表示名称成分詳細
グリチルレチン酸ステアリル
成分番号(JP number): 551114
- INCI
- STEARYL GLYCYRRHETINATE
- 定義(Description)
- 本品は、グリチルレチン酸(*)とステアリルアルコール(*)のエステルであり、次の化学式で表される。Olean-12-en-29-oic acid, 3-hydroxy-11-oxo-, octadecyl ester, (3.beta.,20.beta.)-
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 硬脂醇甘草亭酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 2
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 스테아릴글리시레티네이트
- CAS No.
- 13832-70-7
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
![グリチルレチン酸ステアリル](https://images.prismic.io/beaker-media/ZytYv68jQArT0SVF_%E3%82%AF%E3%82%99%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%AB%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%AB__STEARYL_GLYCYRRHETINATE_.png?auto=format,compress)
グリチルレチン酸ステアリル / STEARYL GLYCYRRHETINATE
グリチルレチン酸ステアリルとは
グリチルレチン酸ステアリルは、成分番号 551114、INCI名 Stearyl Glycyrrhetinateで、グリチルレチン酸とステアリルアルコールのエステルであり、次の化学式で表します(1)。
なお、グリチルレチン酸はグリチルリチン酸から得られる物質です。
医薬部外品原料規格では、「グリチルレチン酸ステアリル」英名:Stearyl Glycyrrhetinateとして収載されており、融点:73~80℃と規定されています(2)。
グリチルレチン酸は、甘草から得られるグリチルリチン酸と呼ばれる配糖体の構造の糖の部分が切れたアグリコンと呼ばれる物質です。
グリチルリチン酸で報告されている働きは、アグリコンであるグリチルレチン酸の働きであることが知られています。
グリチルレチン酸ステアリルは、第三類医薬品の成分名とされており、グリチルレチン酸ステアリルを有効成分とした場合は、基本的には第三類医薬品となります(3)。
一般販売医薬品のうち日常生活に支障をきたす程度ではないが、身体の変調不調が起こる恐れがあるものを第三類医薬品といいます。
医薬部外品は人体に対する作用が緩和で、安全性には特に問題がないものをいいます。
グリチルレチン酸ステアリルは、医薬部外品への配合上限が定められています。
数値はグリチルリチン酸及びその塩類並びにグリチルレチン酸及びその誘導体として合計したものです(4)
- 薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤…0.80%
- 育毛剤、その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤…0.30%
- 薬用口唇類 薬用歯みがき類 浴用剤…0.20%
いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストは薬用化粧品の種類ごとに有効成分の規格及び分量の前例を示したものですが、薬用化粧品の効能又は効果、用法及び用量、剤型等が既に承認されてい るものと同一性を有すると認められる場合であって、有効成分リストの範囲内であれば、承認申請に際して、原則として、当該有効成分の有効性及び安全性に関する資料の提出は求めないとされます。
グリチルレチン酸ステアリルは、この中で以下の有効成分の範囲が示されています(5)。
- 化粧水:0.05~0.1%
- クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油:0.05~0.5%(口唇に使用する場合は0.1%)
- パック:0.05~0.1% (洗い流す用法)
- 薬用石けん(洗顔料を含む):0.05~0.3%
グリチルレチン酸ステアリルの配合目的
- 抗炎症作用
- 抗アレルギー作用
働きと用途
グリチルレチン酸ステアリルには、これまでの研究により、2つの作用があることが判明しています。
まず、アラキドン酸代謝経路を阻害してヒスタミンに感作された肥満細胞から、ヒスタミンを遊離させることによる抗炎症作用、抗アレルギー作用。
また、テストステロン5α-リダクターゼ活性阻害による皮脂分泌抑制作用が報告されています。
第三類医薬品のクリームや医薬部外品の薬用スキンケア、育毛剤などの有効成分として活用されています(6)。
グリチルレチン酸ステアリルの安全性情報
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17613133/
グリチルリチン酸等を含有する医薬品については、長期服用により偽アルドステロン症の発症が報告され、使用上の注意の改定が行われました(8)。
化粧品、薬用化粧品では、皮膚刺激性、眼刺激性、アレルギー性、光毒性、光感作性についての試験結果から、人体に影響はないと考えられます。
規定されている範囲での使用において、グリチルレチン酸ステアリルは安全に使用できると推察されます。
参考文献
(1) 日本化粧品工業連合会 グリチルレチン酸ステアリル 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知
(2) 医薬部外品原料規格 グリチルレチン酸ステアリル
(4) 「医薬部外品の添加物リストについて」の一部改正について 令和3年3月25日 薬生薬審発0325第7号
(5) いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて 薬食審査発第 1225001 号 平 成 20 年 12 月 25 日
(6) 原料辞典:甘草(グリチルレチン酸)|健康食品・化粧品原料なら丸善製薬株式会社 (maruzenpcy.co.jp)
(8) グリチルリチン酸等を含有する医薬品の取扱いについて 昭和五三年二月一三日 薬発第一五八号
関連成分情報
日本語論文
作山 秀 , 福田 泰博 , 酒井 裕二 [他] , 中前 勝彦 色材協會誌 74(6), 279-284, 2001-06-20 J-STAGE
英語論文
Topical Non-Pharmacological Treatment for Facial Seborrheic Dermatitis.
Piquero-Casals J, et al. Dermatol Ther (Heidelb). 2019. PMID: 31396944Free PMC article. Review.
Sakata O, et al. Biol Pharm Bull. 2014.PMID: 24583868 Free article.
Non-Steroidal Topical Therapy for Facial Seborrheic Dermatitis.
Piquero-Casals J, et al. J Drugs Dermatol. 2020. PMID: 32574015 Clinical Trial.
Cosmetic Ingredient Review Expert Panel. Int J Toxicol. 2007. PMID: 17613133 Review.
Balato A, et al. Dermatol Ther (Heidelb). 2020. PMID: 31705438 Free PMC article.
Formulation strategies to modulate the topical delivery of anti-inflammatory compounds.
Puglia C, et al. J Cosmet Sci. 2013.PMID: 24139433