表示名称成分詳細
クロルフェネシン
成分番号(JP number): 551147
- INCI
- CHLORPHENESIN
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表される芳香族化合物である。1,2-Propanediol, 3-(4-chlorophenoxy)-
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 【化粧品基準】化粧品の種類により配合の制限のある成分クロルフェネシンとして記載。100g中の最大配合量(g)として粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの: 0.30g, 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの: 0.30g, 粘膜に使用されることがある化粧品: (※注1は、配合してはならないことを示し、〇印は、配合の上限がないこと を示す。)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 氯苯甘醚
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): /, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): /, 備考: 按照《化妆品安全技术规范》要求使用 【化粧品への使用制限成分リスト】(※1 a.表に記載の防腐剤は、いずれも化粧品中の微生物の生長を抑えることを目的として投入する物質である。b.化粧品中のその他の抗微生物作用を有する物質は、本表に含まれていない。例えば、数多くの精油(essential oil)、一部のアルコール類など。d.全てのホルムアルデヒドを含有する化粧品又は本表中に記載のホルムアルデヒドを放出する可能性がある化粧品について、完成品中のホルムアルデヒド濃度が0.05%(遊離ホルムアルデヒドで計算)を超える場合は、製品ラベルに「ホルムアルデヒド含有」を標識しなければならない) 化粧品中の最大許可濃度:0.30%
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 클로페네신
- CAS No.
- 104-29-0
- EC No.
- 203-192-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
V/50
原料情報
クロルフェネシン / CHLORPHENESIN
クロルフェネシンとは
クロルフェネシンは、プロパントリオールの一位のヒドロキシ基が4-クロロフェニル基で置換されたグリコールであり、芳香族化合物です(2)。 芳香族化合物ではありますが、ほとんどにおいのない化合物です。
クロルフェネシンは化粧品成分表示名称、医薬部外品表示名称で定められた名称であり、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオールと呼ばれたりもします。
クロルフェネシンは化粧品成分としては防腐作用を目的に使用されます(1)。
化粧品としては、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、マスク製品、洗顔料、クレンジング製品に配合されています。
クロルフェネシンはクロルフェネシンカルバミン酸エステルが医薬品として有名であり、骨格筋弛緩薬として筋肉痙攣性の痛みに適用され、治療に使用されています()。
防腐
クロルフェネシンは、水溶性の防腐剤として使用され、酸性領域で効果を発揮します。
作用としては防腐剤として静菌作用の他、細菌自体を破壊また阻害する殺菌作用としても作用します。
また、クロルフェネシンは防腐効果として、細菌であるグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌である酵母、カビに対しての防腐効果が期待できます。 スキンケア化粧品にも使用されますが、主にメイク製品に使用されています(1)。
安全性
クロルフェネシンは、医薬部外品(薬用化粧品)に関して配合条件が定められています(5)(6)(7)。 薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤:0.3 育毛剤:0.3 その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤:0.3 薬用口唇類:配合不可 薬用歯みがき類:配合不可 浴用剤:配合不可
染毛剤:配合不可 パーマネント・ウェーブ用剤:配合不可
また、配合制限成分リスト(ポジティブリスト)にも収載されています(7)。 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの:0.3 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの:0.3 粘膜に使用されることがある化粧品:配合不可 基本的にクロルフェネシンは粘膜に使用される化粧品には使用できないことに注意が必要です。
クロルフェネシンは40年以上の使用実績があり、また医薬部外品原料規格にも収載されています。 使用実績の期間から、一般的な使用であれば安全性は高いとされています。 皮膚刺激性は検証の結果から、非刺激-最小限という結果が出ています(4)。 眼科刺激性に関しては、非刺激-軽度という検証結果がでています(4)。 皮膚感作性に関してはほとんどアレルギーがないとの結果が示されています(4)。 光感作に関しても検証の結果から、光感作が見られたデータはありません(4)。
参考文献
(1)化粧品成分ガイド. (2020). 日本: フレグランスジャーナル社.p207
(2)“Pubchem”(2021)「Chlorphenesin」,2021年7月20日アクセス.
(3)医薬品インタビューフォーム「リンラキサー錠」日本標準商品分類番号871225
(4)W.Johnson, et al(2014)「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(2_Suppl),5S-15S. DOI:10.1177/1091581814526893.
(5)厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長「染毛剤添加物リストについて」の一部改正についてhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/sennmou300126_1.pdf、2021年12月20日アクセス
(6)厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長「パーマネント・ウェーブ用剤添加物リストについて」https://www.mhlw.go.jp/content/000836282.pdf、2021年12月20日アクセス
(7) 配合制限成分リスト(ポジティブリスト)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/keshouhin-standard.pdf2021年12月20日アクセス
クロルフェネシンの配合目的
- 静菌及び殺菌作用を持ち、酸性領域における水溶性防腐剤として化粧品の品質保持
クロルフェネシンの安全性情報
皮膚刺激性:一般に濃度0.3%以下において非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性あり
W. Johnson, et al(2014)「Safety Assessment of Chlorphenesin as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(2_Suppl),5S-15S. DOI:10.1177/1091581814526893.
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS612.pdf
日本語論文
高速液体クロマトグラフィーによる化粧品中の防腐剤クロルフェネシンの定量
五十嵐 良明 , 宮澤 法政 , 島村 公雄 [他] 国立医薬品食品衛生研究所報告 (127), 50-53, 2009
新しい中枢性筋ち緩薬クロルフェネシン カルバメートの脳波学的研究
渡辺 繁紀 [他] , 荒木 博陽 , 川崎 博巳 , 植木 昭和
日本薬理学雑誌 73(4), 479-496, 1977
笹島 道忠 [他] , 樽本 保男 , 相原 弘和 , 田中 吉春 , 斎藤 修司 , 阪川 隆司 , 徳永 友喜子 , 細谷 英吉
日本薬理学雑誌 73(4), 465-477, 1977
笹島 道忠 [他] , 相原 弘和 , 秋山 二三雄 , 土田 勝晴 , 小友 進 , 樋口 昭平 , 樽本 保男 , 田中 一郎 日本薬理学雑誌 73(3), 347-358, 1977
英語論文
DETERMINATION OF RESIDUAL CHLORPHENESIN IN CHLORPHENESIN-1-CARBAMATE.
FORIST AA, et al. J Pharm Sci. 1964. PMID: 14249449 No abstract available.
Rubio A, et al. Rapid Commun Mass Spectrom. 2021. PMID: 34431558