表示名称成分詳細
カリンエキス
成分番号(JP number): 551001
- INCI
- CHAENOMELES SINENSIS FRUIT EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、カリンChaenomeles sinensisの果実のエキスである。Chaenomeles Sinensis Fruit Extract is the extract derived from the fruit of Chaenomeles sinensis, Rosaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 木瓜(CHAENOMELES SINENSIS)果提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 2.04, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 1.3
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 모과추출물
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
カリンエキス / CHAENOMELES SINENSIS FRUIT EXTRACT
カリンエキスとは
カリンエキスは、バラ科植物カリン(学名:Pseudocydonia sinensis、Chaenomeles sinensis、英名:Chinese quince)の果実から得られる植物エキスです。
カリン(花梨)は中国中部原産の落葉高木で、日本では東北地方以南の各地で栽培されています。庭園木として植えられることが多く、4〜5月に淡紅色の花をつけ、秋になると黄色い楕円形の果実をつけます(1)。
カリンの実は大変香りが良く、そのまま部屋の隅に置くだけで室内が香気で満たされます。果肉には石細胞、繊維質が多いため硬く、酸味が強いため、そのままでは食用にはされません(1)。カリン酒やカリンジュースにすると香りのよい飲み物になります(2)。
カリンに似たものでマルメロがあります。マルメロはカリンとは違い果実が柔らかく、薬効はありますがカリンほどではありません。カリンの実の外面はツルッとした光沢があり、マルメロには産毛があるという外見の違いがあります(2)。
生薬としてのカリン
カリンの果実が黄変する前に採取し、輪切りにして陰干しにしたものは生薬として木瓜(もっか)の名前で知られています (3)。カリンの実はとても固いので、ほとんどの場合、粉にして使用されます(2)。
カリンは薬効が強く、強壮、疲労回復、殺菌、毒下し、内臓強化、血液浄化などの作用があります。また、かぜ、咳、疲れに対する特効薬としても使用されます(2)。
黄熟したカリンを輪切りにして焼酎またはホワイトリカーに浸け、砂糖を加えて熟成させるとカリン酒ができます(4)。カリン酒は咳止め、疲労回復、滋養保健などに効果があります(3)。
カリンエキスの成分
カリンエキスの成分には、
・有機酸:リンゴ酸、クエン酸、酒石酸
・トリテルペノイド:maslinic acid, betulinic acid
などが含まれています(5)。
カリンエキスの化粧品への配合
カリンエキスには保湿作用や収れん作用が知られています。肌に潤いを与え、キメを細かく整えたり、肌荒れを防ぐ目的で主にクリームやローションなどのスキンケア製品に配合されています(6),(7)。
2000年の資生堂によるカリンエキスに関する研究によると、スキンケア等の化粧品にカリンエキスを配合することで、肌荒れを伴う種々の皮膚疾患、健常人の肌荒れ、荒れ性等の改善・予防に優れた効果を有するプロテアーゼ阻害剤を提供することができることが報告されています(8)。
参考文献
1) 杉田 浩一, 他 (2013)「カリン」日本食品大事典 第3版, 236
(2) 東城百合子 (2019)「カリン」自然治癒力をひきだす「野草と野菜」のクスリ箱, 79
(3) 田中孝治, 他 (2002)「カリン」家庭で使える薬用植物大事典, 77
(4) 水野瑞夫, 他 (2014)「カリン」くらしの薬草と漢方薬, 130
(5) 指田豊, 他 (2013)「カリン」身近な薬用植物, 255
(6) 鈴木一成 (2008)「カリンエキス」化粧品成分用語事典2008, 207
(7) 宇山 光男, 他 (2015)「カリン」化粧品成分ガイド 第6版, 194
(8) 株式会社資生堂 (2000)「プロテアーゼ阻害剤」特開2000-136146
カリンエキスの配合目的
・保湿作用
・収れん作用
・プロテアーゼ阻害作用
カリンエキスの安全性情報
日本語論文
富澤 歩美 , 阿部 雅子 , 高梨 美穂 , 長井 祐子 , 小林 亘 , 小澤 好夫 , 綾部 園子 日本調理科学会大会研究発表要旨集 32(0), 14, 2021
安藤 智教 , 石塚 智和 , 吉田 圭司郎 [他] 日本予防医学会雑誌 = Journal of preventive medicine 9(2), 75-81, 2014-09
英語論文
Identification of gibberellin-regulated protein as a new allergen in orange allergy.
Inomata N, Miyakawa M, Ikeda N, Oda K, Aihara M.Clin Exp Allergy. 2018 Nov;48(11):1509-1520. doi: 10.1111/cea.13247. Epub 2018 Sep 14.PMID: 30099793
Juneja VK, Bari ML, Inatsu Y, Kawamoto S, Friedman M.J Food Prot. 2009 Apr;72(4):860-5. doi: 10.4315/0362-028x-72.4.860.PMID: 19435239