表示名称成分詳細
カルミン
成分番号(JP number): 551013
- INCI
- CARMINE
- 定義(Description)
- 本品は、コチニール(*)のアルミニウムレーキである。
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 胭脂红
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): /, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): /, 備考: 按照《化妆品安全技术规范》要求使用
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 카민
- CAS No.
- 1260-17-9; 1343-78-8; -
- EC No.
- 215-724-4; 215-680-6; 215-023-3
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
IV/115
原料情報
カルミン / CARMINE
カルミンとは
カルミンとはアルミニウムとカルミン酸の推定比率1:2の水酸化アルミニウムレーキにカルシウム,ナトリウム,カリウム,アンモニウム等を添加した複合塩です。
レーキとは、水溶性の染料に金属塩などの沈殿剤を加えることで水や油などに溶けないようにしたものの総称です。
原料となるカルミン酸は中南米に自生しサボテンに寄生するコチニールカイガラムシ(学名:Dactylopius coccus Costa 英名:Cochineal 別名:エンジムシ)から得られます。
安全性
日本では,カルミンは医薬部外品や化粧品等に使用で きますが,食品に用いてはならないという ことになっています。
一方、諸外国では医薬品添加物・医薬部外品や化粧品だけでなく食品添加物への使用も許可されています。
消費者庁はカルミンを含むコチニール色素のアレルギー性について、以下のように注意喚起しています(2)。
今般、コチニール色素を含む飲料と急性アレルギー反応(アナフィラキシー)に関する国内の研究情報が消費者庁に提供されました。
これまで、独立行政法人国民生活センターや地方自治体の消費生活センター等には、コルチニール色素を原因とするアレルギー症状の事例は
寄せられていません。
一方、コルチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、アナフィラキシーを引き起こしたと推定される事例が、
1960年代から数にして20ほどの論文で報告されています。
急性のアレルギーを発症した場合、呼吸困難などの重篤な症状となる可能性もあるため、消費者庁として注意喚起を行います。
万が一、コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、かゆみなどの体調の変化を感じた場合は、
すみやかに皮膚科やアレルギー科の専門医を受診してください。
引用元:『消費者庁 News Release』0515-2-2.pdf (jshp.or.jp)
このことから、非常にまれではありますが、カルミンはアレルギーを引き起こす可能性があります。
ただし、穐山 浩・杉本直樹『コチニール色素・カルミン摂取による食物アレルギー』には以下のように記載されているため、
アレルギーの原因はカルミンそのものではなく、カイガラムシ由来のタンパク質によるものだと推測もできます(3)。
国内メーカーは,「低アレルゲンコチニール色素」としてタンパク質含量を低減化したコチニール色素を開発している.これは主色素成分のカルミン酸の精製度を上げ高純度化し,結果としてカイガラムシ由来のタンパク質含量を従来製品より更に低減化したものである.「低アレルゲンコチニール色素」製品については,マウス膝窩リンパ節測定法(popliteal lymph図2 アレルゲンタンパク質の cDNA と推定アミノ酸配列:4種の精製タンパク質において解析された N 末端または内部配列, :N 型糖鎖結合モチーフ, :分泌シグナル配列.Vol.50 No.6 2014 ファルマシア 5276node assay:PLNA)
による抗原性試験法を用いて評価したとき,コチニール色素の通常の製品より明らかに抗原性が低下したことも報告されている.16)
コチニール色素・カルミンによる食物アレルギー発症には複数の原因があると考えられるが,この結果は,きょう雑タンパク質の低減化により,コチニール色素・カルミンによる食物アレルギー発症が抑えられることを示唆するものである.
穐山 浩・杉本直樹『コチニール色素・カルミン摂取による食物アレルギー』
カルミンが含まれる化粧品を使用する際は、ご自身の体質にあうことを確認することをお勧めします。
配合されている化粧品
赤色の着色剤として以下の化粧品に使用されます(1)。
- 洗浄製品
- 洗顔料&洗顔石鹸
- スキンケア化粧品
- パック&マスク製品
- ボディ&ハンドケア製品
- ヘアスタイリング剤
参考文献
(2)『消費者庁 News Release』0515-2-2.pdf (jshp.or.jp)
(3)穐山 浩・杉本直樹『コチニール色素・カルミン摂取による食物アレルギー』
ファルマシア・50巻・6号・522頁 (jst.go.jp)
カルミンの配合目的
- 赤色の着色剤
カルミンの安全性情報
Food and Drug Administrationの連邦規則集より、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
国民生活センターや消費生活センターにはカルミン(コチニール色素)を原因とするアレルギー症状の事例は寄せられておらず、一般的には皮膚感作はほとんど起こりませんが、非常にまれにアナフィラキシーショックを誘発することが知られており、アナフィラキシー反応を起こした場合は重篤な症状となる可能性もあることから、2012年に消費者庁による注意喚起が行われています。
日本語論文
カルミン酸色素を染色固定した酸化チタン被覆雲母を用いた肌の分光反射率的色補正効果
可児 俊之 , 神谷 秀博 色材協會誌 80(5), 193-198, 2007-05-20 J-STAGE 参考文献16件 被引用文献1件
安川 あけみ , 小野 恭子 , 古田 貴美子 , 日景 弥生 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 57(0), 66, 2014 J-STAGE
コチニール色素及びカルミンの感作性評価のための各種試験法の適用性について
五十嵐 良明 , 小濱 とも子 , 清水 久美子 , 河上 強志 , 秋山 卓美 , 藤井 まき子 日本毒性学会学術年会 41.1(0), P-127, 2014 J-STAGE
穐山 浩 , 杉本 直樹 ファルマシア 50(6), 522-527, 2014 J-STAGE 医中誌Web
カルミン酸色素を染色固定した酸化チタン被覆雲母を用いた肌の分光反射率的色補正効果
可児 俊之 , 神谷 秀博 色材協會誌 80(5), 193-198, 2007-05-20 J-STAGE 参考文献16件 被引用文献1件
英語論文
An oral challenge test with carminered (E120) in skin prick test positive patients.
Liippo J, et al. Eur Ann Allergy Clin Immunol. 2015. PMID: 26549338 Free article.
The Use of Allograft Skin for the Treatment of Darier Disease.
D'Acunto C, et al. Adv Skin Wound Care. 2020. PMID: 32889820 Review.
Extensive skin color change caused by extravasation of indigo carmine.
Choi JW, et al. Korean J Anesthesiol. 2012.PMID: 22679552 Free PMC article.No abstract available.
Pinto C, et al. Oncologist. 2011.PMID: 21273511 Free PMC article.
Yamashita K, et al. J Toxicol Sci. 2018.PMID: 30078837 Free article.
The significance of regression in thin melanoma of the skin.
Roncati L, et al. Ir J Med Sci. 2018.PMID: 28455776 No abstract available.
Yamashita K, et al. J Toxicol Sci. 2018.PMID: 30078837 Free article.
We
Schistosoma mansoni cercariae experience influx of macromolecules during skin penetration.
Thornhill J, et al. Parasitology. 2009.PMID: 19646304
Gaitanis G, et al. Br J Dermatol. 2018.PMID: 29791716 No abstract available.
ELECTRICAL POTENTIAL PROFILE OF THE TOAD SKIN EPITHELIUM.
WHITTEMBURY G. J Gen Physiol. 1964.PMID: 14127612 Free PMC article.
Allergic reactions to decorative skinpaintings.
Nikkels AF, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2001. PMID: 11495521 Free article.
Zhang YZ, et al. Bioresour Technol. 2016.PMID: 27723475
Allergic contact dermatitis from carmine in cosmetic blush.
Suzuki K, et al. Dermatitis. 2011.PMID: 22653009
Kapadia GJ, et al. Cancer Lett. 1998.PMID: 9714339