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表示名称成分詳細

コカミドプロピルベタイン

成分番号(JP number): 551186

INCI
COCAMIDOPROPYL BETAINE
定義(Description)
本品は、次の化学式で表される両性化合物(分子内塩)である。RCO:ヤシ油脂肪酸アシル基Cocamidopropyl Betaine is the zwitterion (inner salt) that conforms generally to the formula:
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
椰油酰胺丙基甜菜碱
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 30, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 2.96
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
코카미도프로필베타인
CAS No.
97862-59-4 (generic)/61789-40-0/70851-07-9/83138-08-3
EC No.
-/263-058-8/274-923-4/-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

コカミドプロピルベタイン / COCAMIDOPROPYL BETAINE

コカミドプロピルベタインとは

[化粧品成分表示名称]

・コカミドプロピルベタイン

[医薬部外品表示名称]

・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液

コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)は、ヤシ科植物ココヤシの果実(ココナッツ)から得られるヤシ油に含まれる脂肪酸とジメチルプロピレンジアミンから得られる脂肪酸アミドアミンを、モノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることで調製されます。ベタイン型の両性界面活性剤に分類されます。

医薬部外品表示名称としては「ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液」という名前が使われています。

ヤシ油に含まれる脂肪酸組成は、ヤシの栽培されている地域や抽出方法によっても異なりますが、主に下記の脂肪酸が含まれています(1)。(カッコ内の数字は炭素数と二重結合数を示しています)

・ラウリン酸 (C12) 41-51.3%

・ミリスチン酸 (C14) 13-23%

・パルミチン酸 (C16) 4.2-18%

・カプリル酸 (C8) 3.4-15%

・カプリン酸(C10) 3.2-15%

・オレイン酸 (C18:1) 3.4-12%

・ステアリン酸 (C18) 1.6-4.7%

・リノール酸 (C18:2) 0.9-3.7%

・カプロン酸(C6) 0.008-1.2%

上記より、コカミドプロピルベタインは炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸からなるラウリン酸アミドプロピルベタインを主体とし、ミリスチン酸、パルミチン酸、その他の脂肪酸のアミドプロピルベタインを含む界面活性剤であることが分かります。

界面活性剤としてのコカミドプロピルベタイン

カチオン基の4級アンモニウム塩と、アニオン基のカルボン酸を含んでいるコカミドプロピルベタインは、両性界面活性剤に分類されます。

一般に使用されている両性界面活性剤はほとんどがカルボン酸塩型で、さらにアミノ酸型とベタイン型に分類されます。コカミドプロピルベタインなどのベタイン型の両性界面活性剤は、皮膚や眼に対する刺激性が比較的弱く、他の活性剤と組み合わせて洗浄性や起泡性を向上させる補助剤として広く使用されています(2)。

両性界面活性剤は水に溶けたとき、アルカリ性領域ではアニオン界面活性剤の性質を、酸性領域ではカチオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤です。コカミドプロピルベタインは弱酸と強塩基の組み合わせであるため、等電点以上の条件下では両性、等電点以下の酸性領域では4級アンモニウム型カチオン界面活性剤の性質を示します(3)。

ベタイン型の両性界面活性剤は、アニオン界面活性剤の気泡力を高めるための添加剤として頻繁に用いられています。これは、界面活性剤同士が会合体を形成することや、オイルによる消泡の抑制が関係していることが報告されています(3)。

コカミドプロピルベタインの化粧品への配合

コカミドプロピルベタインは気泡力に優れており、刺激性が低いという特徴があることから、シャンプーの基材として汎用されています。コカミドプロピルベタイン自体にも洗浄力がありますが、石けんに代表されるアニオン界面活性剤と併用することで相乗効果を発揮し、増粘性や泡安定性などを高めたり、テクスチャーを調整する作用があります。皮膚コンディショニングの作用も知られています(1)。

コカミドプロピルベタインは、洗浄作用と髪を柔らかくするヘアコンディショニング作用や帯電防止作用を併せ持つことから、リンスインシャンプーやトリートメント効果のあるシャンプーにも配合されています(4)。

Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから、安全性評価論文内で説明されている現在の使用方法と濃度内で処方された場合のコカミドプロピルベタインの安全性が結論づけられています(1)。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2010年時点で、コカミドプロピルベタインを配合している製品の登録数は合計3287で、そのうちリーブオン製品は228製品、リンスオフ製品は3059製品でした(1)。

製品への含有量について2010年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、コカミドプロピルベタインはリーブオン製品で0.2%から6%、リンスオフ製品で0.005%から11%の配合率で使用されていました(1)。

参考文献

  1. Cosmetic Ingredient Review (2012)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Cocamidopropyl betaine (CAPB)」International Journal of Toxicology Vol. 31 (Supplement 1) 77S-111S
  2. 日本界面活性剤工業会 (-)「界面活性剤の主な性質と種類」https://jp-surfactant.jp/surfactant/nature/index.html 2021年11月30日アクセス
  3. 野々村美宗 (2015)「両性界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 50-52
  4. 久光一誠 (2017)「アンホ(両性)界面活性剤」化粧品成分表示のかんたん読み方手帳, 97-99

コカミドプロピルベタインの配合目的

  • 帯電防止剤
  • ヘアコンディショニング剤
  • 皮膚コンディショニング剤
  • 洗浄剤
  • 起泡剤
  • 親水性増粘剤

コカミドプロピルベタインの安全性情報

皮膚刺激性:軽度の一次刺激および重度までの累積刺激を引き起こす可能性あり

Cosmetic Ingredient Review(1991)「Final Report on the Safety Assessment of Cocamidopropyl Betaine」Journal of the American College of Toxicology(10)(1),33-52.

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS518.pdf

日本語論文

なし

英語論文

Cocamidopropyl betaine.

Jacob SE, et al. Dermatitis. 2008. PMID: 18627690 Review.

Is cocamidopropyl betaine a contact allergen? Analysis of network data and short review of the literature.

Schnuch A, et al. Contact Dermatitis. 2011. PMID: 21392028 Review.

Rapid determination of cocamidopropyl betaine impurities in cosmetic products by core-shell hydrophilic interaction liquid chromatography-tandem mass spectrometry.

Wang PG, et al. J Chromatogr A. 2016. PMID: 27473511

[Contact allergy to 3-dimethylaminopropylamine and cocamidopropyl betaine].

Hervella M, et al. Actas Dermosifiliogr. 2006. PMID: 16796966 Free article. Spanish.

Clinical allergy to cocamidopropyl betaine: reactivity to cocamidopropylamine and lack of reactivity to 3-dimethylaminopropylamine.

McFadden JP, et al. Contact Dermatitis. 2001. PMID: 11553115

Allergy to cocamidopropyl betaine may be due to amidoamine: a patch test and product use test study.

Fowler JF, et al. Contact Dermatitis. 1997. PMID: 9455630

Allergic contact dermatitis to cocamidopropyl betaine in Colombia.

Yepes-Nuñez JJ, et al. Allergol Immunopathol (Madr). 2012. PMID: 21514987 No abstract available.

[Cocamidopropyl betaine a common skin sensitizer in cosmetic products?].

Kanerva L, et al. Duodecim. 1997. PMID: 11370103 Finnish. No abstract available.

Cheilitis caused by contact allergy to cocamidopropyl betaine in '2-in-1 toothpaste and mouthwash'.

Agar N, et al. Australas J Dermatol. 2005. PMID: 15670171

Irritant and sensitizing potential of eight surfactants commonly used in skin cleansers: an evaluation of 105 patients.

Corazza M, et al. Dermatitis. 2010. PMID: 20920412

Provocative use tests in CAPB-allergic subjects with CAPB-containing product.

Fartasch M, et al. Contact Dermatitis. 1999. PMID: 10416705 Clinical Trial.

Occupational allergic contact dermatitis due to coconut diethanolamide (cocamide DEA).

Pinola A, et al. Contact Dermatitis. 1993. PMID: 8112067