。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから、安全性評価論文内で説明されている現在の使用方法と濃度内で処方された場合のココベタインの安全性が結論づけられています(1)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2013年時点で、ココベタインを配合している製品の登録数は合計227で、そのうちリーブオン製品は4製品、リンスオフ製品は213製品、浴剤として希釈して使用する製品が10製品でした(1)。
製品への含有量について2013年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、ココベタインはリーブオン製品で1.8%から2%、リンスオフ製品で0.53%から9.8%の配合率で使用されていました(1)。
参考文献
- Cosmetic Ingredient Review (2018)「Safety Assessment of Alkyl Betaines as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology 2018, Vol. 37 (Supplement 1) 28S-46S
- Cosmetic Ingredient Review (2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology (36) (Supplement3), 51S-129S
- 日本界面活性剤工業会 (-)「界面活性剤の主な性質と種類」https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html 2021年11月30日アクセス
- 野々村美宗 (2015)「両性界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 50-52
- 久光一誠 (2017)「アンホ(両性)界面活性剤」化粧品成分表示のかんたん読み方手帳, 97-99
ココベタインの配合目的
- 帯電防止剤
- ヘアコンディショニング剤
- 皮膚コンディショニング剤
- 洗浄剤
- 起泡剤
- 親水性増粘剤
ココベタインの安全性情報
皮膚刺激性:非刺激-軽度の皮膚刺激性が起こる可能性あり
Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Alkyl Betaines as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(37)(1_suppl),28S-46S.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS650.pdf
日本語論文
なし
英語論文
Akanno A, et al. Molecules. 2019. PMID: 31547491 Free PMC article.
Shampoo dermatitis due to cocobetaine and sodium lauryl ether sulphate.
Van Haute N, et al. Contact Dermatitis. 1983. PMID: 6851541 No abstract available.
Skin irritancy of surfactants as assessed by water vapor loss measurements.
van der Valk PG, et al. J Invest Dermatol. 1984. PMID: 6699429 Free article.
van der Valk PG, et al. Derm Beruf Umwelt. 1985. PMID: 4028973