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表示名称成分詳細

グルタミン酸Na

成分番号(JP number): 551130

INCI
SODIUM GLUTAMATE
定義(Description)
本品は、グルタミン酸(*)のナトリウム塩であり、次の化学式で表される。Sodium hydrogen glutamate
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
谷氨酸钠
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 25, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 2
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
소듐글루타메이트
CAS No.
142-47-2/6106-04-3/16177-21-2/32221-81-1
EC No.
205-538-1/240-313-1
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

グルタミン酸Na / SODIUM GLUTAMATE

グルタミン酸Naとは

グルタミン酸Naはアミノ酸の一つであるグルタミン酸のナトリウム塩で酸性アミノ酸の一種です(1,2)。なお化粧品表示名称は「グルタミン酸Na」ですが、医薬部外品表示名称は「L-グルタミン酸ナトリウム」となっています。

グルタミン酸Naの使用の歴史は100年ほど前に遡り、1908年に日本の化学者である池田菊苗によって昆布抽出液のうま味成分の本体がグルタミン酸イオンであることを発見したことに始まります。

グルタミン酸をナトリウム塩とすることで水溶性の中性塩とし、これをうま味の素として実用化・製品化した調味料が「味の素」です(3)。

また、食品分野でのうま味調味料としての利用だけではなく、医薬品分野においても緩衝や矯味、安定・安定化を目的とした医薬品添加物として経口剤、各種注射、眼科用剤などに用いられています(3,4,5)。

化粧品成分としては保湿作用やヘアコンディショニングを目的として、スキンケア化粧品やボディ&ハンドケア製品、シャンプー製品など様々な製品に活用されています。

グルタミン酸Naの配合目的

  • 角層水分量増加による保湿作用
  • ヘアコンディショニング

保湿作用

角質層の柔軟性は水分量10~20%で自然な柔軟性を示す一方で、水分量が10%以下になると角質層のひび割れや肌荒れを生じると考えられています(6)。そのため、角質層の水分量を増加することは皮膚の乾燥やひび割れ、肌荒れの予防や改善において重要なアプローチの一つとなります。

角質層において水分を保持する作用をもつ天然保湿因子(NMF:natural Moisturizing Factor)はアミノ酸や有機酸、塩などの集合体として存在していることが知られ、この天然保湿因子の主要成分であることから、アミノ酸は皮膚の潤いを保つ目的でスキンケア化粧品に用いられています(7)。

1996年に行われた味の素社とカリフォルニア大学医学部皮膚科の検証において、ヒト皮膚におけるグルタミン酸Naを始めとした5種類の水溶性アミノ酸の皮膚透過挙動を経時評価したところ、いずれのアミノ酸においても経皮吸収にタイムラグがあり、アミノ酸の種類によって透過量も異なることが分かりました。

同様に角質層を擦って剥いだ肌荒れ状態のヒト皮膚へのグルタミン酸Naを始めとした5種類の水溶性アミノ酸の皮膚透過挙動を経時評価したところ、いずれのアミノ酸においても経皮吸収のタイムラグが短縮され、さらに蓄積量の増大も見られました。

以上の検証結果により、水溶性アミノ酸は健常な皮膚においては経時的に穏やかな経皮吸収性をもち、バリア機能が低下した皮膚に対してはより優れた経皮吸収性をもつことが認められています(8)。

ヘアコンディショニング

ヒト毛髪は18種類のアミノ酸で構成されていることで知られています(9)。

天然保湿因子(NMF)の主要成分もアミノ酸であることから、毛髪の潤いを保つことを目的とした化粧品に用いられています(1)。

グルタミン酸Naの安全性情報

https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS607.pdf

グルタミン酸Naは1980年代から使用実績があり、食品添加物の指定添加物リストのほか、日本薬局方外医薬品規格2002にも収載されています。

また、皮膚刺激性や皮膚感作性(アレルギー性)についても殆どないと考えられており、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。

参考文献

(1)日本化粧品工業連合会(2013)「グルタミン酸Na」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,376.

(2)大木 道則, 他(1989)「グルタミン一ナトリウム」化学大辞典,650.

(3)芝 哲夫(2004)「日本の化学を切り拓いた先駆者たち(11) : 池田菊苗と味の素」化学と教育(52)(8),567-569. DOI:10.20665/kakyoshi.52.8_567

(4)樋口 彰, 他(2019)「L-グルタミン酸ナトリウム」食品添加物事典 新訂第二版,123.

(5)日本医薬品添加剤協会(2021)「L-グルタミン酸ナトリウム」医薬品添加物事典2021,196-197.

(6)日光ケミカルズ株式会社(2006)「水」新化粧品原料ハンドブックⅠ,487-502.

(7)I Horii, et al(1989)「Stratum corneum hydration and amino acid content in xerotic skin」British Journal of Dermatology(121)(5),587-592. DOI:10.1111/j.1365-2133.1989.tb08190.x

(8)川崎 由明, 他(1996)「In vitroによるアミノ酸のヒト皮膚での経皮吸収挙動の解析」日本化粧品技術者会誌(30)(1),55-61. DOI:10.5107/sccj.30.55

(9)内藤 幸雄・本間 意富(1985)「毛髪の科学」繊維学会誌(41)(4),120-126. DOI:

10.2115/fiber.41.4_P120

日本語論文

夏季に漁獲されたムール貝のエキス成分

平林 眞弓 , 岡崎 尚 , 谷本 昌太

日本調理科学会大会研究発表要旨集 31(0), 47, 2019

ジェミニ型界面活性剤を用いた使用感に優れた耐水性O/Wエマルジョンの調製

関口 範夫 , 清水 克也 日本化粧品技術者会誌 51(1), 18-26, 2017

γ-アミノ酪酸(GABA)高生産性乳酸菌を用いた発酵ソーセージの製造

行森 美枝 , 平田 祐介 , 侯 歌川 [他] , 青山 哲哉 , 宮本 拓 , 山田 徹夫 岡山県農林水産総合センター畜産研究所研究報告 = Bulletin of the Institute of Animal Production, Okayama Prefectural Technology Center for Agriculture, Forestry and Fisheries (4), 39-43, 2014-12

苦味マスキング効果の定量的解析

河合 崇行 , 日下部 裕子 食品総合研究所研究報告 (76), 9-16, 2012-03

物部川流域特産資源を利用した高級調味料の開発

竹田 匠輝 , 岡本 佳乃 , 久武 陸夫 , 杉本 篤史 高知県工業技術センター研究報告 = Reports of Kochi Prefectural Industrial Technology Center (42), 13-14, 2011-10

グルタミン酸Na添加と植菌量による乳酸菌のGABA産生への影響

齊藤 景子 下北ブランド研究所試験研究報告 (9・10), 93-95, 2010

下北由来の乳酸菌のGABA産生におけるグルタミン酸Na濃度の影響

齊藤 景子 下北ブランド研究所試験研究報告 (9・10), 90-92, 2010

スケトウダラ卵膜内部の分子鎖配向に及ぼす共存イオンの影響

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<i>Erwinia carotovora</i> (Jones) Holland の生産する2種の液化型ペクチナーゼについて:I. 生産条件

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西 和歌子 , 矢上 晶子 , 西村 景子 [他]

Journal of environmental dermatology and cutaneous allergology = 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 8(4), 255-263, 2014-10 医中誌Web

多種類の抗原に感作され Chinese restaurant syndrome を合併したと考えられる1例

山口 公一 , 増田 敬 , 馬場 実 , 荒井 康男 日本小児アレルギー学会誌 7(2), 80-84, 1993 J-STAGE

新しい低刺激性石けんOPS‐5の各種皮膚疾患患者に対する使用試験宮澤 順子 , 種田 明生

皮膚 25(4), 740-744, 1983J-STAGE

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小倉 良平 [他] , 二宮 冬彦 , 木下 啓 西日本皮膚科 36(2), 206-209, 1974 J-STAGE  医中誌Web

英語論文

Ectoine production with indigenous Marinococcus sp. MAR2 isolated from the marine environment.

Chen WC, Yuan FW, Wang LF, Chien CC, Wei YH.Prep Biochem Biotechnol. 2020;50(1):74-81. doi: 10.1080/10826068.2019.1663534. Epub 2019 Sep 13.PMID: 31517565

Safety Assessment of Amino Acid Alkyl Amides as Used in Cosmetics.

Burnett CL, Heldreth B, Bergfeld WF, Belsito DV, Hill RA, Klaassen CD, Liebler DC, Marks JG Jr, Shank RC, Slaga TJ, Snyder PW, Andersen FA.Int J Toxicol. 2017 May/Jun;36(1_suppl):17S-56S. doi: 10.1177/1091581816686048.PMID: 28553738

Effect of a botanical cleansing lotion on skin sebum and erythema of the face: A randomized controlled blinded half-side comparison.

Weber N, Schwabe K, Schempp CM, Wölfle U.J Cosmet Dermatol. 2019 Jun;18(3):821-826. doi: 10.1111/jocd.12680. Epub 2018 Jul 18.PMID: 30022595 Clinical Trial.

Irritant and sensitizing potential of eight surfactants commonly used in skin cleansers: an evaluation of 105 patients.

Corazza M, Lauriola MM, Bianchi A, Zappaterra M, Virgili A.Dermatitis. 2010 Sep-Oct;21(5):262-8.PMID: 20920412